「母の本心か、それとも…」本心 Ericさんの映画レビュー(感想・評価)
母の本心か、それとも…
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映画の設定は2025年。さすがにここまでは進まないだろうと思うVFの世界。
原作は2040年代、日本の社会的保障は破綻し「自由死」を認める世の中。だが誰でもいつでもどこでもいいのではなく医師の許可がいる。少し書かれる人の最期も側に医師がいるだろうと思わせる。しかし医師の側から「自由死」はすすめない、との言葉がある。
予告を観た時、朔也(池松壮亮)の母・秋子(田中裕子)は「自由死」の許可を得ているので水を選んだと思っていた。映画に現実を入れるのは野暮だがそれは駄目だろうと突っ込みたくなった。時も場所も選ばなければ巻き込まれる人、幾つかの機関が出動となる。一方で若松(田中泯)がはっきりと「自由死」の方法を見せた。秋子もこうなるはずだったのでは?となる。
映画の人物で原作で本心を口にするのはイフィー(仲野太賀)だけだと思う。岸谷(水上恒司)も何を考えている?の方だ。本心を表す方法。それは本音を出すことだ。では人は常に本音で語るかと考えると疑問だ。
だがあの原作をよくここまでまとめたと思う。削除されたり変更されたりもして唐突に思える箇所もあるが、映画ならではの面白さがある。水に入ったと思っていた秋子がほんの数秒でそれは違ったと分からせる。朔也の迷いや疑問で重く飛行していた展開にメリハリを付けた。
VFである秋子の最後の言葉。知ることが永遠にできなくなった秋子の本心。朔也があの言葉で前に進めるのなら、それが例え朔也の願望が作った言葉でも母が息子に打ち明けた本心であると考えていいと思う。
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