あなたのおみとり

劇場公開日:

あなたのおみとり

解説

「東京干潟」「蟹の惑星」で新藤兼人賞金賞、文化庁優秀記録映画賞を受賞するなど高い評価を受けたドキュメンタリー映画監督の村上浩康が、自宅での最期を希望した父と看取りを決意した母の日々を見つめたドキュメンタリー。

末期ガンで入退院を繰り返していた91歳の父・村上壮さんの「家に帰りたい」という言葉を受け、86歳の母・幸子さんは自宅での看取りを決意した。介護ベッドを置き、ヘルパーや訪問看護師が出入りする生活が始まるなか、ベッドから動けない父は何かと世話を焼く母に「ありがとう」と言うようになり、母はできる限り父の近くで時間を過ごすように。

徐々に食事を摂れなくなり目をつむる時間も増えていく父と、持病の悪化により自身の健康にも不安を抱える母。介護生活を続ける両親と積極的に関わりたいとの思いからカメラを回し始めた村上監督が、「老老介護」「オレオレ詐欺」といった高齢者を取り巻く社会問題や、花や虫などさまざまな命の姿を盛り込みながら、40日あまりにわたる両親の最後の日々を映し出す。

2024年製作/95分/日本
配給:リガード
劇場公開日:2024年9月14日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
製作
村上浩康
撮影
村上浩康
整音
河村大
編集
村上浩康
挿入歌
榎本健一
タイトル&イラスト
岩渕俊彦
宣伝デザイン
中野香
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フォトギャラリー

映画レビュー

人間という生き物の終わりを静かにみつめる

2024年10月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 自宅での最期を望んだ末期ガンのお父さんを看取るお母さんを息子である村上監督が記録したドキュメンタリーです。と言うと重苦しい映画を想像しがちですが、この映画の素晴らしいところは、登場人物の誰も、そしてそれを観ている我々も全く涙を流さないところです。ご自身のお父さんの死を記録するという感情に溺れることなく、死に向かって変化していくお父さんをクールに記録します。そこには、監督がこれまで撮ってこられた蟹やシジミ・猫に向けられたのと同じ様な、対象と少し距離を取った好奇心が窺えます。だからこそ我々も感動を強制される事なく落ち着いてお母さんの日常を見つめる事ができるのでした。

 また、老いた妻が長年連れ添った夫の最後を看取るというと「美しい夫婦愛」の物語になりそうですが、そうはしないのもまた本作の特徴です。お母さんは、これまでのお父さんへの恨み辛みをボソボソ語り、献身的と見える看病も最後の仕事を務めているだけとも映ります。それもまた、他人が伺い知れない老夫婦の現実なのでしょう。

 でもね、最後の最後。臨終間近のお父さんの枕元で次々と童謡を歌って聞かせるお母さんの姿には愛情が満ち溢れているのです。また、意識の混濁したお父さんが夢の中で小学校教師時代の授業を突然始めたうわ言に、あたかも生徒の様にお母さんが答える会話のお話は、これまで聞いた事もない美しい夫婦愛のエピソードでした。

 「自分の父親の最期も映像に収めるなんて映画監督は業の深い仕事だな」という思いが鑑賞前には少しあったのですが、上映後のトークで監督が「父の死を撮りながらも楽しかった。高揚感・充実感があった」とお話になったのを聞いてそんな疑問がスッと消えました。人間という生き物の終わりを捉えた見事な作品だと思います。

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La Strada

4.5「現実を見つめる」とは…

2024年10月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

元々ドキュメンタリーが好きで、色々なジャンルのものを見ていた。親の介護や死といった題材の作品もみてきたが、今回は子自身の眼(レンズ)を通して、「介護」という現実を見つめている作品である。

介護を題材にしたドキュメンタリーも過去見てきたが、今作は介護をする母、そして息子(村上監督)の眼を通して、「現実を見つめる」ことが如何に大切か、そして人生の最後を看取り、訪れる「死」をどう受け止めるのか…

そんな問いかけをされているかのように感じた。

自分にも高齢の両親がいて、これから正に「介護」という現実が、近い将来訪れることは理解しているつもりだ。
しかし、今作のように「介護」という現実を見つめ、人生の最後を看取ることができるだろうか?

この作品を見てから、そんな自問自答を繰り返している。正直、答えはすぐに出てこないが、そんな問いかけがあることすら、わからなかった(わかろうとしなかった)自分にとって、この作品に出会えたことに感謝せざるを得ない。

舞台挨拶では、村上監督の「私の看取りを通して、あなたならどう看取るか、そしてどう看取られるか、それを考えるきっかけにして欲しい。」という言葉が印象的だった。

今、このタイミングで今作に出会えたこと。これは正に運命そのものだと実感している。

この世に命を与えてくれた「親」という存在を今一度、見つめ直すきっかけを見出してくれた唯一無二の作品であった。

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Kchun

3.5お母さん、 とても素敵な人だった

2024年9月23日
iPhoneアプリから投稿

お母さん、

とても素敵な人だった

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jung

3.0それぞれの看取り方

2024年9月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

少し前に母を看取ったときのことを思い出しながら観てた。

お母さんが言ってたけど、ホント介護士さんを含め福祉に携わる人すべての給料上げてほしいと思う!!

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yoccy

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