私にふさわしいホテルのレビュー・感想・評価
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自分にふさわしい場所にした女の物語
売れない新人作家とベテラン売れっ子作家の対立を軸に繰り広げられるドタバタコメディがおもしろい!シンプルに笑えるし観ていて楽しい!
自分が売れないのはアイツのせいだ!文学界の古いしきたりなんてぶっ潰してやる!と、少々エキセントリックにも感じる主人公の気性がエネルギッシュで良い。諦めることに慣れた今だからこそ彼女の突破力は観ていて力をもらえる。
いろんな人物になりすまし、息をするように嘘をつき、目的達成の為にありとあらゆる人を利用する。まるでサイコパスのようだけれども、それをポップに描いているから清々しい。
反骨心やハングリー精神から溢れ出る行動力に心が動かされる。
そしてこの役を能年玲奈が演じることで作品としての説得力が増す。ベストキャスティング!
老朽化の為、休館となっている文豪が愛した山の上ホテル。その室内がたっぷり体感できる意味でも価値のある映画。
のんの不思議な魅力
作家が感じた理不尽さ
何とも形容しにくい作品
小説の実写化と知り納得した。
文壇をモチーフに主人公のある種特殊な攻撃的な性格を描いているのだと思う。
その根幹は、彼女の新人賞受賞に対する東十条宗典の痛烈な批判的意見だった。
昔から女を怒らせると怖いなどというが、「それ」。
そして舞台設定が何故か1984年 何故だろう?
おそらく当時の雰囲気と、ワープロが登場したころで、まだ一般的ではなかったころ。
つまり作家というのは手書きだった時代のことで、その当時をこの作家はイメージしたのだろう。
物語に登場するように、名だたる作家は皆ホテルに缶詰めになって原稿を書いていたことが、どこか懐かしく、どこか憧れだったのだろう。
新人作家をモデルにしたのは、作家本人が当時感じていた周囲からの誹謗中傷などに対し、その当時激しく思った念のようなものをこの作品で処理、昇華したかったからかもしれない。
発想は「ルックバック」に近いように思った。
「もし、当時わたしがこんなことができたなら…」
これがこの作品の発想の根源なのだろう。
さて、
このタイトルは、主人公が最後に描いた小説のタイトルだった。
着地点は怒りの感情ではなく「私のためのホテル」となっている。
紆余曲折あってもまたこの「山の上ホテル」へと帰ってくるのだ。
怒りの感情は後付けで、実際に彼女がしたいのが小説を書くことなのだろう。
遠藤先輩と彼女が文芸部の先輩後輩ではなく、まさか演劇部のそれだったというのは東十条先生よりびっくりした。
また、
なぜ彼女はそんなにたくさん名前を変えるのだろう?
本名中島加代子 →相田大樹 →有森樹李
東十条には白鳥こおりと名乗る。
創作活動よりも工作活動が際立つ。
そうしながら、自分自身で本を置かせてもらう書店などを回る。
そこで見た窃盗犯 男を取り押さえることでカリスマ店員から信用された。
それがきっかけとなり、本が売れたのだろう。
ハチャメチャな物語だが、彼女の満たされない悔しさを感じることができる作品。
当時も、今もある業界の理不尽さ
そこには純粋な書き手の想いを踏みにじる大物たちの勢力争いしかないのかもしれない。
過去の芥川賞受賞作家の男性が「仕方ないからもらっといてやる」という発言をしたことが物議を呼んだ。
1,2年前も、受賞した障害を抱える女性作家が、受賞の喜びよりもずっと無視し続けられてきた経緯を恨み節に様に言った。
ノーベル文学賞というが、2022年ノーベル文学賞受賞者アニー・エルノーの自叙伝小説「事件」の実写版「あのこと」
これは、文学なのだろうか? フランス人だからではないのか? と勘繰りたくなる。
文学は、本当に文楽にすべきだろう。
