私にふさわしいホテルのレビュー・感想・評価
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残念ながら休館中です。
新人賞を取って以来鳴かず飛ばずの小説家が、その作品を大物作家がこき下ろしたせいだと逆恨みして衝突する話。
単行本デビューもしていないのに自腹で山の上ホテルに部屋を借りて執筆する主人公の前に、文芸誌の編集者である先輩が現れて、上の階にかつてデビュー作を酷評した作家が缶詰めだと聞かされて巻き起こっていく。
まあ、コメディだからそんなアホな、な展開の連続もある程度許容できるけど、なんか妙にキレイに小さくまとめてしまった印象だし、これだと本当に酷評のせいだけということですよね。それとも書店員パワー?
そして何より、コメディとは言え主人公の人間性があまりにもという感じで、ドタバタ劇があまり愉しく感じられず。
なんか奇しくも同日公開されたI Like Moviesに通ずるものが…それよりはこちらの方がまだ受け入れ安さはあったけれど。
東十条の酷評に悪意があったのなら違っただろうけれど、それを無くしてのこの展開は人をコケにした様な感じでイマイチ刺さらず。
2024年締めの548本目で、大満足とはいかなかったけれど、まあぼちぼちだったかな。
舞台挨拶付で鑑賞。 のんはもっとふわふわしてるのかと思ったが、しっ...
舞台挨拶付で鑑賞。
のんはもっとふわふわしてるのかと思ったが、しっかり質問に答えていて意外だった。役もこれまでの猪突猛進なイメージは同じだが、性悪さを新たに魅せてくれたから新鮮。
あの手この手で、復讐しようとする姿はコントみたいで面白いが、ヒステリックになったり感情が乱高下するから観ていて飽きない。
田中圭演じる編集者の敵なのか味方なのかよく分からないころころ変わる感じも良い。
滝藤賢一演じる大物作家がのんに様々な嫌がらせを受けるシーンは爽快だが、可哀相さは無く情けない感じになっていてコメディとして良かった。まさかの関係性が変わる展開には笑わされた。
今年1年良かったなと思える締めの映画としてピッタリ。
昭和の香り漂う演劇調作品
のんのための、のん以外は考えられない作品
ドタバタコント
山の上ホテルは老朽化のため現在休業中で、歴史的建造物継承とホテル業再会を目指し、ご近所の明治大学が土地と建物を買い取り、必要な部分のみ改修工事していくという事をつい最近発表している。
私は数十年ほど前に友人の結婚式で1度だけ訪問したことがあるが、立地も良く、コンパクトだが重厚で風格を感じさせる素敵なホテルで、名だたる有名作家が好んで利用されたというのは納得できる趣きのある佇まいである。
人気作家がこのホテルに缶詰めになり、銀座のクラブに通い、文壇バーに入り浸る事はもはや昭和の遺物だが、80年代あたりではまだまだそう言う事が作家の間では流行っていたようだ。
のん演じる主人公の中島は作家としての能力はないが人気作家になりたい、人気作家のやる事がしたいという欲求だけは尋常じゃない程強く、作品や自分自身を評価してもらうためには手段を選ばない努力のベクトルが間違っているタイプ。
ストーリーは基本的に中島、田中圭演じる大学の先輩でエリート編集者の遠藤、滝藤賢一演じる大御所作家の東十条の3人のリアリティのないドタバタコントがほとんどだが、脇には光石研、若村麻由美、橋本愛、高石あかり、田中みなみなどの有名どころがズラリと揃っているが出演時間が短く気持ちいいくらい贅沢な使い方となっている。
のんと橋本愛のあまちゃんコンビの共演が話題になったようだが、二人とも良い年の取り方をしており、素敵な女優さんになったと思う。
のんの和服姿は本当に綺麗だった。
のん大活躍、楽しめました。
ドタバタすぎて「のん」の個性をスポイル
飲み屋で、怒鳴りまくるのは迷惑だよ
この作品、予告編を観てなかったので、どんな話か全く知らなかったが、大好きなのんちゃんが出てるので、期待高めで着席。タイトルから想像してたのは、ホテルで働く女子が頑張る話しだったのだが、始まってすぐ、のん演じる中島加代子が小説家だと分かった。ホテルで書いてたら、田中圭演じる学生時代の先輩で編集者の遠藤が現れた。遠藤が話したホテルの部屋の話、滝藤賢一演じる大物小説家の東十条を頑張らせる為に使ってるって?現代でも小説家ってホテルで頑張ってるの?モヤッ!東十条のせいで自分の評価が低くなったと怒っている中島が、あれ?嘘ついてんじゃん。それから始まる東十条とのバトル。髪型やファッションを変えたところで、嘘がばれない訳ないよ。納得できなくても編集者の遠藤の言う事を信じてあげるしかなかったんだろうな。
ずっと納得いかなかったのが、小説家に対する評価の仕方。大物作家や編集者の意見じゃなく読者の評価の方が重要じゃないのかなぁ。それと2人の小説の内容について触れられなかった事。中島がなんでそんなに自分に自信を持ってるのか謎すぎた。会話中怒鳴りまくる皆んな、自分を評価して欲しい中島、とても優しい遠藤、結構真面目な東十条、全てのやりとりがとても楽しかったです。
加代子VS東十条が最高!
