「理解を深める余地」マハーラージ 蛇足軒妖瀬布さんの映画レビュー(感想・評価)
理解を深める余地
【インド映画ならではの規格外な世界観を今回も堪能できる作品】
壮大なスケールと緻密な描写は、見る者を圧倒する。
実話ベースの物語であることは理解できるものの、
物語の中核を担うハヴェリの存在や影響力、
いくつかの点が明確化されれば、
より深い理解と共感を得られたと感じた。
【圧倒的なスケールと緻密な描写】
冒頭から飛び込んでくるのは、
まさに規格外なインド映画の世界だ。
派手なダンスシーン、
色彩豊かな映像は、
見る者を飽きさせない。
特に、ハヴェリの壮麗な宮殿や、
大勢の信者たちが集う宗教儀式は、
圧倒的なスケール感で描かれており、
インド映画ならではのダイナミックさを存分に味わうことができる。
【理解を深める余地】
物語の核心を担うJJの存在や影響力について、
もう少し掘り下げた描写があれば、
より深い理解に繋がったと感じた。
JJは一体どのような人物なのか、
なぜ人々をそこまで惹きつけるのか、
そのカリスマ性や思想の根源について、
もう少し詳細に描かれていれば、
観客はより深く共感することができたのではないだろうか。
また、JJの起こした事件と、
世界各地で過去に起きた類似事件との比較についても、
もう少し明確にしてほしかった。
この事件が、普遍的な問題なのか、
それともインド特有の宗教観や文化に基づく特異な事件なのか、
または、
この事件特有の何か、があるのか。
ラストの裁判所シーンでその違いがなんとなく示唆されるものの、
観客がより深く考えることができるような描写があれば、
より一層の深みのある作品になったと感じた。
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