うぉっしゅのレビュー・感想・評価
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特に何も刺さらなかったし、何を言いたいのかも分からなかったが、面白かった。家政婦・名取(高木直子さん)がナイス。
ソープ嬢の加那(中尾有伽さん)が、長らく会っていなかった祖母と関わり、ソープの仲間と語らう中で変化し成長していく様が面白かった。
また、家政婦・名取と加那は、お互い事務的に対応するだけの関係だったが、終盤にワインを飲みながら雑談するなかで、距離がちょっとだけ縮まった感じの場面が良かった。
ソープに来る客は加那のことなどすぐ忘れるし、祖母も加那のことを翌日には覚えていない。ソープの客と祖母を洗うことの類似性の対比、同じく祖母と加那がベッドで寝ている対比を分かりやすく映像で見せてくれているが、そこに何かメッセージが有るかどうかは僕には不明である。
まあ、僕は、この映画で監督が何を伝えたかったのかは分からなかったけど、変わっていく加那を見ていて面白かった。
あと、認知症の人の介護の場面に関しては、自分の介護経験だけを元にして、あるいは自分が見聞きした事だけを元にして、実際とは違うとか言うのは意味がない。
なぜなら、介護される人の状況は、似ていたとしても全く同じではないし、介護する方の人の状況も、これまた似ていたとしても、違うからだ。
例えば、薬の拒否や、徘徊に対する対応も、こうすればいいよと言われて上手くいく人もいるし、上手くいかない人もいる。日によって上手くいかないときもあったりする。
認知症の症状も、穏やかに進む人もいるいるし、早く進む人もいる。
介護する人、介護される人の経済状況も違う。
つまり、個々の事例が千差万別なのに、この映画の介護場面を見て、自分のときと違うからおかしいといっても意味がないということだ。
大変さの感じ方も、介護する人の状況と性格で違ってくる。状況が良くなって、介護が、だんだん楽になった人もいるし、状況が良くならず、あるいは悪くなって、最後まで、てんてこ舞いだった人もいる。
ただ、「介護は、ある日、突然 始まる」というのは、たぶん世界共通だと思われる。事件、事故、病気と同し。
忘れていたのは貴女の方
初っ端、謎のスタイリッシュお出迎えからホラー風味の実家来訪に戸惑う。
そしてお母さん、ひと晩で準備できすぎ。笑
基本的に実家と職場、そして自宅での人間関係しか描かれず、介護・仕事・女子会の三角食べ。
実家に泊まらないのは名取さんを出すため、母の見舞いに行かないのはシナリオ簡略のためという作為を感じる。
しかし加那の介護風景はほどほどにリアルで、苛立ちも理解できるぶん気立ての良さも伝わる。
普通あの歳であそこまで出来ないよ。
痴呆や介護に対する哀しみや虚しさ、辛さの描き方は薄味だが、軽過ぎるとは感じなかった。
ソープ譲と介護のリンクは面白いが、本質はそこではなく「忘れてしまうこと」と「覚えていること」。
その点で言うとすみれとの別れは分かるが、久美の件やボーイのいい奴風の台詞(演技も棒)は不要かな。
髪色の話もあったのでガチ恋客が何かしてくるかと思ったが、それもない。
紀代さんの過去もあまり効いてこず、最後の気付きを名取さんに全部喋らせてしまったのはちょっと残念。
演出が鼻につくところも少しあり、特にカラーボールのところは不自然過ぎて浮いていた。
冒頭のホラー演出が、最後のお地蔵さん(?)で対比されるのは単純だけど嫌いじゃない。
主演の中尾有伽はじめ演技はよかったし、研ナオコがここまでやれるとは知らなかった。
全体の雰囲気、特に風俗嬢仲間と一緒に紀代ちゃんと遊ぶシーンはとても好き。
ただ加那と紀代の絡みは、描写としても1週間という設定からも物足りず。
加那はあの仕事をしてる理由すら分からないため、主役なのに奥行きが感じられなかったし。
印象こそ悪くないが、総じて掘り下げが浅かったかな。
いろんなものを洗い流してきた女の子が、いつの間にか自分にこびりついた何かを洗い流す映画映画でした
2025.5.8 MOVIX京都
2025年の日本映画(115分、G)
