劇場公開日 2024年12月27日

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「落語の一席を見たかのようなラストの着地!」私にふさわしいホテル somebukiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0落語の一席を見たかのようなラストの着地!

2025年4月21日
iPhoneアプリから投稿

まず少し前に映画館で予告を見た。
昭和の物書きを、新人が大御所に噛み付く系の作品って地味な印象だなって思っていました。

配信になってしまいましたが、見たらドラマシリーズになって欲しいくらいコミカルでカラフルでテンポの良い作品でした。

あらすじは・・・
新人賞受賞するものの、ある大御所に酷評されたことからデビューするきっかけがなくなった新人作家による復讐劇を描いた作品。

主演はじぇじぇじぇからぎょぎょに一皮向けてから感情を全面に出すような演技に変わってきた「のん」さんと、憎き大御所にシリアスからコミカルまで幅広く演じる令和のバイプレヤーズ「滝藤賢一」さん。

監督は「トリック」「スペック」など独特なテンポ感とコミカルなバディものが得意と見せつつ、最近さまざまな新しい試みに挑む「堤幸彦」監督。

冒頭から大御所(東十条)に対して、憎しみを持つ中島加代子の行動に「おいおいやり過ぎやろ!」ってツッコミたくなるし、共感できないやりすぎの部分が存在するにも関わらず、東十条も負けじと何くそ!って張り合うため、そのバランスがコミカルで楽しめた。

また、昭和の小説家というまさに色がない、モノクロのような世界に対して衣装や舞台もカラフルで色合いでポップさが増しており、見ている映像だけでも楽しめた。

多少やりすぎた関係?
にも関わらずそこにはお互いに秘めた歪の形の愛が存在し、お互いに異なる感情としてぶつけ合うのが見ていて楽しい。
そして、最後の着地に関してはまるで落語の一席を見ているかのような綺麗な着地に完成度の高さを感じた。

今回カメラワークによる動きをあえて控えたらしいけど、それを感じさせないアクション感。
おそらく「のん」演じる中島加代子の破天荒さによるパワーかもしれない。

短編の物語が紡ぐ形になっているので、映画としても楽しめたけど、ドラマシリーズの形式でも見たくなるほどキャッチーで楽しい作品だった。

somebuki