私にふさわしいホテルのレビュー・感想・評価
全246件中、41~60件目を表示
のん の大冒険。 「主人公は私よ」って。 この自分ファーストは、やっば若い人には必要なんだろうな。
「私にふさわしいホテル」
これ、なんと厚かましくて、傍若無人なタイトルだろうかねぇ(笑)
それも「駆け出しの、実力不足の私ですからビジホで十分なんです」と言わずに「山の上ホテル」を自分におごるという彼女なのですから。
文壇と出版業界に私こそが下剋上をもたらしてやろうじゃないかって話なのだそうだ。
我が社でも、
のんと同世代の三十代の部下たちの、あの不躾さと甘ったれぶりには、僕はほとほと苦しんでいるんですがね。
「きりんさんにキツめに注意されたので辞めます」
「きりんさんみたいな怖い人とは仕事出来ません」
「なんで挨拶なんかしなくちゃならないんですか?」
これ、新人たちから何回言われ、会社にチクられたことか。
彼らは最後に出勤し、最初に帰る、
「ありがとう」が言えない。「ごめんなさい」も絶対に言わない。
すなわち、自分を《直林賞待遇》とか《山の上ホテル待遇》しない大人たちに対して、最近の若い人たちって、マジ突然牙をむくのですよ。
だから
彼らを拗らせないように、腫れ物に触るように先輩・上司たちは気を使うんです。
まあ、この映画は他人の物語だから、耐えられたし、笑えましたけども。
ストーリー的には、
批評家東十条の“下げコメント”のせいで、デビューの出鼻をくじかれてしまった新人類の作家=加代子が、自分可愛さゆえに憤慨し、大御所の選評作家にあの手この手と執拗に妨害を加え、報復遂行するという業界コメディだ。
で、仇討ちが忙しいから、本務の執筆は ほったらかしかよー!という展開。
とにかく小ネタの連発と、アップ顔なら任せとけ!の のんの顔芸で、終始可笑しくて一気に見せてはくれましたが。
( しかし、作家たちの日常を想うのだが、怒りや悔しさからモチベーションの力を得て、新作のための新しい文章って果たして生まれてくるものなのだろうか?
たっぷりの時間と、余裕。そして穏やかな気分からのみ、みずみずしい言霊は現れて来てはくれないものだと思っていた )。
彼らは
書けなくても書く。
籠もってでも書いてひねり出す。
嫌でもペンを持ち自己鍛錬を続ける。
そして編集者の叱咤と、自分を追い込む強迫観念。この闘魂が次作を生み出す原動力になるって、
・・この文壇の人々の実情。これって最早 筋肉アスリートたちの世界ではないだろうか。
「締め切りの苦しみ」や「ネタ集め」。そして語呂サイコーの「文豪コール」には吹き出してしまったが、きっと共感してくれた世の作家さんたちは沢山おられたのではないかな。
・ ・
最近非常によくある凶悪犯罪=自己承認欲求形の若者たちが
・すぐに傷ついちゃって、
・相手に対しては逆恨みをし、
「2作目を書かずに」
・たちどころに刃物やらガソリンやらを持ち出して、“敵”を刺し、放火し、自分を持ち上げずにコケにしてくれた相手を亡きものにしてしまう、
あの幼稚な、短絡的な犯行。
― のんの場合そういう展開にはならなくて良かったのだが、
しかし本作だって、ストーカー行為だ。コンセプトとしてはギリギリのすれすれなんだから
ギャグ映画としては僕はホントは思いっきり笑いたかったけれど
ふと類似する上記のような凄惨なストーリーを僕は想起してしまって、薄ら寒く、苦いものが少し残ってしまったんです。
これ、
「京アニの (自称作家による腹いせ放火事件) 」とかに見られる「勝手な思い込みの報復殺人事件」が、現に多発しているこの世の中だからです。
あと「ここはアウシュビッツか!」は不用意だし、要らない台詞。
「言われなくても書きますから💢」と再びペンを取り、原稿用紙に向かい直す のんは、まぁ健康なほうだ。
健康で良かった。
結論としては、
