「「大事な話があるの」何!何!」本心 ゆきさんの映画レビュー(感想・評価)
「大事な話があるの」何!何!
石井裕也監督x池松君x妻夫木君!ときたら見逃せない。
御三方が出演された"僕らの時代"も
ちゃんと観ましたよ♪
(石井さんてこんな面倒くさい人なの?と、
ちょっと困惑しましたw)
平野先生の作品は数冊読んだが、本作は未読。
なぜ母は"自由死"を選んだのか?
"本物以上のお母様を作れますよ"
インパクトのあるセリフが切り取られた予告を見ていたから、軸として描かれるのは死んだ母親と息子の家族の物語なんだと思っていた。
「人魚の眠る家」や「PLAN75」のような
「命」をメインテーマに据えた作品だと思っていた。
だからちょっとミスリードされた感でムムム。。。
終盤は、えっ?!ラブストーリー?!そっちにスピード上げないで〜と思ったり。。
言いたい事はわかるのですが、格差社会や人種差別、連鎖する犯罪と貧困、犯罪者の再生、売春、ジェンダー問題までも絡めており、どれも大き過ぎるテーマなので、本作全体としての焦点がボヤけた印象も。。
とはいえ近未来。。恐るべし。。
さてさて、
聞き慣れない言葉がたくさんありました。
◎ヴァーチャルフィギュア(VF)
AIによって死んだ人間をよみがえさせられる技術らしい。
その人物の生前のデータを元に、仮想現実としてゴーグルの中でだけ"人間"として存在させる事が可能。
学習能力があり、経験を積む事でよりリアルなVFへと成長(ギョッw)
ファービーかな?( ・∇・)
◎リアルアバター
依頼者からの要望に従って、ゴーグルを付けて現実社会を実際に移動して、依頼者のゴーグルにリアルアバターの実体験を送る仕事。
(音や匂いなんかも体感出来る設定と解釈しました)
最下層の人々の仕事?
◎自由死
積極的安楽死が合法化したという表現と解釈しました。
自由死を選択し、申請が認められたら期間中に実行が条件(?)で、遺族は税金免除になったりお見舞金ももらえるようでした。
(この金額が安いと思うか高いと思うか。置かれている人物の背景によっても、この選択の意味が違う事が興味深いと思った)
「大事な話しがあるの」
そう言い残して朔也(池松君)の目の前で氾濫寸前の川に消えた母(田中裕子さん)
朔也は助けようとするが自分も転落していまし昏睡状態に。
目覚めたのはその一年後!
(身体弱々では?(°▽°)
変わり果てた社会に戸惑いながらも順応すべく、リアルアバターとなって懸命に働く朔也。
しかしどうしても自分の母親が"自由死"を選択して亡くなっている現実を受け入れられない。
母の本心とは。
朔也が下した決断とは。。
原則的には「死」も個人の自由意志であるべきと思います。
本作のように「自由死」が合法化されている時代だと仮定して、もし自分がソレを選択した場合は、家族にはその意思を尊重して欲しいけど、逆の立場だったらと考えると頷く事はできるのか。。
そして
隠し事はしないで!本心を話して!と言われても、難しいですよね。
自分でも分からなくなる事ありますし。。
例え家族であってもそうだと思います。
"隠している"訳ではないけれど、言わない本心もたくさんあるし、それこそ思うがままにを伝えていたら社会が回らなくなってしまいます。。
VF母さんが話した"本心"
これは本心なのか?
AIでは人間の心は再現出来ないと思います。
これは"希望"ではないと思います。
母の言葉は実は朔也が聞きたかった言葉だったのではないかな。。
疑問も残りましたが、朔也の中でしっかりと母親に向き合えた事は間違いなく意味のある事だと思えました。
ラストシーン。
空にかざす手のひらに、そっと寄り添い重なるあの手は三好さんだったと思います。
トラウマで人と触れ合う事が出来なかった三好さん。
彼女も、人に触れられるのを拒む=他人は触れる事が出来ない・一瞬、イフィー(太賀君)に触れられた時にフリーズしていました。
この設定が、生身の人間なのに彼女自身もまるでVFのようだと連想させられました。
そんな彼女が自ら朔也の手に触れたこと。
いくらテクノロジーが進化して、VFを作り上げる事は出来ても、血の通った、生身の人間の身体の触れ合いが最強なんだ!と言われた気がしました。
と、締めようと思ったのですが、意地悪な感情がムクムクと。。
そもそも母さんが何も相談せずに実行してしまった事が悲劇を生んでいやしないか。
朔也が納得しないにせよ、知っていた、知らなかったでは大違いだ。
この大事なポイントの扱いが個人的に受け入れ難くて実はあまり没入出来なかったです。
事故だったのか?!よくわかりませんでした。
写真の加工にもビックリよ!
