2度目のはなればなれのレビュー・感想・評価
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心と言葉と行動
無遠慮で表面的で軽薄な現代社会を嗜めつつ、人生で何が大切なのかを考えさせてくれる作品。
高齢の主人公の前に自転車で割り込む若者のSorry。目的すら知らないのに、勝手に主人公の行動を見栄えだけの言葉で囃し立てるマスコミ。Ddayの式典も、ある意味においては同列にあるのかもしれない。身の回りに溢れかえる空虚な言葉に慣れてしまった自分に気付かされる。
揚陸艇で乗り合わせた若い戦車兵の記憶を抱えて再び渡るドーバー海峡。自分と同様に70年経っても癒えない傷を抱えた元爆撃機の搭乗員や元ドイツ兵達との邂逅。敵味方関係なく、70年経っても癒えない傷を抱え続けている。
それらを経て向ったDdayに亡くなった人達の墓地。式典で賑わう港町と対照的に全く人気がない。そんな墓地の無数の墓標の中で主人公が呟く「無駄な死だ」という一言。ここまでの過程が、この言葉に重みを与えている。
成すべき事を成し、妻の元に帰った主人公。ようやく70年前の事を妻に打ち明ける。内に秘めてきたものを晒す、まさに男のストリップ。そんな夫に妻が返す言葉には愛が溢れている。しかし同時に、その時間を得られなかった墓標の下の兵士とその家族、恋人達の事を想うと複雑な気持ちになる。
「次は一緒に」という言葉通りのラスト。最後まで心をともなった言葉に行動が重なる誠実な結婚生活。
…
マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソン、50年ぶりの共演にして70年寄り添ってきた夫婦役。年齢的に体は自由に動かない、表情から感情を読み取りにくい時もある。しかし、それを逆手に取るようにして、喜怒哀楽といった感情と愛嬌、ユーモアをたっぷりと見せてくれた。感情豊かな二人の瞳がとても印象的。
…
ドイツの人達は式典のパスをもらって嬉しかったのかなと疑問に思った
心の傷、忘れられない後悔ありますか?
主人公は、90歳。病を患う奥さんとともに過ごしている。若い頃の戦争での出来事、男の約束を果たすため、海を渡る最期の機会。でも、奥さんを連れて行くことは、できない。送り出す奥さんだったが、過去のフラッシュバック、思い出す戦争時の日々。
なぜ、「2度目のはなればなれ」なのか。老いた夫婦のそれぞれの気持ちに、感動してしまうのは仕方がないです。
こういった予期せぬ出会いがあるから映画鑑賞はやめられない。
ノルマンディ上陸作戦の70周年記念式典に1人参加するために旅に出た90歳の老人の話。
老人には70年連れ添った妻がいて、これがまたユーモラスで魅力的な人だった。
2人の掛け合いや慈愛に溢れたような眼差し、時に子供のような茶目っけある振る舞いや海を見る険しい眼を見て、なるほど。これが名優に成せる表現かと引き込まれた。
これは長く連れ添った夫婦の単なるラブストーリーではなく、自分の大切なものと向き合って1日1日を大切に生きようとする人生謳歌の者たちの話だと感じた。
この作品を鑑賞し終えて、自分の人生で大切な人たちの顔を思い出した。
もう今では会わなくなった人、会えなくなった人。
この作品を鑑賞できて心から良かったと思う。
ずるいよ、こんなの感動するに決まってるじゃん
いや、予想はしてましたけどね。
非常に素晴らしい作品でした。
レネがいつもオシャレしてるのがカワイイし、バーニーが注目されて浮かれてしまうのもカワイイ。
元ドイツ兵との出会いも予想を超えた展開で、胸熱です。
あの手紙はどうなったんだろう……
人は生き、人は死んでいく。As Time Goes By
実際にあったのは1度しかないFB友に、
「リュウジさんの好みだと思うよ」と勧められた作品。
きっと観る人の年齢や性別、置かれた状況ごとに
「見方も受け取り方も全く異なるんだろう」な。
そんな懐の深い&受け手の考える余白がある映画でした。
大筋的にはお迎えが来る寸前の高齢ご夫婦の
一生涯【ラブ】ストーリー(なんでしょうけど)。
人生の終盤をどう生きるかを意識し始めた自分は
ヨボヨボのじーさまの思いに重ねてました
(例:自分は立ち戻って決着をつけるべきものはある?
