ナイトサイレン 呪縛のレビュー・感想・評価
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フェミニズムの文脈で語る魔女狩り
フォークホラーであり、フェミニズムの文脈で語られる現代の魔女狩りでもある。迷信や女性蔑視が蔓延る村で都合良く仕立て上げられる魔女。敬虔なクリスチャンであることは身の安全を保障し、妄信的になる。テーマはわかりやすいが物語は…。
清めの塩
なかなか掴みがOKな作品。
決して派手なシーンではないのだが、うわっ!ってビビる映像から始まるのでかなり期待した。
しかも魔女ものだし。
「魔女が信じられていた村」
あー、狩られるのね…
主人公はそんな村から都会に逃げていたが、家屋相続の知らせを受けて村へ戻ってくる。
ボロ家である。
こんなトラウマまみれの家は捨てればいいのに。
時代は現代設定。
主人公の服装やスマホなど。
しかし、村なのでのどかで村人は質素な格好だし羊飼いとかもいる。
なんだかちぐはぐだ。
そして帰って早々に村の若者達に絡まれる。
身分証を出せとか言われるってなんだ?
ここで魔女狩りが始まるのかと思ったら始まらない。
なんだか晴れ物扱い。
そして、ミラという不思議な魅力の女性と仲良くなる。
裸で月光浴をしたら月経痛に効くらしい…
村の人々は魔女だ魔女だと冷たくあたるが、特に何もしてこない。
しかし、主人公は魔女と言われても「??」
誰が魔女なのか?
虐待をしていた母親なのか、預けられていたばあさんなのか、それとも他にいるのか?
作品は章区切りで作られている。
最初は昔の人形のお腹に乳歯が入っていたり、髪の毛の束が入っていたりとなかなかオカルトな感じなのだが章が進むにつれ、主人公の都会での暮らしやミラとのトーク、村人に蔑まられる事などがダラダラと続くので少し眠くなる。
ここに出てくる村は時代錯誤で謎の信仰も持って、魔女も信じてる。怪我をした娘をみた母親が「清めの塩を持ってきて!」と言っていたのでインディーズ宗教だろう。
ワロス。
最後まで魔女が誰がわからない。
ずっと、誰が魔女なの?狩られないの?って考えながら観てた。
魔女という女を蔑み、時には暴力を振るわれ、他の女性は男性にほぼレ◯プをされたりと「女性」というものが酷く下に見られている感があった。やや女性蔑視。
最後の章は「魔女たち」
夏至の踊りを楽しみ踊り喜び笑う女性達。
その表現は裸で色とりどりの蛇のようにうねうねと踊り出す。
山奥の緑と切り立った崖、流れる滝や湖。とても綺麗な景色と蛇のような女性達。
ホラーではなく、ミュージック・ビデオを観ているようだった。
最後まで意味はよくわからなかったが、帰り道に魔女とは全ての女性達の事ではなかったのかな〜と思った。
だーいぶ肌色多め。
しんどい。
現代に対する強烈な怒りと危機感。
現代のスロバキアが舞台の田舎サスペンス(?)です。
まだ子供の頃に母親の暴力から逃げ出した主人公が相続の知らせを受けて約20年ぶりに故郷に帰る事で巻き込まれる胸くそ悪い事件と大切な再会の物語でした。
本当にスロバキアの田舎ってこんな場所なのか?って疑問には意味が無いと思います、車も以外と多いしスマホもある村で中世の魔女狩りの様な事件が起きてしまう事にこそこの映画の意味があったのだろうと感じました。
宗教を振りかざし自らに疑問を持たず他者を攻撃する男性優位社会、女性を蔑視し子供を虐待し異民族(余所者)を排斥する現代の世界(当然日本もですね)に対する怒りの映画だと強く感じました。(蛇に魂なんて無い!、ジプシーみたいに汚ならしい!クルド人全員犯罪者!見たいな感じですか?)
ストーリーも素晴らしく、特に後半の事件では、もうあの野郎に対する怒りでクラクラする程でしたし、あの二人には助かって欲しいと本気で願いました。
ラストも素晴らしかった!本当に良かったと胸を撫でおろしました。
観て多少考え方が成長できた映画かな?
