劇場公開日 2024年12月30日

「もっと良い作品に出来た気がする」グランメゾン・パリ 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0もっと良い作品に出来た気がする

2025年1月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

TVドラマも観ていたし、それなりに楽しめたので、劇場版公開を聞いてすぐ観る気になった。キムタクを役者として酷評する人も多いけれど、俺は“いい役者”とも思っていないけど、「観たくない」と言う程嫌ってはいない。作品として好きなキムタク主演作品も少なくない。

年末にスペシャルドラマが放送されたことは年が明けてから知ったのだが、観賞前に慌ててTverで観てから本作を観賞した。

【物語】
元「グランメゾン東京」のシェフの尾花夏樹(木村拓哉)、早見倫子(鈴木京香)、相澤(及川光博)、京野(沢村一樹)達はかつて果たせなかった「フランスでアジア人初の三つ星」を獲得すべく、パリで店を開いて再度挑戦していた。

しかし、パリは怪物とも言える超一流シェフが鎬を削る地であり、他の都市で三ツ星を取るよりも格段に難易度が高い。二つ星獲得までは行ってもその先に進むことができない。よそ者の日本人が最高の素材を入手することが大きな障壁になっていた。

尾花の苛立ちは店を悪い方向に転がし、遂にはテナントのオーナーから退去を迫られる。

【感想】
そこそこ楽しめたが、称賛するには今ひとつ。

終盤の盛り上がって行く演出はとても良かった。レストランのメンバーが1つになってから三ツ星獲得に邁進し、急速に目標に近づいて行く過程はこちらも気持ちが高ぶった。

残念なのはその前だ。
「前半は何もかも上手く行かない。メンバーの気持ちもバラバラ。後半であることをきっかけに流れが変わり、メンバーの気持も1つになって、急激に良い方向に転がって行く。」
スポ根も含めてこの手のドラマの、悪く言えば「ありふれた」、良く言えば“王道”の展開。そりゃ、最初から上手く行っていたら何も面白くないし、逆の流れで後半に悪くなってバッドエンドだと正月から気分が悪いので、ありふれているとは言え、この展開が悪いとは思わない。 ただ、「流れが変わるきっかけ」があまりに弱いと感じた。

劇場版の前哨戦とも言える、年末のスペシャルドラマもやはりこの“王道”の展開だったが、「流れが変わるきっかけ」はドラマの方がよっぽど納得感が有った。さらにはドラマの方にはキムタク演じる尾花の裏切りとも思える行動の種明かしも用意されていた。 正直スペシャルドラマの方が出来が良かったのではないか。

スペシャルドラマで光っていた窪田正孝を劇場版でも、もっと使って欲しかった。それも含め、「もっと良くできたのでは?」と思いから、映画の方はちょっと残念。
「スペシャルドラマで動員を煽る」というスケベ根性を出さずに両作の筋書アイデアをぎゅっと1本の作品に凝縮したら傑作が出来たのでは?

泣き虫オヤジ