「主人公は私だ!」私にふさわしいホテル U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
主人公は私だ!
劇中劇の主人公みたいだなと思ってみてたら、そのまんま劇中劇の主人公だった。
ともあれ、とても勇気づけられる作品。
彼女はとてもパワフルで、不屈の闘争心で立ち上がってくる。小説家って言う種類の人にはそう言う夥しい熱量が必須なんだろうなと思って見ていたのだけど、何の事はない。彼女は自分の夢を諦めず、ひたすら自分の可能性を信じ、誇示しただけの人だった。
それがどれほど難しいのかは言わずもがなではあるのだが、自分の人生に責任を持てるのは自分だけだとの核心をついていたように思う。
自分の人生の主人公は自分なのだ。
そんなメッセージを大声で主張し続けていたのが彼女だったように思う。
原作は知らないけれど、物語の展開もスピーディーで飽きる事はないし、演者の掛け合いもすこぶる楽しい。特にのんvs滝藤氏のシーンはどれも秀逸だった。俺的にお気に入りなのは滝藤氏のウィスパーで、空間と状況を的確に捉えていて楽しかった。
往々にして芝居という前提の元に無視される周囲の環境を彼は無視せず、積極的に取り込んでいたようにも思う。
のんさんは、初見で芝居がかった芝居をしてんなぁとも思ったのだけど、不思議と馴染む。そしてラストカットで腑に落ちる。やっぱ稀有な才能の女優さんだと思う。状況がそうさするのか、役の性格がそうさせるのか、説得させられるし、納得してしまう。
何気に文学界の闇を突いてるのも面白かった。ホントかどうかは知らないけれど、編集者や作家が語るそれらには「あるかもな」と思わせられてしまう。
田中みな美さんのママも良かったわー。
キャスティングはそれぞれ抜群だった。
鑑賞中は大いに笑ったし、芝居巧者の皆様を堪能できて、とても幸せな時間だった。