「泡の向こうに」うぉっしゅ 玉川上水の亀さんの映画レビュー(感想・評価)
泡の向こうに
岡﨑育之介さんが監督・脚本・編集を担当し、中尾有伽さんと研ナオコさんのダブル主演した本作では、人を"洗う"こと、人に"忘れられる"ことをテーマにしている。
或る日、ソープ店で働く主人公・加那に母から「お母さん入院することになっちゃったの、一週間だけ、おばあちゃんの介護してくれない?」という電話がくる。
仕事のことを隠していた加那はそれを誤魔化そうとした末、翌日から 実家とソープ店を行き来して“人の身体”を洗い続ける二重生活をする羽目になる。
疎遠だった実家で数年振りに会う祖母・紀江は 認知症が進み名前すら覚えておらず、会話の通じない祖母に対し、加那は慣れない介護に奮闘する。
会う度に“初対面”を繰り返してゆく2人だが、「どうせ忘れる」相手に対し、加那は仕事のことを自由に打ち明けられることに気付き、次第に 介護の楽しさを見出していく。
1週間が過ぎるにつれ2人の心は近付き、これまで知らなかった祖母の人生が垣間見え、加那は自分自身のことを見詰める。
研ナオコさんの出演映画としては、絶賛上映中の「PERFECT DAYS」に次いでだが、主演級なのは久し振りなような気がする。
はじめ加那の祖母・紀江として登場した時は、認知症の老婆に成り切っていて、直ぐに研ナオコさんだと分からなかった。
私の母も紀江までにはいかないにしても認知症を患っていて、映画で描かれた内容は他人事と思えない。
「ソープ」と「介護」という、一見、異質か二つのものが、洗う泡の向こうに「みんな、人に尽くし、人に尽くされている」ということをユーモアを交えて温かく描く。
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