いや、もう済ませてるわとか。
自分たち夫婦はどういう幕切れを迎えるんだろうか、とか)。
あと奥さん(というか女性)は強いわ。
「男はいつも待たせるだけで(待たせてしまう、か)」に対し
「女はいつも待ちくたびれて」ではない思いの強さ。
「またひとつ女の方が偉く思えてきた」でしたわ。
それと出会った元ドイツ兵の人の表情。あれは刺さりました。
「老人も老兵も死なず、ただ消え去るのみ」。
あと、字幕は戸田奈津子さん(おっ、久しぶりかも)。
奥さんのセリフのなかで「事実」と訳した部分。
ここがどうもしっくりこない。
ま、自分には思いつかないんだけどw
なんだろう?ここのピースをうまく嵌めたいのだが…。
(戸田さんは映画「プライベートライアン」で
トムハンクスが戦死する際の一言の訳もしっくりこず、
シネマノベライズの訳でようやく腑に落ちた経験持ち)
お隣はポップコーンのバケツを手に入ってきた
20歳前後の女性2人。
「なぜ、この映画を選んだんだろう」
「彼女たちにはどんな風にこの映画は映ったんだろう」と
そんな風なことも思いながら、鑑賞も終了。
帰りの電車&布団に入ってから、いろいろと考えたわ。
考える映画はいい映画。
ところでじーさまは初対面の戦友の“最後の願い”は
彼の奥さんの元にちゃんと届けたよね。
で、缶は「これはあなたに」ともらった解釈でOK?
一緒に年を重ねる相手がいる幸せ
観るタイミングを逃して終了間近にやっと観れました
ほのぼのとしたストーリーかと思えば、心にズシリとくる作品でした
あらすじ通り夫婦愛がテーマでしたが、もうひとつ、戦争から帰れた人の心の重りもテーマだと思いました
無事帰れたからめでたしめでたしではなくて、生き残ったという罪悪感を抱えたまま生きる辛さ
悪いのは戦争で、生き残った人には何の責任もないのに
誰にも相談できず、その罪悪感から自分を解放できるのは自分自身で、だから何十年も罪悪感を抱えたままなのかもしれません
そして夫婦愛、バーニーとレネの夫婦愛が本当に心にきました
送り出して帰りを待つ妻、あの心の強さがすごい
「私達は結婚してから1秒も無駄にしていない」、そんな風に言えるって素晴らしすぎます
ごく自然に会話しているラストシーンがまた美しくて、もう涙ポロポロ
一緒に年を重ねる相手がいるって本当に幸せな事だとつくづく思いました
そして、やりたい事はやるべきなんです
これが実話だと後から出てきてさらに感動でした
慈愛に満ちた作品
戦争のトラウマというかやり残したことを
やり遂げる主人公バーニーと
その目的を黙っていてもわかり、帰りを待つ妻のレネ。
黙ってやり残したことをやり遂げるためにいなくなる夫を
妻はちゃんと理解しているのだろうと思うのですが、
その関係性と慈愛の深さに敬服するばかりでした。
やり残したことをやり遂げたからこそ
充足していた人生だったと思えるのでしょうね。
それを見守る妻も然りで。
ww2時と現在、2回にわたり夫を送り出す妻。
だから2度目のはなればなれ。
3回目は一緒に行くという妻。
行き先は、、、
バーニーを始めとする退役軍人の佇まいが
キリッとしていて好きです(特にバーニー)。
さらにはフランスで出会ったドイツ人の退役軍人との
やりとりにはグッときました。
自分自身、老後と言いましょうか、終い方を考えさせられ
ました。私事ですが今夏に亡くした母のことを思うにつれ
自分の死生観にも思いを馳せてしまう作品でした。
優良(有料)老人ホームのオシドリ夫婦に癒やされる
マイケル・ケイン(1933年3月14日生まれ)の引退主演作。
私が印象に残っているマイケル・ケインは2000年のサンドラブロック主演のデンジャラス・ビューティーのお〇まのメイクアッププロデューサーのベクター。
あのとろ~んとした目。下瞼のぷよぷよ感。やり手のオ◯マ感がスゴかった。
イケメンの若いころは全然存じあげません。すみません。
Dデイ。
うんっ、デイリーヤマザキのポイント5倍デーか?
予約するの忘れていたけど行ってみようかな?
