「軽快なコメディ作品」私にふさわしいホテル Tofuさんの映画レビュー(感想・評価)
軽快なコメディ作品
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物語は山の上ホテルから始まる。文学新人賞を受賞したものの、大御所の東十条宗典による酷評を受けて鳴かず飛ばずでくすぶっている新人作家の相田大樹(本名は中島加代子)。日頃の恨みを果たすべく、同じホテルに泊まっていた東十条の執筆を邪魔して翌日が締切日の原稿を落とさせる暴挙に出るが、これが二人の因縁の対決の始まりとなった。やがて有森樹季とペンネームを変えた加代子は自分の作品を売ろうとあらゆる手段を講じ……。
自らが監督・脚本・主演を務めた『ribbon』や『さかなのこ』(どちらも2022年)、あるいは2020年の『私をくいとめて』など、近年はコミカルな場面があっても考えさせられることの多い作品に出演していたのんだが、本作では思いっきりコメディに振り切っている。
とは言え、加代子の境遇を見ていると、朝ドラで大ブレークを果たすも事務所と揉めてさまざまな妨害を受けて作品を発表することができなくなるばかりか、本名すら名乗ることができなくなり、のん名義になってからはミュージシャンや声優、そして銀幕の世界に新たな道を見出している能年玲奈という女優のことを想起せずにいられないのも確か。ある意味、こんな形で昇華させているのかも知れないなぁ。
ちなみに、「カリスマ書店員」だった人が編集者となる25年3月に公開される作品に「有森樹季」先生が登場するそうだ。
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