疎遠の祖母の介護を行うことになったソープ嬢を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本は岡崎育太郎
英題は『Wash Away』で「洗い流す」という意味
物語の舞台は都内某所
ソープランド「ロングライン」で働いているソープ嬢の加那(中尾有伽)は、仲間のすみれ(中川ゆかり)、久美(西堀文)とともに自由気ままな生活を送っていた
加那は、お金に任せて家事を家政婦の名取(髙木直子)に一任していて、怠惰な生活を送っていた
ある日のこと、母・早苗(磯西真喜)から電話が入り、病気のために一週間入院すると聞かされる
母の代わりに祖母・紀江(研ナオコ)の介護をすることになった加那だったが、全くの素人で、母の残したメモを頼りにして作業を始めていく
紀江は加那のことを全く認知しておらず、少し時間が空けば、「はじめまして」と言ってしまう
映画は、認知症になった家族と向き合うというものだが、疎遠ということと、ソープ嬢というところが特異点となっている
距離的には電車一本ぐらい(ロケ地だと東京都青梅市)で、8年間の疎遠の理由は察してねという感じで描かれていた
おそらくは、都内に出てきて働きはじめたものの、出費がかさんでしまい、そのまま副業を拡大させていったのだろう
そのあたりはそこまで重要な要素ではなく、介護の作業に抵抗感があまりない職業を選んだ(本来はそこまで単純ではないと思うが)のかな、と思った
タイトルは「洗う」という言葉をひらがな表記したもので、併記されていた英題は「Wash Away」だった
これには「洗い流す」という意味があるのだが、単に体を洗うという意味ではないだろう
加那の中の何かが洗い流されたというもので、その何かというものはたくさんあったと思う
その中の一つが「プライド」であり、他には「職業への貴賎」「現在地」などもあったのだろう
加那は紀江のアルバムが途中で終わっていることに意味を感じていて、語られずとも「好きなことをできる時間は限られている」ことに気づいていく
そして、現在位置を見直しつつ、8年間を埋めるために「今やっていることに全力になろう」と考えたのではないだろうか
いずれにせよ、感化されて生き方を変えるという単純なものではなく、自分自身が避けてきたものに向き合うというエンディングは良かったと思う
そんな中で、彼女自身にやりたいことが見つかり、その先に新たな未来があるのだろう
洗い流すのは上辺に付着している汚れからであり、中身を変える前にやることはたくさんある
そう言った意味において、現実的な着地点だと思うし、彼女自身が自分の仕事にやりがいを持つことができたのは良かったのではないだろうか
名取さんは…
観客16人
1週間だけ祖母(研ナオコ)の介護をすることになったソープ嬢加那(中尾有伽)を主人公にしたお話。
加那は気立の良い優しい女性で、家庭的にも問題なく、なんでソープ嬢になったんやろ。そこらへんの事情はわざと描いてないんだろうなあ。
キツネ目の中尾有伽がとても魅力的。ひょっとすると、第二の河合優実になるかも。
介護職とソープ嬢はどちらも洗うお仕事だから題名が『うぉっしゅ』になっている。
しんど過ぎる場面もエロい場面もなく、安心して見ることができる娯楽作品である。
介護について考えてみよう!みたいな重い映画ではない。
ラスト近くで、家政婦の名取さん(高木直子)が介護について延々と語る場面が出てくるが、不要だったと思う。
【”覚えてるよ!そして職業に貴賎なし!更に女性は強し!”今作はソープ嬢が、認知症の祖母の介護をする事になった中で芽生えた人間愛と、彼女の心の成長を描いたヒューマンコメディである。】
ー ご存じの通り、売春は人類最古の商売である。今作の主人公カナ(中尾有伽)は、自分の職業を母に隠して、不動産会社で働いている事にしているが・・。-
■母に内緒で、ソープ店に勤めるカナは、急に入院する事になった母から、同居している祖母キエ(研ナオコ)の昼の介護を頼まれる。
そして、夜はソープ嬢として働く日々を送るのである。