どんなに貶されて凹んでも、最後には原稿用紙に向かった 甘ちゃんの のん嬢を僕は許してやろうと思うし、褒めてもやろうと思った次第。
・ ・
のんの普段着の野暮ったいファッションと、受賞スピーチの時の出で立ちとの落差には目を見張ったし、
銀座のママ=田中みな実の着物も、そして東十条の妻千恵子 (若村麻由美)の芝翫茶の色無地、そしてラストの鮮やかな緑 (千歳緑?) の着物。あれは美しくて唸った。
東十条の執筆の姿勢の一途さも良かった。
つまり、
主人公のんは終始騒がしく喋べるけれど、田中みな実と若村麻由美の穏やかな話言葉がしっとりとそこを中和してくれるのだ。そして
コケにされ、小娘にいじり倒されてもそれでも作家としての意地を見せる大人=東十条の姿には、やはり打たれるのだ。
よい先輩役者や、優れた衣装さんあってこその のんの出番なのだ。
そして話の舞台があの落ち着いた山の上ホテルであるからこそ許されるドタバタ劇の収束だったかも知れない。
それら厚いバック態勢の支え無しには、のんはドラマ俳優としてはまだ小粒で、単独では主役を張れないんじゃないかなーと
ちょっと思った。
今後、別のイメージでの新境地へと脱皮できるか、だ。
でもそれらをすべて含めても、可笑しくってねぇ、
ジェネレーション・ギャップの大騒動をゲラゲラ笑いながら観てしまいましたよ。
のんが大好きです
「あまちゃん」は唯一ちゃんと観続けた朝ドラである。その頃、私は単身赴任でマレーシアに住んでいたが、時差の関係でNHKは1時間遅れで見ていた(つまり出勤前に見れるという事)。日本人はだいたい同じ習慣だったので毎日の会話は「今日のあまちゃんだけど」で始まっていた。なので最終回の後の「あまちゃんロス」はしばらく続いたものでした。
のん(能年玲奈)はその頃から自分の娘みたいに思ってたので、ちょっとやさぐれた性格が悪い今回の映画の役では、何をやるにしても温かい心持ちで応援しながら、ニヤニヤして見ていました。
昭和のまだワープロもパソコンもない頃、作家が山の上ホテルのお決まりの部屋で缶詰になり万年筆で原稿用紙に小説を書き、編集者からの差し入れの千疋屋のフルーツサンドを食べる。
銀座のクラブやら文壇バーでウイスキーを飲み悦に浸る。売れっ子作家がもてはやされ華やかだった出版業界が存在していた時代。今も物語の書き手は沢山いるけど、この業界の世界は全く違ってるんだろうなぁと思います。
原作は読んでいないが、柚木麻子が作家になったばかりの頃、映画の加代子(のん)と同じようにデビューしても単行本を出させてもらえない鬱憤で書いたそうでうですが、よくぞこんな、はちゃめちゃな文壇内幕物語を作ってくれたもんだと感謝します。そしてそれを堤幸彦監督が楽しいドラマとして映像にしてもらいました。ありがとうございます、。
そして柚木麻子原作の次回作は、なんとこの映画で書店員役をやった橋本愛が主役でなんと!のんが有森樹季役で共演とのこと。2作続けて「あまちゃんコンビ」が見れるなんて、なんて素敵なことでしょう。とっても楽しみにしています〜
軽快なコメディ作品
物語は山の上ホテルから始まる。文学新人賞を受賞したものの、大御所の東十条宗典による酷評を受けて鳴かず飛ばずでくすぶっている新人作家の相田大樹(本名は中島加代子)。日頃の恨みを果たすべく、同じホテルに泊まっていた東十条の執筆を邪魔して翌日が締切日の原稿を落とさせる暴挙に出るが、これが二人の因縁の対決の始まりとなった。やがて有森樹季とペンネームを変えた加代子は自分の作品を売ろうとあらゆる手段を講じ……。
自らが監督・脚本・主演を務めた『ribbon』や『さかなのこ』(どちらも2022年)、あるいは2020年の『私をくいとめて』など、近年はコミカルな場面があっても考えさせられることの多い作品に出演していたのんだが、本作では思いっきりコメディに振り切っている。