何を見ているのかよくわからないしジャンルも不明だが…。
今年286本目(合計1,378本目/今月(2024年8月度)11本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
(前の作品 「風が吹くとき」→この作品「ナイトサイレン 呪縛」→次の作品「???」)
この映画、なぜかシネマート扱い(10月末ちょっと前閉館のお知らせあり)。シネマートってアジア映画メインだったような気が…。
さてこちらの映画なのですが、評価が低いのもうなずける一方で、人を不愉快にさせるような表現もほとんどないというちょっと採点に困る作品です。
ここや公式サイトほかではホラー扱いになっているのですが、PG12ということを考えてもホラーシーンというのはない一方で、
・ スロバキア?をテーマにしている
・ 魔女狩りが何とかという話
・ そうかと思えば、相続手続きが何とかという法律ワードが飛び出す
・ 納屋の中で男性と女性が行為に及ぶ
・ 星空をみて「あの星がきれいだ」といった発言
…と個々個々まとまりがなく(いちおうチャプター形式で、第7章か8章まであったはず)、ホラー映画か??というとそもそもホラーシーンってないし(刺しあうようなシーンも大半見当たらず)、かといって「男性と女性が行為に及ぶ」といってもPG12なので当然限界があるし、かと思えば星空がどうだのといった話をするので、何か別の映画のフィルムをあれこれ貼り付けて作ってるのか??というほどわかりにくいです。というかわかる方いるのかなぁ…。
ただ大半は(他の方も低評価であることからもわかるとおり)かなりの方に理解がしがたいというものであって(私もかなり理解できない)、スロバキア?のホラー作品はこういうものですよという視聴の機会があったこと(またそれを提供してくださったシネマートにも)は良かったことですし、何より「理解はしがたいが不愉快にするようなシーンほかもなく腹も立たない」という点においてもそれほど低評価かというと微妙です。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.3/ホラー映画というかどうかきわめて微妙)
・ もっとも、チェコスロバキアという国をテーマにした映画自体が極端に珍しく(ちなみにエクストリームの供給で、同社の映画は「いい意味で」ネタ映画が多いが、この映画はネタとまでは思えない)、おそらく「ホラー映画」という考え方そのものに国自体の考え方の違いがあるんじゃないかなと思います(日本からみても、隣国であるところの韓国、中国、台湾ほかではだいたい一致するし、アメリカほかでもかなりの一致さはある)。この点については文化の差といういかんともしがたい点があることまで考えて減点幅は考慮しています。
ただ、ジャンル分類として「ホラーか」というと極めて謎です(かといってアクションかというと絶対違うし、謎解きものでもないし、どれかに入れろって言われたらホラー?)。
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現代版グリム?
あまりにも静かな展開が続いたので気付かないうちに寝てしまっていた(゚A゚;)ゴクリ
他のお客さんはイビキかいて寝ていた。
仲間がいて良かった~という安堵感でいっぱいだった(笑)
ところどころしか見ていないので何だか申し訳ないのだが、魔女狩りホラーというキャッチコピーが気になって鑑賞したものの、観た感想としては現代文化についていけない田舎あるあるを感じさせるというような内容だった。
現代グリムと解釈したら分かり易かったのかもしれない。魔女狩りとイメージするものは、中世期ならば火炙りといった拷問を彷彿させるが、今作品では誰がどう見ても軽蔑でしかない。
ラストは姉妹力を合わせ逞しく生き抜くエンドロールだったが、せっかくの魔女狩りだと謳う内容にしてはヒトコワなのか、魔女狩りに現代の要素をプラスしただけに過ぎない内容の印象。
あれでは、幻想的だと思う綺麗な場所で撮影しているのにストーリーや設定が台無しにしている。
蛇と幻視と痔の薬
山間の村で起こる魔女狩り的思想のお話。
幼い頃、妹を崖から落として亡くしてしまった女性が遺産整理がうんちゃらという手紙を市長から受け取り、村に帰ってきて巻き起こるストーリー。
なかなかショッキングな事故のプロローグから始まって、章立ててみせていくけれど、帰ってきて早々に偉そうな若者軍団に???
そして彼らだけじゃなく他の大人たちもみんながみんな、言動がまともじゃないというか自己中というか非常識というか…全員情緒不安定ですか?
話しの流れはわかるし胸くそ悪さは悪くないけれど、100年ぐらい前の話しならまだしも、やり過ぎな感じがあり得なくてすんなり入って来ず。
市役所以外に行政組織はないんですかね。
そして…えっここで終わり!?
なんにも終わっていないんですけど…もう少しリアリティを持たせて上手く練ったらそれなりに面白くなりそうなのにという感じ。
ラメ入り蛍光発色の曲線美
新進気鋭の女性監督が、耽美的なシーンを盛り込みつつ、今だに家父長的な因習から抜けることのできない人々を描く。
そんな意志は伝わってくるが、全く回収されないエピソードがあったり、回想シーンのあの女性は誰? みたいに、物語が進行すればするほど、頭がこんがらがってくる。
あの村の人達は、魔女のことをそんなに信じてないよね。それに、魔女のたちの踊りはLSDを喰らった効果じゃない?