小説は、客観的に感じることができる絵画や彫刻とは違い、口先だけの論評などいくらでもできる。
むしろしたもの勝ちなのだろう。
文芸小説が読まれなくなった最大の原因こそ、受賞作を選択する者たちの汚い争いだろう。
この作品はそんなところまで想像させることで、純粋な書き手の想いを代弁しているのだろう。
何とも形容しにくいものの、文壇に対する一矢はしっかりと感じた。
しっかり笑えるコント
のんさんと滝藤賢一さんのワチャワチャは嫌いじゃない。敵が味方になったり、味方に復讐したり、二転三転する展開も良い。本作がコントなら、尺は若干長すぎるけど、結構笑わされたので高評価。
ただ、映画として評価せよと言われたら、滝藤さんのウィッグが不自然な時点で、高い点は付け難い。終盤の尻すぼみも気になる。とは言え、のんさんと滝藤賢一さんのはっちゃけ感は楽しかったので、「TRICK」のような笑いに振り切った新作がつくられば観てみたい。
何度も吹き出して笑った、笑った
そもそも、2024年2月14日現在(スマホがある時代)と1980年代(固定電話のみの時代)との二重構造のストーリーが面白いです。映画コムのあらすじ紹介にも、なぜか書かれてはいません。
主人公(のん)の絶叫芝居(定番でしょうか?)と上品そうに振る舞うお芝居(八変化で現れます。)とのギャップが楽しいです。相変わらず、のんの滑舌がはっきりしないですが、それも独自の魅力です。
東十条(滝藤賢一)が作品を批評しただけで悪いことしてないのに主人公が逆恨みしているところが痛い、などというレビューもありますが、大体、度重なる東十条に対する嫌がらせは、主人公の言動を子細に見ると、真のリベンジなのかは疑問があります。何より、東十条は、喜んでいたし、結果として執筆に打ち込むことになり、Win-Winになっています。
笑い通しの、爽やかなコメディでした。のんは稀有の役者、偉大なり。
のん の大冒険。 「主人公は私よ」って。 この自分ファーストは、やっば若い人には必要なんだろうな。
「私にふさわしいホテル」
これ、なんと厚かましくて、傍若無人なタイトルだろうかねぇ(笑)
それも「駆け出しの、実力不足の私ですからビジホで十分なんです」と言わずに「山の上ホテル」を自分におごるという彼女なのですから。
文壇と出版業界に私こそが下剋上をもたらしてやろうじゃないかって話なのだそうだ。
我が社でも、
のんと同世代の三十代の部下たちの、あの不躾さと甘ったれぶりには、僕はほとほと苦しんでいるんですがね。
「きりんさんにキツめに注意されたので辞めます」
「きりんさんみたいな怖い人とは仕事出来ません」
「なんで挨拶なんかしなくちゃならないんですか?」
これ、新人たちから何回言われ、会社にチクられたことか。
彼らは最後に出勤し、最初に帰る、
「ありがとう」が言えない。「ごめんなさい」も絶対に言わない。
すなわち、自分を《直林賞待遇》とか《山の上ホテル待遇》しない大人たちに対して、最近の若い人たちって、マジ突然牙をむくのですよ。
だから
彼らを拗らせないように、腫れ物に触るように先輩・上司たちは気を使うんです。
まあ、この映画は他人の物語だから、耐えられたし、笑えましたけども。
ストーリー的には、
批評家東十条の“下げコメント”のせいで、デビューの出鼻をくじかれてしまった新人類の作家=加代子が、自分可愛さゆえに憤慨し、大御所の選評作家にあの手この手と執拗に妨害を加え、報復遂行するという業界コメディだ。
で、仇討ちが忙しいから、本務の執筆は ほったらかしかよー!という展開。
とにかく小ネタの連発と、アップ顔なら任せとけ!の のんの顔芸で、終始可笑しくて一気に見せてはくれましたが。
( しかし、作家たちの日常を想うのだが、怒りや悔しさからモチベーションの力を得て、新作のための新しい文章って果たして生まれてくるものなのだろうか?