とは言え、加代子の境遇を見ていると、朝ドラで大ブレークを果たすも事務所と揉めてさまざまな妨害を受けて作品を発表することができなくなるばかりか、本名すら名乗ることができなくなり、のん名義になってからはミュージシャンや声優、そして銀幕の世界に新たな道を見出している能年玲奈という女優のことを想起せずにいられないのも確か。ある意味、こんな形で昇華させているのかも知れないなぁ。
ちなみに、「カリスマ書店員」だった人が編集者となる25年3月に公開される作品に「有森樹季」先生が登場するそうだ。
あれれ、おもしろい
悲しいかな上映館少ないですねぇ。
かなりの良作だと思います。
良くできたお話です。
とっても良くできたお話なんですよ。
きっと予算がそんなに
なかったのでしょうかねぇ~
だからコメディタッチにするしか
なかったのかなぁ・・・?
(いやいや、山の上ホテルで撮影できてる
ことだけでも、すごい贅沢かもしれん・・・)
書きようによってはサスペンス、推理タッチも
盛り込めたかもしれません。ふくらませようと
思えばいくらでもできたよういな気がします。
それほどに面白いお話なんですよ。
今作のMVPは滝藤さんでしょうね。
滝藤さんがいてくれてよかったぁって
感じです。
能年さん・・・残念ながら「女優」として
踏んでいる場数が少なすぎる気がします。
ですから引き出しが少なくって、あれ?こんな
キャラ前も見た気がするなぁ~・・・な既視感に
襲われちゃうんですよね。(キ〇タク状態)
モデル業は安定的にやってらっしゃるので
ビジュアル変わるときはさすが!って感じ
なんですけど・・・。
高石あかりさん主演でみてみたいかなぁ~。
でも、面白かったですよ!
のんちゃん
のんちゃん!フルスイングを!
山の上ホテルって実在するんだ!
完全にハイテンションなのん、ミドルテンションの滝藤賢一、ローテーションの田中圭の3人の映画。
その他豪華な脇役陣は完全引き立て役!贅沢な使い方!!
ストーリーは面白かった☺何度も地味に吹き出しちゃうような笑い箇所があったり、ニヤニヤしちゃったり。
滝藤賢一って結構苦手な俳優さんなんだけど、ミドルテンションくらいだったら自分的に大丈夫だと判明。のんは初見。うるさいのかな?と心配したけど、想像していた通りのキャラでした。田中圭は情けない男性役を最近よく見ていたから、ドンと構える編集さんとかいいんぢゃない??
山の上ホテルって実在するんだ!しかも作中で言ってた通り神保町に!!そして本当に文豪たちに愛されてたんだ!!!(老朽化に伴い2024年2月からは休館中。そして土地建物の権利は明治大学が保有←すごっ)昔あったホテル西洋銀座を思い出したなー。古き良きホテルは取り壊さず是非とも残して欲しい。
映画予約しておいて助かった……
直前に試写会で観た某映画が個人的に酷いと感じたから、こっちが余計に面白く感じられて評価はちょっと甘めかも。
創作と現実と。
バットは振り切る!
経済アナリストの森永卓郎さんが日頃からラジオで発言している「バットは振り切れ!」、まさに本作ののんさん、見事に振り切った演技だと感じました。
いつもながらの、どこから見ても「のん」ではあるのですが、実年齢とほぼ同じ主人公を等身大でやり切る姿に清々しさを覚え、荒唐無稽に感じられるストーリーでありながら、最後までしっかりと観ることができました。
そういう彼女だからこそ、色々あったにせよ起用してみたい、一緒に作品を創りたいと思う人が次々と現れるのかなぁ、などとも思ったりして。
そして、ストーリーの重要な部分を占める舞台として、閉館してしまった「山の上ホテル」が登場し、若かった頃の自分を重ね合わせて感慨深くもあり、作品も場所もどちらも楽しめた良作でした。
悔しさがある限り
主人公は私だ!