「本来の表情は。。。こちらです」
穏やかな笑みを浮かべている。。と思わせて実は!!
ゾワワ〜!怖いんですけど!
なぜに母さんは実際には能面のような表情だったのでしょうか?
未だに息子に出生の秘密を打ち明けられずにいる後悔で?
母子家庭で息子は前科持ちの犯罪者という事実が長年の重しになっていた?
彼の将来を案じて心配が絶えなかった?
貧困から抜け出せず、生活が苦し過ぎて、現実では笑う余裕なんてなかった、という意味?
彼女が「自由死」を選択した理由がいまいち分からず、モヤモヤが今だに消化しきれません。
三好さんと親友ってのも無理がある設定すぎて飲み込めない。
近未来、ゴーグル装着率高しっ!
ここまで進歩してもゴーグルかいっ!
違和感アリアリでちょい苦笑。。
涙も溜まってまうわ〜せめて眼鏡にして。とか、朔也は怒りの感情がコントロールできない人物の様に感じてしまい、理由はどうであれ、暴力に向いてしまう行動が残念だった。
三好(三吉さん・だからややこしいって)の突然のおぱい。
出すなら白い嘘でこそ!ではなかったか?!あ〜ゆうシーンではイヤか。。とか、雑念が渦巻いてしまいました( ̄∇ ̄)
極め付けは
アイラブ池松君と水上君の芝居が個人的にハマらなかったの( ; ; )
何故だーーー!!!悪くないのにナンデカナ?悲し丸( ; ; )
妻夫木君、太賀君には違和感なかったんですけどね。
ちょっと出の綾野剛さんはプロVFかな?
窪田君はどこにいた??('◉⌓◉’)
W田中さんは流石でございました。
("自由死"の"制度"を"利用"するのならば、本来(?)若松さんの様に医師の付き添いの元、実行すべき。ダイブダメ。
"自由死"の"見本"として描いたのかな?)
最後に。。
私のVFは作らないでと家族にお願いしたい。これ本心ですw
(少し揚げ足取りな観方になってしまったのは承知しておりますので、あくまでそ〜ゆう風に感じたって人もいるって事でおねしゃすm(__)m
平野啓一郎がAI関連をいろいろ盛り込み過ぎてますが、それらを全部排除しても、彼は上手く書くでしょう。よって私の拙レビューも母(虚)と彩花(実)の関係に偏りました。
女優が脱ぐ(古~い表現)タイミングが分からない!スカーレット・ヨハンソンが宇宙人役で全裸っていうのもあったけど……
おはようございます。コメントありがとうございました。
まあ「恋は盲目」の正当化ですけどね。
おっしゃる通り感情移入しにくかったですねぇ。
意思決定に明確な根拠を常に持っている自信はないし後日考えが変わるのもしょっちゅうな私なので過去に遡って「真相」をほじくり出されるなんてそれこそ死んでも嫌です。だから私もVFだけは絶対やめてと遺書に書くでしょう。
あの生意気娘によるハッキングのエピソードを膨らませて沼らせたらものすごくダークで救いようのない話になったかも知れないけどそれもアリかな、と思いました。
いくら“情報”を集めても、本人にはならないと思います。
ネットの検索履歴の例がありましたが、軽い興味と渇望した知識とをどう見分ける?
写真の加工を外したとて、表情に感情が全部出るか??
…AIに人間は再現できないと確信してる人間が観てはいけなかったですかね。笑
お褒めのコメントをいただき、誠にありがとうございました。
私も、ゆきさんのレビューを、大きく頷きながら拝読させていただきました。
特に、「生身の人間なのに彼女自身もまるでVFのようだ」という点については、言われてみればその通りで、作品に対する理解を深めることができました。
重ねてお礼を申し上げます。
すみません 再度拝読しますと 思ったのは 人の心は絶対に再生できない と思いました。
チャットGD・もお間抜けなおバカ回答ばかりで ある程度AIの精度が出るのはあと30年はかかると思いました。生身の人間上回ることは難しいですね同感です。😊
仰ることほぼ全て、大きくうなづく共感です。
ですよ、彼女が「自由死」を選択した理由は何? ですよ!
「もう良いと思った」ってことですかね
観客はそれ知りたいと思いますっ
おはようございます。
今作、ナカナカ難しいですよね。仰るように大きなテーマが沢山有って、良く2時間チョイに収めたなと思いました。流石、石井裕也監督だなあ。
マア、原作が平野氏ですからねえ。
”本心”は絶対喋らない、表情にも出さないNOBUでした。(けれども、周りからは本心バレバレと言われています・・。笑っていても目が笑っていないとか・・。。(涙))では。返信は不要ですよ。