8年振りに会ったキエは、カナの事が分からずに毎朝、初対面の挨拶を繰り返す状態。最初は戸惑うカナだが、ソープ店に勤める事への愚痴を言ったりしている中で、祖母に愛情を感じて行くのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・カナは、高級マンションに住んでいるが、部屋の中はゴミだらけ。ハウスキーパーのナトリさんに、掃除、料理は全部お任せである。
けれども、どこか、気が引けるのか、しょっちゅうナトリさん(高木直子)に”差し入れ”を持ってくるのである。
この娘さんは、悪い子ではないな、と直ぐに分かるのである。
・カナがキエのお世話をする中で、おむつを替えたり、薬を飲ませる時に、あんまり嫌がらずにやって行く姿。フライヤーにも記載されているけれども、人のお世話をする事に掛けては、プロフェッショナルなるだもんな。
薬を飲むのを嫌がるキエに、好きな飴を口を開けさせて、一緒にササっと薬を飲ませるシーンは可笑しかったし、スマホで介護の仕方を覚える姿も良かったな。
・カナや同僚のソープ嬢が、自分達の仕事を卑下しているようなセリフを口にしたりするのだけれども、そんなカナに対してキエは介護ベッドの上から”職業に貴賎なし!”とビシッと言ったりするのである。
■今作で、良いなあと思ったシーンは結構多いのだが、幾つか。
1.カナが、キエの1971年の若い時のサックスを吹く写真を見つけた時の驚きの表情と、置かれてあったサックスのケース。
キエが”行かなくっちゃ。怒られちゃう!”と時折叫んでいた理由が判明するシーン。
2.カナが、キエにも若い時があり、その時の思い出はしっかりと残っている事を知り、キエを外に連れ出し、髪を自分と同じピンクに染めて上げて、買い物したりするシーン。カナのキエを愛おしく思う気持ちが出ていると思ったし、キエも笑顔だし、画面もポップになって行くのである。
3.カナが、ナトリさんが仕事が終わって帰ろうとするところを呼び止めて、一緒にワインを飲むシーン。
ナトリさんが言った言葉。
”昔、ヘルパーさんをしていたんだけど、駄目なのよ。一生懸命仕事をしても、家族が帰って来ると、顔付がガラッと変わっちゃうんだもん。家族には、勝てないと思ったわ。”
その言葉を聞いたカナの表情。
そして、ナトリさんが帰る時に、深々と頭を下げて”いつもありがとうございます。”とお礼を言うと、ナトリさんがそれまでの丁寧語からお母さんの様に、”もう少し、部屋を綺麗にしなさい。料理も少ししなさい。”と優しく話しかけて帰った後に、カナが部屋中を掃除するシーン。
4.そして、カナがナトリさんに言われた後に掃除をし、タクシーでキエの家にピンクの髪のまま行った時に、キエが大きな声で”覚えてるよ!”と叫ぶシーンは、沁みたな。
<私は、介護をした事がない。だから、この映画を観て”介護は、こんなもんじゃないよ!”と思う人もいるかもしれない。
けれども、私は今作は介護をテーマの一つにしながらも、その中で人間愛を描いた作品だと思うし、自分の仕事に負い目を感じていた若き女性の心の成長物語だと思いながら観たので、そこは余り気にはならなかったな。
今作はソープ嬢が、認知症の祖母の介護をする事になった中で芽生えた人間愛と、彼女の心の成長を描いたヒューマンコメディなのである。>
白ニットにケチャップ。
足の不調で入院することになったと母から1本の電話で、…認知症を患った祖母の介護を“一週間”お願いされ引き受けることになるソープ嬢・加那の話。
祖母の介護でシフト変更、日中は介護、夜は出勤となるが…、行けば振出に戻る祖母・紀江との関係性だが、話したことを覚えてない紀江に隠してた職業の愚痴を溢し始める…。
祖母とは8年ぶりの加那、久しぶりの再会だけど高校の頃覚えてる祖母とは違う。仕事仲間との勤務中、仕事終わりのやり取り、…先輩すみれの一言で、諦めた祖母の介護へ新たに向き合い彼女なり紀江を楽しませ様と頑張る姿が良かった。
個人的グッときたのは加那宅にかたずけられないを理由に家政婦として来てくれてる名取とワインを飲んだ夜、名取の前職「訪問介護」の話、…家族には勝てない、“顔、顔つきが変わる”、解ってないようでちゃんと解ってるって言葉には涙出たね。
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