「君にふさわしい共犯者」私にふさわしいホテル uzさんの映画レビュー(感想・評価)
君にふさわしい共犯者
珍獣キャラを演じさせたら、のんの右に出る者はいない。
表情も衣装もコロコロ変えながら、バタバタと動き回るだけでもう楽しいのだ。
白々しい芝居も愛嬌たっぷりで嫌味がない。
大人げなさがコミカルでありつつ、純粋さを思い出す後半にも繋がる東十条のキャラも秀逸。
加代子との関わりが逆に執筆意欲を刺激している、という関係性も絶妙。
彼がやり返す展開も見たかったなぁ。
遠藤のスタンスは読みづらかったが、基本は職業に従順で、面白い作品に弱いというところか。
田中みな実は『はたらく細胞』の深キョンと並ぶ適役。
服部稀咲や髙石あかりはもっと見たかったし、光石研はムダ使い過ぎるだろ。笑
終始可笑しみに溢れているのだが、個人的には加代子と東十条の共闘パートが好き。
夢を与えてるつもりが与えられてたり、仮装のまま外に出たり、トナカイの後ろ足のシュールさとか。
のんのテーブルクロス引きと滝藤の霧吹きも見もの。
ただ、最初の書評が単なる本音で圧力などかけていないとしたら、恨むべきは出版社では。
最後の賞に関しても、「私のを選べ」ではなく「純粋に評価しろ」とすべきだ。
カリスマ書店員の件も含めて、あれでは中身で評価されたとは捉えづらい。
お陰で痛快さの面では物足りなかった。
最後40年(1984→2024年)経ってるのに加代子の見た目が変わってないのは、全部小説の話でしたということ?
原作ではどうなのかわかりませんが、この映画のつくりとしては、「2024年の2月13日に、中島加代子という作家が、”山の上ホテル”へのリスペクトを込めて書いた小説でした」というラストシーンだったのだと理解しました。なので、違っているかもしれませんが、自分は、ストーリー展開も、役者たちの演技もややオーバーアクションで荒唐無稽だったり、都合よく賞に選出されたりという展開なのだなと納得できるつくりなのかと思っていました。
ちなみに、2月13日は、ホテルが無期限休業に入った日とのことで、そんなところにもリスペクトが感じられて、ジーンときました。