劇場公開日 2025年2月21日

「その真ん中にはいつも詩が存在している。」ゆきてかへらぬ はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5その真ん中にはいつも詩が存在している。

2025年2月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

中原中也の詩が好きで若い頃夢中で読み漁った。医者の家に生まれ17才で駆け出しの女優と同棲し上京、詩を書くことに心血を注ぐが、病や溺愛した息子の死で神経をすり減らし30才の若さでこの世を去った。残された詩は約350。私の中で中原中也は神格化されている。だから美しくなくてはならない。木戸大聖の中原中也はとても美しかった。

文学的でほぼ3人だけで進む展開や台詞回しがまるで舞台を観ているかのよう。音楽、そして明治から昭和にかけてのノスタルジックな雰囲気、要所要所で降る雨が心地良い。出逢ってしまったという言葉が本当にしっくりきている。久々にパンフレットも購入して私のお気に入りの1本になりました。

中原中也の真ん中にはいつも詩が溢れていた。今作は飽くまで3人の関係を軸に描かれているけど、欲を言えば中也を中心にもっと詩を散りばめて欲しかった。たとえば逝く夏の歌。たとえば狐の革裘。

はるたろう
ノーキッキングさんのコメント
2025年2月24日

弟の呉郎も詩人で起ちたかったが
知己の山頭火に諭されて家業を継ぎました。医者にならずに詩人でいられた中也はある意味倖せでしたね。

ノーキッキング