妹の秘密はミエミエなんだけど、あの髪型激変には驚いた。
妖艶というかエロチックな魔女の踊りのシーンは芸術点が高い。ラメ入り蛍光発色の曲線美もオススメでございます。
いったい何を見せられたのだろう
「現代の<魔女狩り>フォークホラー解禁」というキャッチコピーと、珍しいスロヴァキア、チェコ共和国映画ということに惹かれて鑑賞。
たしかに、焚火を囲んで全裸の女たちが踊り狂ったり、時々白い蛇が這い出てきたり、女たちに水をかける風習、月光浴などが描かれたりする。しかし、前後のつながりを無視したシーンがあまりにも多く、多くの伏線らしきものは回収されず、いったい何を見せられたのだろうと、首をひねりながら席を立つことになった。
既に決まっている。
レビュー・タイトルで「既に決まっている。」としたのは、ポッド・キャストの一人の司会者がオンエアー中に本作のレビューを読んでいるときに涙を流すほど感動したことで資金提供を決めていることから何が決まっているのかというと "次回作" です。
すみませんでした。興ざめをするコメントを載せて...
ところで
シャロータが村を訪れて初めて知り合いとなったミラが彼女にこんな事を聞きます。ただし、あくまでも映画の中で使われていたスロバキア語ではなくて英語ですけど... 何か?
Mira: What do you actually want?
Sarlota: What?
Mira: What do you want from life?
シャロータは...
Sarlota: I'm not sure if I'd make a good mother.
You know, my mom... I don't want to
be like her.
その後、彼女は言葉を絞り出すようにミラに過去の出来事を吐露します。そして、あたしは会話が終わった後のシーンで「ハッ」としてしまいました。それは実際にしているのかは別にして、彼女の女優魂を垣間見た瞬間かもしれません。
子供の頃から知り合いで近所のおばさんアンナがシャロータにこんな事を警告するように告げます。(※アンナの方がどう見ても魔女です)
この会話の後には、本作の核心部分があるので割愛させていただきました。失礼
Anna: The witch killed Tamara after you escaped from
her.
Sarlota: I escaped from my mom. She was beating me.
Anna: Such a sin... Your mother waited too long. But our
lord made her pay for it.
Sarlota: Waited for what?
Anna: Baptism. Witches only take unbaptized children...
sacrifice them and bathe in their blood, so they'll
stay young forever. But if they steal a baptized child,
they raise it as their own. That was why the witch
came here, settled down, and waited.
Sarlota: Waited for what?
Anna: For another unbaptized child.
魔女に関するファクターも関係するために作中、スロバキアのキリスト教徒の年中行事を絡めながら時系列の中にノンリニアー・ナラティブで効果的に過去の出来事を振り返るようにプロットに差し入れている。
その行事の中にはキリスト教徒にとっては最大級のイベントであるイースター(復活祭・今年は3月31日(日)で終わり、来年は4月20日)があり、その翌日の月曜日にチェコやスロバキアでは "Oblievačka" と呼ばれる伝統衣装を着た男性たちが女性に水を浴びせ、お手製のヤナギの枝でたたくスラブの春の到来を前に若さや強さ、美を象徴するための伝統行事が行われる。でもスロバキア女子からすると嫌がらせにしか思えないイベントで、「実際にいい思い出がない。」と言う女子たちもたくさんいることが映画にも出てきています。
そして、何よりも映画のシンボルとなる行事... カルト教団による恐怖を描いた『ミッドサマー(2019)』でも取り上げられた洗礼者聖ヨハネの誕生を祝う "夏至祭"
その事は作中、たき火をたいて、人々はその周りを一晩中踊り明かし、魔女を模った人形を焚火の中に入れて燃やすシーンも見ることができます。
それと彼女たちの守護神のように登場するオオカミ
西暦1世紀まではスロバキアの首都ブラチスラバにケルト人は住んでいたとされる。(「ブラチスラバのケルト人」展より)多彩なケルト神話によると、獣人化、つまり人間の魂が体から抜け出し、オオカミに変身して野山を駆け巡るとされ、その事は『Wolfwalkers』の題材にもなっている。
ところで近代西洋思想や哲学において、今までは「陰」と「陽」が対峙して相容れない存在だったものが東洋思想が持つお互いを認め合い補填しあう関係へと徐々にではあるが変化がみられる。「陰」は物事の中、内面へ入ってくる力であり、「陽」は外へ出ていくパワーということになり、お互いには干渉することはなく、塩梅でバランスが保たれている。それを象徴しているのが2012年の韓国フュージョン・ドラマ『The moon that embraces the sun』の世子(セジャ)イ・フォンのセリフより
It's a moon that embraced the sun. The sun refers to
the King and the moon refers to his wife. This white on
the accessory is the moon. And the moon is embracing
the red sun, so I call this "the moon that embraced the
sun".