たっぷりの時間と、余裕。そして穏やかな気分からのみ、みずみずしい言霊は現れて来てはくれないものだと思っていた )。
彼らは
書けなくても書く。
籠もってでも書いてひねり出す。
嫌でもペンを持ち自己鍛錬を続ける。
そして編集者の叱咤と、自分を追い込む強迫観念。この闘魂が次作を生み出す原動力になるって、
・・この文壇の人々の実情。これって最早 筋肉アスリートたちの世界ではないだろうか。
「締め切りの苦しみ」や「ネタ集め」。そして語呂サイコーの「文豪コール」には吹き出してしまったが、きっと共感してくれた世の作家さんたちは沢山おられたのではないかな。
・ ・
最近非常によくある凶悪犯罪=自己承認欲求形の若者たちが
・すぐに傷ついちゃって、
・相手に対しては逆恨みをし、
「2作目を書かずに」
・たちどころに刃物やらガソリンやらを持ち出して、“敵”を刺し、放火し、自分を持ち上げずにコケにしてくれた相手を亡きものにしてしまう、
あの幼稚な、短絡的な犯行。
― のんの場合そういう展開にはならなくて良かったのだが、
しかし本作だって、ストーカー行為だ。コンセプトとしてはギリギリのすれすれなんだから
ギャグ映画としては僕はホントは思いっきり笑いたかったけれど
ふと類似する上記のような凄惨なストーリーを僕は想起してしまって、薄ら寒く、苦いものが少し残ってしまったんです。
これ、
「京アニの (自称作家による腹いせ放火事件) 」とかに見られる「勝手な思い込みの報復殺人事件」が、現に多発しているこの世の中だからです。
あと「ここはアウシュビッツか!」は不用意だし、要らない台詞。
「言われなくても書きますから💢」と再びペンを取り、原稿用紙に向かい直す のんは、まぁ健康なほうだ。
健康で良かった。
結論としては、
どんなに貶されて凹んでも、最後には原稿用紙に向かった 甘ちゃんの のん嬢を僕は許してやろうと思うし、褒めてもやろうと思った次第。
・ ・
のんの普段着の野暮ったいファッションと、受賞スピーチの時の出で立ちとの落差には目を見張ったし、
銀座のママ=田中みな実の着物も、そして東十条の妻千恵子 (若村麻由美)の芝翫茶の色無地、そしてラストの鮮やかな緑 (千歳緑?) の着物。あれは美しくて唸った。
東十条の執筆の姿勢の一途さも良かった。
つまり、
主人公のんは終始騒がしく喋べるけれど、田中みな実と若村麻由美の穏やかな話言葉がしっとりとそこを中和してくれるのだ。そして
コケにされ、小娘にいじり倒されてもそれでも作家としての意地を見せる大人=東十条の姿には、やはり打たれるのだ。
よい先輩役者や、優れた衣装さんあってこその のんの出番なのだ。
そして話の舞台があの落ち着いた山の上ホテルであるからこそ許されるドタバタ劇の収束だったかも知れない。
それら厚いバック態勢の支え無しには、のんはドラマ俳優としてはまだ小粒で、単独では主役を張れないんじゃないかなーと
ちょっと思った。
今後、別のイメージでの新境地へと脱皮できるか、だ。
でもそれらをすべて含めても、可笑しくってねぇ、
ジェネレーション・ギャップの大騒動をゲラゲラ笑いながら観てしまいましたよ。
のんが大好きです
「あまちゃん」は唯一ちゃんと観続けた朝ドラである。その頃、私は単身赴任でマレーシアに住んでいたが、時差の関係でNHKは1時間遅れで見ていた(つまり出勤前に見れるという事)。日本人はだいたい同じ習慣だったので毎日の会話は「今日のあまちゃんだけど」で始まっていた。なので最終回の後の「あまちゃんロス」はしばらく続いたものでした。
のん(能年玲奈)はその頃から自分の娘みたいに思ってたので、ちょっとやさぐれた性格が悪い今回の映画の役では、何をやるにしても温かい心持ちで応援しながら、ニヤニヤして見ていました。
昭和のまだワープロもパソコンもない頃、作家が山の上ホテルのお決まりの部屋で缶詰になり万年筆で原稿用紙に小説を書き、編集者からの差し入れの千疋屋のフルーツサンドを食べる。
銀座のクラブやら文壇バーでウイスキーを飲み悦に浸る。売れっ子作家がもてはやされ華やかだった出版業界が存在していた時代。今も物語の書き手は沢山いるけど、この業界の世界は全く違ってるんだろうなぁと思います。
