「鑑賞後にそれを表す言葉が出ない」BISHU 世界でいちばん優しい服 ちゃいろいおうまさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞後にそれを表す言葉が出ない
評価はこのタイトルがすべて。
この作品の良さをどう伝えればいいのか、
どう表現をすればいいのか、その言葉が見つからない。
史織が動くたびに、
”がんばれ!!”
”そこはそうじゃない”
”気をつけて”
と、スクリーンの中の史織に呼びかけ続ける2時間だった。
作品は終始優しさにあふれ
(そりゃいやな役もいることはいるけど)
史織はその特性を認識した理解者に囲まれ、
その才能を開花させる、ある意味理想的な物語。
そして、その世界には現代はまだまだ遠いのも事実。
発達障害をもつ家族の現実と葛藤はまさに深刻で、
自分の子どもが障害をもっていると認めない家族、
そのために子どもが生きづらい環境をつくってしまっているケース、
障害を持っていることは認識をしており、
結局はやりたいことを、やらせてあげたいが、
安全のためにそれを制限する親、家族(前半の父親)
やりたいことの実現と、どうしても制限をかけなければならない
その境界線を模索しているケースなどさまざまだと思う。
この作品の中の父親のある意味抑圧的なところは
とても理解ができる。
しかしながら娘の思いや努力、葛藤を父親(家族)が認め、
そうやって折り合いをつけていくしかないのかな、
そうやって家族ごと成長をしていくことが大事なのかな、
と思わされた。
自分にも発達障害の中学生の姪がいる。
その子はどんな才能があって、何を伸ばしていってあげられるのか、
それすらわからない状態である。
それを見出してあげることができる家族の力量も、
やはり必要なのは痛感した。
それにしても機織りの音を聞いて、ランウエィで覚醒する
史織の圧巻さは特筆するものであった。
この作品は今年自分がみた映画の中での、暫定ナンバーワンを
はるかに更新する堂々の第一位となった。(あくまで個人の感想)