「日本のおしゃれな時代を生きた3人」ゆきてかへらぬ Chikaさんの映画レビュー(感想・評価)
日本のおしゃれな時代を生きた3人
中原中也と駆け出しの女優長谷川泰子、中也の作品に惚れ込む文芸評論家小林秀雄の三角関係?なんとも言えない奇妙な関係のお話でした。
大正という時代背景、、、和と洋が織り混ざった建物のつくり、衣装、ヘアメイク、、、とても魅力的でした。
映像が素晴らしく、静かな雨が打つ長屋の細道の石畳み、、、雨に濡れて黒くなった瓦屋根に赤橙色の柿、、、3人でボートを楽しむ水色の世界、、、桜が満開の桜色でスクリーンがいっぱいになり、映画館で観れて良かったなという印象です。
キーワードになる色々なモノが登場します。
柿、壺、振り子時計、お茶碗、赤い手袋、、、貧しい時代から、余裕のある時代へ、、、素敵な物が世にでてきた時代、、、物への執着を感じます。
脚本は40年前に田中陽造さんが書かれたものに、根岸監督が惚れ込んで映画化というだけあり、セリフひとつひとつに色気を感じます。
中原と泰子の狂気は感じましたが、印象に残ったのは泰子の母親役の滝内公美さんの圧倒的存在感、、、
全体的にどうだったか、、、というのはネタバレになるので控えます、、、大正ロマンの文学、生活、思考、、、新旧のものが入り混じった時代、、、戦争が起きずにそんな時代が続いてたら、日本はもっとおしゃれになっていたんだろうな、、、と思わせる、そんな映画でした。
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