原作は読んでいないが、柚木麻子が作家になったばかりの頃、映画の加代子(のん)と同じようにデビューしても単行本を出させてもらえない鬱憤で書いたそうでうですが、よくぞこんな、はちゃめちゃな文壇内幕物語を作ってくれたもんだと感謝します。そしてそれを堤幸彦監督が楽しいドラマとして映像にしてもらいました。ありがとうございます、。
そして柚木麻子原作の次回作は、なんとこの映画で書店員役をやった橋本愛が主役でなんと!のんが有森樹季役で共演とのこと。2作続けて「あまちゃんコンビ」が見れるなんて、なんて素敵なことでしょう。とっても楽しみにしています〜
軽快なコメディ作品
物語は山の上ホテルから始まる。文学新人賞を受賞したものの、大御所の東十条宗典による酷評を受けて鳴かず飛ばずでくすぶっている新人作家の相田大樹(本名は中島加代子)。日頃の恨みを果たすべく、同じホテルに泊まっていた東十条の執筆を邪魔して翌日が締切日の原稿を落とさせる暴挙に出るが、これが二人の因縁の対決の始まりとなった。やがて有森樹季とペンネームを変えた加代子は自分の作品を売ろうとあらゆる手段を講じ……。
自らが監督・脚本・主演を務めた『ribbon』や『さかなのこ』(どちらも2022年)、あるいは2020年の『私をくいとめて』など、近年はコミカルな場面があっても考えさせられることの多い作品に出演していたのんだが、本作では思いっきりコメディに振り切っている。
とは言え、加代子の境遇を見ていると、朝ドラで大ブレークを果たすも事務所と揉めてさまざまな妨害を受けて作品を発表することができなくなるばかりか、本名すら名乗ることができなくなり、のん名義になってからはミュージシャンや声優、そして銀幕の世界に新たな道を見出している能年玲奈という女優のことを想起せずにいられないのも確か。ある意味、こんな形で昇華させているのかも知れないなぁ。
ちなみに、「カリスマ書店員」だった人が編集者となる25年3月に公開される作品に「有森樹季」先生が登場するそうだ。
あれれ、おもしろい
悲しいかな上映館少ないですねぇ。
かなりの良作だと思います。
良くできたお話です。
とっても良くできたお話なんですよ。
きっと予算がそんなに
なかったのでしょうかねぇ~
だからコメディタッチにするしか
なかったのかなぁ・・・?
(いやいや、山の上ホテルで撮影できてる
ことだけでも、すごい贅沢かもしれん・・・)
書きようによってはサスペンス、推理タッチも
盛り込めたかもしれません。ふくらませようと
思えばいくらでもできたよういな気がします。
それほどに面白いお話なんですよ。
今作のMVPは滝藤さんでしょうね。
滝藤さんがいてくれてよかったぁって
感じです。
能年さん・・・残念ながら「女優」として
踏んでいる場数が少なすぎる気がします。
ですから引き出しが少なくって、あれ?こんな
キャラ前も見た気がするなぁ~・・・な既視感に
襲われちゃうんですよね。(キ〇タク状態)
モデル業は安定的にやってらっしゃるので
ビジュアル変わるときはさすが!って感じ
なんですけど・・・。
高石あかりさん主演でみてみたいかなぁ~。
でも、面白かったですよ!
のんちゃん
のんちゃん!フルスイングを!
山の上ホテルって実在するんだ!
完全にハイテンションなのん、ミドルテンションの滝藤賢一、ローテーションの田中圭の3人の映画。
その他豪華な脇役陣は完全引き立て役!贅沢な使い方!!
ストーリーは面白かった☺何度も地味に吹き出しちゃうような笑い箇所があったり、ニヤニヤしちゃったり。
滝藤賢一って結構苦手な俳優さんなんだけど、ミドルテンションくらいだったら自分的に大丈夫だと判明。のんは初見。うるさいのかな?と心配したけど、想像していた通りのキャラでした。田中圭は情けない男性役を最近よく見ていたから、ドンと構える編集さんとかいいんぢゃない??
山の上ホテルって実在するんだ!しかも作中で言ってた通り神保町に!!そして本当に文豪たちに愛されてたんだ!!!(老朽化に伴い2024年2月からは休館中。そして土地建物の権利は明治大学が保有←すごっ)昔あったホテル西洋銀座を思い出したなー。古き良きホテルは取り壊さず是非とも残して欲しい。
映画予約しておいて助かった……
直前に試写会で観た某映画が個人的に酷いと感じたから、こっちが余計に面白く感じられて評価はちょっと甘めかも。
創作と現実と。
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