原作未読ですが、おもしろそうな予告に惹かれ、のんさん主演ということで期待して、公開初日に鑑賞してきました。期待どおりのなかなか楽しい作品で大満足です。
ストーリーは、新人賞を受賞しながらも文壇の重鎮・東十条宗典の酷評により、小説を発表する場を失った新人作家・中島加代子が、作家気分を味わいたくて文豪御用達の「山の上ホテル」に泊まると、たまたま上階に東十条も執筆のために宿泊していることを知り、復讐に燃える加代子が執筆の邪魔をして原稿を落とさせることに成功するが、これを皮切りに二人のバトルがさらにエスカレートしていくというもの。
冒頭で、加代子と東十条の因縁、そこに加代子の大学の先輩で編集者の遠藤を加え、さくっと舞台を整えてくれているおかげで、すぐに作品世界に没入できます。以降は、予告で観たとおりの加代子と東十条のコミカルな攻防が繰り広げられ、最後までしっかり楽しませてくれます。
野心とバイタリティの塊のような加代子が、暴走機関車のような行動力で突き進み、それがテンポよく描かれているので魅入ってしまいます。これを、のんさんの勢いのある演技が支え、最後まで軽快感が損なわれることはありません。そのため、一見すると深みのない作品のようにも映りますが、最後は自らの手で成功の扉をこじ開ける加代子の姿が眩しく描かれます。大御所に忖度した古き慣習がお似合いの文壇ならではの不条理を、鮮やかに軽やかにぶった斬る痛快コメディであったと感じます。
そんな本作の魅力は、間違いなく加代子と東十条のコミカルなバトルにあります。時には策を弄し、時には罵詈雑言を浴びせる対決は、年齢や立場を超えた子どものケンカのようです。作中、何度も名前を変えた加代子の受賞作「魔女だと思えばいい」も、その内容はわかりませんが、魔女とは加代子のことであり、このタイトルは東十条に向けてのものだったのではないかと思ってしまいます。大御所と持ち上げられ、創作意欲を失いかけた東十条にとっても、加代子からの攻撃は自身を奮い立たせるカンフル剤のようで、心のどこかで期待して待っているような雰囲気を感じます。トムとジェリーのような二人の関係が最高に楽しいです。
さすがに大オチは読めてしまいましたが、それでも後味は爽やかで、満足感の得られる作品でした。タイトルは「私にふさわしいホテル」ですが、最後は「ホテルにふさわしい私」になった加代子の姿が印象的です。
主演はのんさんで、パワフルな佳代子を熱演しています。脇を固めるのは、田中圭さん、滝藤賢一さん、田中みな実さん、服部樹咲さん、髙石あかりさん、橋本愛さん、若村麻由美さんら。中でも、滝藤賢一さんの演技が秀逸です。ちょっと大物作家には見えませんでしたが、のんさんとの掛け合いは最高です。
ちなみにエンドロール後に、本作と世界観を共有した別作品の速報があるので、最後まで席を立たずにご覧ください。今度は、本作で書店員を演じた橋本愛さんが主演で、のんさんも有森樹李として登場するようです。そちらもおもしろそうなので、今から公開が待ち遠しいです。
よく噛み砕かれた脚本が秀逸
柚木麻子の原作は今から12年前の作品で原作者のキャリアとしては初期作品というべきもの。なぜ今頃映画化を、ということだが、これは現在休業中の山の上ホテルへのオマージュということなのだろう。原作と異なり映画は山の上ホテルの401号室で始まり501号室で終わる。
正直、原作は柚木の作品としてはあまり良いものとは言えない。主人公の加代子が、大学の先輩である編集者の遠藤と、文壇大御所の東十条宗則と絡み合いながらキャリアを高めていくということなのだが文体がまた拙いこともあって単なる悪ふざけとしか読めない。