アタシのことは大丈夫だから、行ってきなさいよとレネ(グレンダ・ジャクソン:同じく1933年生まれ)に背中を押され、早朝のドーバー行のバス停へ。
出勤してきた施設職員にどこに行くの?お散歩?などと話しかけられているうちにバスが行ってしまう。タクシーを飛ばしてフランスにわたるフェリーに乗る。真っ青のビニール袋と手押し歩行器だけ。ちょっとボケてる。計画性ゼロ。レネが長年面倒みてくれていたせいだね。イラク戦争で地雷で片足をなくした黒人のあんちゃん添乗員や寂しい元英国空軍兵のアーサーにとても親切にしてもらってホテルのツインルームに泊めてもらえたよ。PTSDについてのフラッシュバック描写。アーサーは何となく小堺一機にみたいな雰囲気の俳優さん。退役軍人たちの同窓会的な式典。オバマがオマハ・ビーチで演説したのは2014年の70周年の時。
サーベル・コースト。
戦車をのせた揚陸艇のチーフだったボーニー。戦車兵から恋人の写真と手紙の入ったタバコ?のブリキの小箱を突撃直前に託される。ボーニーの目の前で戦車兵は上陸してすぐに砲弾が当たって帰らぬ人に。過酷なノルマンディ上陸作戦。
リナ役のグレンダ・ジャクソンは公開直前に亡くなって、遺作になってしまいました。菅井きんさんや金さん銀さんを思い出していました。
リナはボーニー意外にも複数のイケメンと付き合っていたみたい。
部屋に散乱した古い写真がね。
警察も臨機応変にSNSを活用し、大脱走した バーニーは一躍時の人に。
テレビで観ていたリナ。
バーニーがいろいろ報告するんだけど、知ってるわよ❗
意外と素っ気ないところがリアル。
お金貯めよーっと。
邦題が…
主題は
「主人公はなぜ追悼式典に参加したいのか?」ということ。
この邦題はそれを無視し、「夫婦関係」にしてしまった。
(もちろん、夫婦関係も主題の一つではあるが、メインではない)
でも内容は良かった。
主演2人の出す「空気感」みたいなのが伝わってくるし、式典に行くよう命ずる奥さんは特に良い。
周囲のあたふた感というコメディと、長年の「心の棘」との対比、元ドイツ兵との交流…
シンプルながらいろんな見どころがある作品。
「新宿で」
今年248本目。
TOHOシネマズ新宿で。チケット売り場まではありましたがスクリーンは初めて。初めての映画館はワクワクします。戦争から帰って来た時は本当に苦しんでいるのが分かった。固まっていて触れたらくだけそうだった。ここが一番印象に。任務をこなす老兵がいた、90歳でも自分もそう生きたい。
癒やされる〜☺️
心穏やかに、ホロっとさせられる、そして落ち着いていろいろ考えさせられる、これぞエンタメって素晴らしい作品ですね🥹
どこぞの内山作品(もう、言わないつもりでしたが、どんな作品にも引き合いに出せるって事に気づいて、ある意味あの作品はプラスの5点満点付けるべきが正解だったのかもと思い始めています😁)とは真逆で、落ち着いていろいろ考えさせられるって言うのがポイントです(笑)
どこぞの内山作品(しつこいな(^^ゞ)を観た直後でしたら、4.5を付けていたかもしれません😌
品格ある反戦
参戦する一兵士にとって戦争とは何か。
戦いが兵士に家族にその人生に及ぼすもの。
死、怪我、別れ。不安、恐怖、悲しみ、後悔。
失われた1人1人に人生がある。
送り出す者にも苦悩がある。
戦いに赴いた兵士は敵味方の区別なく、
尊厳と苦悩と悲痛を共有する。
命を失った者、大切な人を失った者。
身体に傷を負った者、心が壊れた者。
戦争という行為は市井の人にとって
何の益もないことが静かに示される。
そして人として大切なモノ・生き方が
終焉を迎える老いた2人の姿にある。
戦闘の準備が進む沖縄では、2万名を
超える自衛隊員が辞めているという。
決して戦闘地に行かぬ施政者、
行かされる我々庶民、
いずれも心して見るべき作品。
良い話の一言で片付けてはいけない
戦局を決めたノルマンディ上陸作戦を共に戦い、彼の地で目の前で亡くなった戦友を思う。戦争という我々の想像を遥かに超えた厳しい時代に青春を捧げて、せめて次の世代は戦争のない平和な時代をと願って自分たちの国は正しいと信じ戦ったあの頃を思う。