劇中劇の主人公みたいだなと思ってみてたら、そのまんま劇中劇の主人公だった。
ともあれ、とても勇気づけられる作品。
彼女はとてもパワフルで、不屈の闘争心で立ち上がってくる。小説家って言う種類の人にはそう言う夥しい熱量が必須なんだろうなと思って見ていたのだけど、何の事はない。彼女は自分の夢を諦めず、ひたすら自分の可能性を信じ、誇示しただけの人だった。
それがどれほど難しいのかは言わずもがなではあるのだが、自分の人生に責任を持てるのは自分だけだとの核心をついていたように思う。
自分の人生の主人公は自分なのだ。
そんなメッセージを大声で主張し続けていたのが彼女だったように思う。
原作は知らないけれど、物語の展開もスピーディーで飽きる事はないし、演者の掛け合いもすこぶる楽しい。特にのんvs滝藤氏のシーンはどれも秀逸だった。俺的にお気に入りなのは滝藤氏のウィスパーで、空間と状況を的確に捉えていて楽しかった。
往々にして芝居という前提の元に無視される周囲の環境を彼は無視せず、積極的に取り込んでいたようにも思う。
のんさんは、初見で芝居がかった芝居をしてんなぁとも思ったのだけど、不思議と馴染む。そしてラストカットで腑に落ちる。やっぱ稀有な才能の女優さんだと思う。状況がそうさするのか、役の性格がそうさせるのか、説得させられるし、納得してしまう。
何気に文学界の闇を突いてるのも面白かった。ホントかどうかは知らないけれど、編集者や作家が語るそれらには「あるかもな」と思わせられてしまう。
田中みな美さんのママも良かったわー。
キャスティングはそれぞれ抜群だった。
鑑賞中は大いに笑ったし、芝居巧者の皆様を堪能できて、とても幸せな時間だった。
やったれのんさん!
ー のんさんも仕返しすることがあるんですね?
「仕返し癖があるかもしれないなと(笑)。今回演じてみて、
今後は加代子のように、ド派手にやりたいなあと思いました」
このインタビューのこの言葉に尽きるでしょう。
ふつう大手芸能事務所を敵に回して名前まで取り上げられたら(千と千尋の湯婆婆かと)皆んな知らない間に居なくなるのに、どっこい第一線に居座り続けてこうやって映画の主演を何本もこなして映画賞をかっさらい続け、声優さんやアーティスト、映画監督としてもしっかり爪痕を残し続けている。そんなのんが演じるからこその主人公加代子のリアリティってことでしょう。だって他の俳優さん思い浮かばないもの。
キャスティングも我らが高石あかりを筆頭に滝藤賢一、田中圭、田中みなみ、若村麻由美と実力派がずらり。来るかなー?と思ってた例の相方さんもしっかり出演しているのでニヤリとしてください。
残念なことに都内の上映館は少ないしスクリーンも小さめですが、齢を重ねた堤監督のグッと抑えた演出の良いところだけを集めた上質な98分。あと8分削れたらポンポさんもベタ褒めしてくれたハズです。こういう日本映画が増えると良いな、と観客みんなが思ってる、そんな心中が伝わってくるような終幕後の劇場の雰囲気が最高でしたね。あと、舞台となった山の上ホテルは解体の危機を脱して明治大学が歴史的建物を活かした新たなホテルとして開業を目指してるらしいけど改悪にならないように見守らないとですね。
ということで、わたしはのんさんがリアルな世界で繰り広げるド派手な復讐が1番楽しみです。
それではハバナイスムービー!
私にはふさわしくなかった作品
全246件中、41~60件目を表示