ただ、加代子は映画の中で言及されているように、「青教大学」の演劇部出身ということだけで一切のブロフィールが示されない。これは加代子は原作者の100%分身であって新たな人物設定を要しなかったいうことなのだろう。(柚木は立教大学出身)加代子=原作者は、日本の文芸業界において新人作家をがんじがらめにする数々の不文律(新人賞は1回しか取れないとか、最初の単行本は新人賞を主催した出版社からしか出せないとか)に満腔の怒りを示しているのであってこの原作小説本が言いたいのはまさにその部分である。
映画はそのあたりを実にスッキリ整理しており、原作小説が言い切れなかったところをよく補完している。良い脚本である。
主役の三人はいずれも好演。ただ、のん、についてはもっと大暴れを期待してきたのだが。演出が常識レベルに留まったのか、のん自身がやや年齢相応に落ち着いてきたのか。そこはよくわからないけど。
のん、圧巻の存在感
山の上ホテルは情緒に溢れているけれど…
文壇において、大物作家の影響が実際にどれだけあるのかないのか。
私にはよく分かりませんが、面白ければ売れるし、つまらなければ売れない。また、売れ行きとは別に、大物作家がどう評価しようと、いい作品なら、ジワジワと「え、これ面白いじゃん。友だちにも勧めよう」と先入観を覆して評価が高まることはあるはずだ。それに、受賞してるのに大物作家が酷評してる作品ってどうなんだろう、と興味を持つ人も必ず一定数いるはず。
世の中は、大勢に流れる人と、天の邪鬼で多くの人々とは違うことをしたがる人で成り立っているからだ。
だから、いくらコメディとはいえ、作品の大事なポイントが、大物作家次第という筋立てがどうしてもピンとこない。
結果として、のんさんの孤軍奮闘なくらいの演技がすべて空回りして見えてしまい、後半は辛くなってしまった。
今年の〆の映画として観たが・・・
稀代のヒロイン。俺はのんをそう思っている。未だ事務所退所問題の影響なのか、出演作が限られる彼女だが、ここ数年の限られた出演作で、スクリーンに釘付けにする吸引力、独特の魅力、他の女優は真似のできない唯一無二の存在感を感じて来た。
なので、この作品の記事を見てから、公開を心待ちにしていた。
【物語】
加代子(のん)は短編小説で出版社の新人賞を受賞し、プロの小説家として道が開けたと思ったのも束の間、その受賞作を大御所作家・東十条宗典に酷評され世間の期待は一気にしぼんでしまう。 その後何作書いても出版社に評価されず、1冊の本も出せずに3年が経過する。それでも書くことを諦めていない加代子は、ある日名だたる文豪に愛された「山の上ホテル」に自費で泊って執筆に勤しもうとしていた。
ところが、彼女の部屋に大学時代の先輩であり、大手出版社の編集者・遠藤がひょいとやって来る。彼はたまたま同じホテルのスイートルームに東十条を缶詰にして作品を書かせようとしていたのだった。 東十条は翌朝までに作品を書き上げないと遠藤が携わっている文芸雑誌の記念特集に穴をあけることになることを聞いた加代子は、東十条が穴を開ければ自分の作品をねじ込むチャンスだと悟る。 加代子は東十条への絶好の復讐の機会がやってきたと、彼の執筆の邪魔を画策する。
その日を起点に加代子と東十条の因縁はさらに深いものとなって行く。
【感想】
うう~ん・・・
まあ、結構笑えたし、面白かったのだが、期待が大きかっただけに、満足するところには至らなかった。