彼ら老夫婦を取り巻く環境は小さいけれど温かな幸せに満ちているし、お互いを気遣い、愛を積み重ねながら、自らが存在したことを世間に示しながら天寿を全うしていく姿はとても素晴らしい。カットも丁寧に積み重ねられていてふたりは常にチャーミングで前向きだ。遺恨を残しているはずの元敵兵とのエンカウントも素敵な話に昇華しているし、トラウマと向き合う姿も感動的だ。
あまりの素晴らしさに涙が溢れる映画だが…ちょっと待て。
第二次世界大戦での世界の戦死者は5千万人。明治の終わり頃の日本の人口と同数の命が失われている。
5千万通りの、あったはずの未来の幸せや人生が失われて、その犠牲の上に今の我々の、世界の毎日が成り立っていて、とはいえ愚かにも人類は終戦後もずっと紛争や戦争を延々と続けていて、ここ最近のウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナの戦争はそのまま次の大戦にまでもつれ込みそうな勢いだ。
この80年の間に日本はジリジリと国際的な地位を下げて曾祖父さんの世代が望み創り上げた「子供達が当たり前に腹一杯食べて毎日笑っていられる世界」はとうの昔に失われてしまった。街には移民や旅行者が溢れて治安は悪くなる一方で、楽して儲けることこそが美徳で汗水垂らして働くのは勘弁で他人からの承認が全ての世界が回っている。これでは未来のために戦った世界中の英霊に誰ひとり顔向けができないのではないか?どうしたら個人の小さな力で戦争のない世界を実現できるのか?そんな思いが映画館を出て夜の寒さに震える私の胸に去来した。
みたいな文章が書きたくなる映画です。日本の湿っぽい反戦映画をこんな詩的に仕上げられる英国人のセンスに脱帽しました。まあ敗戦国で自虐史観しか植え付けない教育受けてたらこれは作れないよね。さすが戦争に負けたことのない国だわ。
マイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンの老夫婦がお互いをずっと愛し続ける姿は、倦怠期を過ぎてパートナーに興味すらない人々には眩しすぎるかもしれないから夫婦やカップルで行くのはお勧めできないかもしれないと思ったりしましたね。
それでは次回をお楽しみに!
あと選挙に行ってから映画見よう!
ハバナイスムービー!🎞️
The Grate Escaper
イギリスの海辺の町の老人ホームに、妻のレネと共に住んでいるバーニーは、退役軍人(元海軍兵)。
ノルマンディー上陸作戦に従軍していた。
70周年式典の開催にひとりで向かうのだが、齢(よわい)90歳。
施設では突然いなくなったバーニーが脱走したのかと騒ぎになり…といった物語。
鑑賞前は「ハロルド・フライ」のような高齢者のロードムービー的な話かなと思っていたが(似た要素ではある)、戦争のつらい思い出と妻との絆を描いた話である。
心がひどく傷む戦争の記憶。フラッシュバックするダグラスの姿。バーニーの背中を押し、また迎え入れ、最後まで寄り添った妻との姿に涙した。
邦題が良いと思った。字幕が戸田奈津子さんで、こちらもお久しぶり。戸田さんも88歳、感慨深い。
マイケル・ケインの出演作を見たのは「サイダーハウスルール」(1999)が最後だったため、おじいさんになったなあと思うと共に、これでもう引退と知ると、とてもさびしく思う。
邦題の意味がジーンときました
原題は「The Great Escaper」ですが、邦題の「2度目のはなればなれ」というタイトルがピッタリだと思いました。個人的に、この映画は退役軍人のバーナーだけにフォーカスした話ではなくて、バーナーとレネの夫婦の物語だと感じたからです。
90分ちょっとの上映時間なので観るのに疲れることはないですが、読了感もしっかりありました。何のために誰かと一緒に生きるのかということが一番考えさせられました。
感動系の映画を見たいと思って選びましたが、その思いは満たされながらも単純なお涙頂戴映画ではなかったです。戦争を経た人たちはいつまでもその思いから逃れられないということを知らせてくれる映画だったと思います。
戦争体験世代
週刊文春のシネマチャートにて、評者5人中全員4つ星以上うち2人は5つ星だった。よくある老人向けの映画だろうという先入観は捨てきれなかったものの、結局、気になって観に行った。