You're the only person in my heart.
だいぶ話が横道にそれました。
健康志向の方なら一度は聞いたことのある "月光浴"
あたしの身勝手な解釈... 月光浴が本作『ナイトサイレン 呪縛』のコアな部分と考えている。なぜなら
“It is the very error of the moon. She comes more near
the earth than she was wont. And makes men mad.”
—William Shakespeare, 『Othello』より
天文ナードかも知れないシェークスピアさん。月が992年ぶりに地球に大接近したスーバー・ムーンは2023年1月23日に人類は体験している。 それとは関係ないけど、南の島で暮らしていた時、月を眺めていると...
「月をそんなに見つめていては好くないよ。」ってイギリス系の男子から言われた事をシェークスプアの言葉よりも思い出す。それに関しては、オックスフォード英語辞典(OED: Oxford English Dictionary)によると
Lunatic: from late Latin lunaticus, from Latin luna “moon”
(from the belief that changes of the moon cause intermittent insanity)
そもそも女神"Luna" の名前は "lunatic" の接頭辞で古代ギリシャの哲学者によると人間の臓器の中でも「脳」が一番水分を含んでいることから、月の満ち欠けに左右されるとされ、その事が人の精神にも強く影響すると考えられていた。
でもこの映画では真逆な解釈をあたしはしている。それは... "月光浴" という言葉より
「日本では、中秋の名月で知られるように月を愛で、月をいとおしく、そして神格化によるオゴソカさを敬ってきました。」わたくしの持論!?
それに補填するように追随して、あるサイトでは月光浴と月の反射光についてこのように語ってもいます。
"Through gossamer threads of billowing clouds, moon
bathing in reflected light can penetrate your soul."
北欧の人たちにとって日光浴は食物では摂ることのできないビタミンDを手っ取り早く得る為に必要とされるけれども、その反面、あまりにも直射日光はきつ過ぎて軽い火傷を負った経験のある方はいないのだろうか? スピリチュアル的で幻想的な事を含めて、"月を愛でる"心がもたらす効果として、前述の『The moon that embraces the sun』のセリフより理解ができ、また
前述のサイトでは
The idea is that spending time in nature can bring
healthful benefits, for both body and mind. It is a
very fine idea, if you have a forest nearby, or are fit
enough to go traipsing through the woods...(一部割愛)
You can simply find a comfortable chair outside on
a moonlit night.
いくらの人が知っているのだろうか?
精神という内面の部分を...そのようなあまり分かってはいない、解明がされていない領域、脳機能の分子メカニズムにおいて、月の光が過去のトラウマを洗い流し、そして人が知る由もない内面の隠された部分を、月の光が映し出し、そして投影されたものが、外側におけるリアルライフへの導きとして我々を照らしている。
チャプターごとにプロットが進んでいく本作
個人的意見として、本作には男性は出てきても男ではありませんから何か?ただの色気づいた女性を女性と思わないロクデナシです。だから本作はミサンドリーに対して人生を真剣に考える女性がトラウマとして過去のことにとらわれるフェミニズム・フィルムとなり "呪縛" というセコンダリータイトルにも納得ができるようにもなっている。
ただし、前身の TOCANA 時代の「観たら死ぬ」なんてタグラインを使う企業センスからすると社名を変えたことで少しは良くなったのかな~って!? 極端な上から目線でのコメントを失礼するとともに...
ラスト近くになると佳境を迎え、軽いチェンジ・オーバーを繰り返されるけれども、嫌みが無く、それがかえって話の核心部分(シャロータの母親は本当に魔女だったのか?死んだはずの妹の生死は?)への視聴者の理解を補助するように分かり易く展開していく。それもこれも脚本も担当したテレザ・ヌボトバ監督の辣腕であり、表現では、撮影を担当したフェデリコ・チェスカによる人の心の深淵の深さを森の木々の配色で自然に描いている美術力によるところが大きいのかもしれない。スロバキアの現在も続く伝統行事を見た経験から、もしかして魔女というミソロジー的存在が現在でも人の隠された部分に脈々と受け継がれているのではないかというヤリキレナイ心の闇が現実世界へと月光によってツマビラカにされている錯覚を覚えてしまう。
そして、サブタイトルを挙げるとするならフェミニズムとは相容れない神と同じように崇められるべき存在の "母性" なのかもしれない。
唐突な終わり方でもラストのシーンを見れば、映画の質感が分かると思います。
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