本作の目的はのん観賞に尽きるのだが、今回はちょっとのんが空回りしているように感じた。のんはいつも魅力的ヒロインを演じるのだけれど、決して正統派のヒロインではない。個性的と言うか、ユニークと言うか、ひらたく言えば変人のような役が多い。 そう、普通は変人としか思われないキャラをのんが演じると不思議なほど魅力的に見えてしまうのだ。 が、今回のキャラは少々度が過ぎたかも。“変わり者”の範疇を越えて、異常な振る舞いのレベルにまで行ってしまって、「コメディーだから」と言ってしまえばそれまでだが、演技的にも、やり過ぎというか、イタイ感じさえしてしまった。少なくとも本作では唯一無二感は無かった。
対象的に田中圭はもの凄く抑えた演技で、作品としてはそれでバランスが取れているとも言えるのだけれど、俺はのんの魅力を堪能するために映画館に行ったわけで、そういう意味で満足できなかった。
のん目当てではなく、大き過ぎる期待も持たずに、「ふらっと入った映画館で観た」という人なら楽しめるかな。
年末にベスト級のコメディ
邦画には珍しいソフィスティケーテッド・コメディの佳作
お洒落でドライなコメディで、大ベテラン堤幸彦監督がこれまでとは打って変わって思い切った演出で、まるで「グランド・ブダペスト・ホテル」2014年や「アステロイド・シティ」2023年のウェス・アンダーソン監督作のよう。ほとんど主演を務める「のん」の為の「のん」による「のん」の映画ですが、タイトルはズバリ「山の上ホテル」でもよかったのでは。
処女作が世に出た瞬間に、大御所作家の酷評の憂き目にあい、以降鳴かず飛ばずのうっぷんを晴らすべく、とことん復讐に打って出るお話。のんのオーバーアクト気味のデッドヒートを、滝藤賢一扮する大作家が受け止める超シンプルな構成。何故か時代は1984年、共に学園紛争を経験した中での先輩・後輩として、大手出版社の編集者に扮した田中圭が2人の間に入り右往左往するのもまた定石で面白い。
ところがこの復讐劇がまるで日本人離れした、徹底抗戦かつ波状攻撃であるところがミソ。のん扮する中島加代子が、相田大樹、白鳥氷、有森樹李と名前も変えて、衣装も相当に凝りに凝り時代色を反映させながらもオシャレなトーンを貫き、その攻略ぶりがなかなか冴えて、ドタバタに終らせない。基調が本であり、紙とペンの香りが画面から匂う程に濃厚で、文学界への批判とともに情景も湛え、馬鹿馬鹿しくも知的な雰囲気が効いてます。背景も山の上ホテルのクラシックなインテリアをベースに、チリひとつないオフィス、豪華な宴会場から銀座のクラブ、銀座千疋屋のパッケージ(映画のタイトルバックまでこの柄)、カラオケスナック、昭和の豪邸と、生活感まるでないのがいいのです。
今日のニュースにもありましたが、芸能事務所による移籍の拘束については独占禁止法に触れると。まさにその辛酸に押しやられた能年玲奈にとって、本作での怒りの爆発と重なってみえる。とは言え既に時間ばかりが経ち、彼女も30歳超えに。基調は美人ですから安心ですが、本作も含め今のままのキャラを推し進めるのも難しいのでは。友情出演のように登場の橋本愛ともども、「あまちゃん」を引きずり過ぎるのも、如何なものか。
惜しいのは田中圭が本作ではまるでイケメン範疇に見えない点です。普段のはしゃいだような軽さを封印しているせいかもしれませんが、ひょっとしたら先輩・後輩の関係性から男と女の関係へ匂わせる手もあったのに、と思うのです。ハリウッド映画でしたら当然そうしたでしょうけれど。3人の中でひとり演技トーンが異なるのは確かです。
文学の香り漂う山の上ホテルも既に建物老朽化のために現在は閉館しているとのこと。ですが隣接する明治大学によって改修しホテルを再開の予定とか。ホテルってのは日常とは"真逆の別の日常"の場と言え、人の裏側も見える。だから映画でもよく描かれるのはそのためでもありましょう。
のんちゃんが 究極の悪女を演じる
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