イギリスの名優といわれるマイケル・ケインとグレンダ・ジャクソンだが、50代の私にとっては、思い入れのある俳優ではない。つまり、よく知らない。それぞれ2度のオスカーを受賞しているということなので、ネットで調べてみた。
マイケル・ケインは、「ハンナとその姉妹」(1986)、「サイダーハウス・ルール」(1999)で最優秀助演男優賞、グレンダ・ジャクソンは、「恋する女たち」(1969)、「ウィークエンド・ラブ」(1973)で最優秀主演女優賞を受賞している。そのほか数々の各国映画賞受賞歴は枚挙にいとまがない。なお、グレンダ・ジャクソンは、1992年に政界に転出し、労働党から立候補して当選、運輸政務次官まで務めたが、2015年に政界を引退し、80代で女優業に復帰したという経歴の持ち主である。
この映画は89歳の退役軍人バーナードがノルマンディー上陸作戦記念式典に参加するため老人ホームを抜け出したという実話を元に描かれている。
老人ホームで暮らす老夫婦は互いに寄り添いながら人生最期の日々を過ごしている。老いの現実を美化することなくありのまま受け入れ、誇りやユーモアを忘れないところが魅惑的だ。一方、戦争の無惨さを伝える題材として、PTSDのメンタルケア、亡き戦友が眠る戦没者墓地への参拝などが挿入される。若いころに戦場で負った心の傷はずっと癒されることはないのだ。
老親を抱える50代以上の人にぜひ観てほしい映画である。戦争とは語り継ぐべきものなのに、戦争体験のある語り部は年々減ってきている。この映画は戦争を美化しているのではなく、そこで戦った老人たちを讃えている。
昨年87歳で逝去したグレンダ・ジャクソンは遺作に、3歳年上のマイケル・ケインは引退作となった。
経験した人たちが抱えてきたもの、感じてきたこと、向き合ってきたこと...
経験した人たちが抱えてきたもの、感じてきたこと、向き合ってきたこと
それは年齢による変化があるのだろうと思わされてきた
戦争を語ることのなかった人たちが、歳を重ねて語り出したり
実話を基にしたこの作品も、バーニーやアーサー、レネの年齢になって、あの時からこれだけの時間を経て、自身の先を感じ始めて、行動に移せた、向き合えた、語れたことのように感じた
彼らが抱えてきたものは、とてつもなく重く、辛く、苦しい記憶
けれど、彼らだけが特別ではなかった
みながそうだった
歴史に残るストーリーでなくとも、みなにあった
バーニーたちの過去と向き合うようなこの旅も、帰りを待つレネの記憶も、そんな無数の中のひとつ
それでも、これほどに重く、胸を締め付ける
涙を抑えることなど出来なかった
バーニーも口にする、事実、truth
たくさんの事実
分かっていたはずのそれに気づかせてくれた
シリアスだけでなく、お茶目で、ユーモアも混ぜながら
忘れがたい作品
いろんな想いを残してくれた
最後の時間が、少しでも穏やかに過ぎたことを願わずにはいられない
266 大脱走する者
2024年公開
晩年はバットマンやフォーホースメンの隠れた親玉を
演じて人間味あふれるフォロワーを演じてきた
マイケルケインの引退作。
奇しくも共演のグレンダ・ジャクソンも本作が遺作となる。
館内はワタシと同世代の方たちで溢れており
これから迎える人生のラストマイルにどうするか
を一緒に体験したいと思っているに違いない。
ちなみに過去にオトンが施設から自宅に戻るため
脱走をよく企て、その際は施設内総出で居所を探したらしく
それが海を越えて異国に旅行となると
どのようになるか想像するに笑える。
バーニー(ケイン)は長嶋監督似の元軍人と行動を共にし、
お互いのケジメをつけるためにD-DAY式典に参加せず
米軍英霊墓地を訪れる。
敵であったドイツ兵との語らいも涙を誘う。
奥さんのレネとは残りの時間を一緒に暮らしていこうと
誓う。散歩時いつもイラっとさせる自転車野郎の愛車の
空気を抜くイタズラをしながら。
音楽もサントラほしいね。
あーいい話でした。
字幕は戸田奈津子御大。
この方もまだまだ頻度は少なくなるも頑張ってますな。
70点
鑑賞 2024年10月19日 京都シネマ
配給 東宝東和
全73件中、21~40件目を表示