「バイオらしさは感じられるエンターテインメント」バイオハザード 不都合な真実さんの映画レビュー(感想・評価)
バイオらしさは感じられるエンターテインメント
公開から15年以上経っているが、何となく食わず嫌いしていて、鑑賞する機会がなかったこの作品。
本家ゲームのバイオハザードはすごく好きで、学生の頃プレステ版で初登場のゾンビに震え上がってしまったのは懐かしい思い出。
この作品中に登場する、アンブレラ社。そこが共通項となっている以外はほぼ別物の映画。
原作、そして初めのバイオハザードと比較してしまうと、ストーリーも違うし、迫ってくる恐怖という意味では「うぉぉ、怖いな…」とは思えない。
とはいえ、評価できる点も多々あり。まず、アリスを演じるミラ・ジョヴォヴィッチが美人。血なまぐさい世界観にミスマッチな美女。これがいい。この作品ではあまり活躍らしい活躍はしないが、これから続く続編への期待を高める。
次に、相対するのはAIコンピュータ。その裏では何かが暗躍しているのだろうが、無機質との闘いは人間の心理を思った以上に狂わせるので、敵でありながら、解決方法を聞き出さなければならない、という奇妙な矛盾が不安を掻き立てる。
逆に、悪い点を挙げてみる。
ウイルスに感染した死体たち。
これはとてもフレッシュな死体なので、もちろん腐っていない。なので、怖くない。肉のそげ落ちた人外の亡者が人を喰らう。これが初期バイオハザードの恐怖の最たるものだった為、ここが欠如しているのは残念。
想像よりもグロテスク表現がない。というか、皆無。
エンターテインメント性を重視するならば仕方ないのだが、ゴア表現が無い。これはホラーとしての重大な要素を欠落させてしまっている。
PG12だから仕方ないのかもしれないが、そもそものゲーム版だって小学生向けではない。
気持ち悪い、痛い、怖い、こういった要素が苦手な人が見られないぐらいの表現でも良かったのではないか。
せめて、ゴア表現は無くとも、原作で有名な「かゆ……うま……」ぐらい不気味な手記を見つけるシーン等は盛り込んで欲しかった。
総評。
これはホラーではない。サバイバルアクションエンターテインメントだ。
一定以上のスリルはあったし、見ていて飽きることも無かった。
しかし、ゲームのような戦慄する恐怖を感じられるかと言うと、そんなことは無く、アクション映画である。
気にはなったので、続編も観てみようと思う。