悪い夏のレビュー・感想・評価
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前半は最高、後半ちょっと雑なのが惜しい。プロレスの場外乱闘は監督さんの好み?
とても悪い人ばかりが出てきます。宣伝に偽りなし。前半の展開は最高です。ゾクゾク(+ワクワク)しました。一方、後半、主人公が罠にハマってからの描き方が、ちょっと雑な感じがしました。メイクを濃くして、表現するのではなくて、あと20分ぐらい、尺を伸ばしてでも、主人公の二人、北村匠海さんが壊れていくところと、河合優実さんの苦しみを丁寧に描いて欲しかったです。
出演者の皆さんは、悪い役が似合う方ばっかりで、良かったです。しいて言えば、伊藤万理華さんは、もうちょっとキャラ設定を変えたほうが良かったかも。ちょっとやりすぎで、途中で、ばれてしまいます。
最後が、出演者全員で、プロレスの場外乱闘みたいになるのは、監督さんの好みなんですかね。それも悪くはないけれど、場外乱闘後の皆さんの日常紹介は余計と思いました。結果報告なしに、場外乱闘の場面で、いきなりブチっと映画を終わらせたほうが、観ている側としては、インパクトが強かったと思います。
主人公の「闇落ち」に、納得も共感もできない
市役所の生活福祉課に勤める主人公が、生活保護の受給者の女性と肉体関係になって、恐喝される話なのかと思っていたら、主人公と女性が心を通わせていく様子が丹念に描かれていて、予想を覆される。
それでも、はじめは、おそらく同情から、女性とその娘に優しく接していた主人公が、徐々に女性に惹かれていく過程や、生まれて初めて誕生日を祝ってもらった女性が、主人公に対して心を開いていく様子などは、ラブストーリーとして、そこそこ楽しめる。
ところが、主人公が、(ようやく)恐喝されるようになると、どうしてすんなりと脅迫者に従うのかが疑問に思えてしまう。
主人公が肉体関係になった女性は、彼の担当ではないし、ましてや、生活保護の支給と引き換えに関係を強要している訳でもない。彼自身、先輩の女性職員に彼女との関係を「大丈夫か?」と尋ねられた時に、「真剣な付き合いだから」と自信をもって答えているのである。
逆に、もし、主人公が、自分自身の行いに罪悪感を持っていたのだとしたら、先輩の男性職員と同じ轍を踏んでいるという自覚があった訳で、「脇が甘い」としか言いようがない。
仮に、彼女に裏切られたショックに打ちひしがれていたのだとしても、「自分は悪いことはしていない」と正々堂々と主張しない主人公の態度にはイライラさせられるし、本当に生活保護を必要としているシングルマザーに、主人公がストレスをぶちまける様子にも、まったく感情移入ができなかった。
ラストは、関係者全員がアパートの一室に集合するというドタバタ劇としての面白さが味わえるのだが、それでも、主人公の先輩の男性職員と女性職員との関係性のインパクトが強すぎて、他の登場人物たちの関係性が霞んでしまったのは残念だ。
バイオレンスにしても、結局、誰が窪田正孝演じるチンピラを倒すのかということに終始してしまっており、もっと色々な方向に殺意のベクトルが向くような「阿鼻叫喚」があってもよかったのではないかと思う。
ラブストーリーとしても、クライムサスペンスとしても、バイオレンスアクションとしても、どこか中途半端で、突き抜けた面白さが味わえなかったところには、物足りなさを感じざるを得なかった。
夏は悪くないとおもう
4年前に原作を読んだ時はなんておもしろい小説なんだ!と興奮し、Netflixあたりで映像化しないかなぁと思っていた願いが叶って観ましたが、あの時のようなワクワクは残念ながら得られませんでした…。
冒頭からやけにアップショットを多用して暑さや心理を表現しようという意図は分かるけれども、ちょっと多過ぎて、テンポもスロウに感じました。
純朴で真面目な好青年が死んだ魚のような目に変化していく北村匠海や、どこか投げやりで退廃的な暮らしを送るシングルマザーが前向きに変わっていく様子をセリフが少ない中で表現する河合優実の演技など、俳優陣はほんとうにすばらしかったと思います!
生活保護を悪用した貧困ビジネスやケースワーカーの悪事だけでなく、制度によって救われる人もいてるという両面提示が描かれていたのも良かった。
あと、チャンス大城がハマり役だったのも予想外の発見!
そういうポジティブな部分もたくさんありました!
それだけにちょっと物足りなさも…
1人のケースワーカーを通して見る実態
(゚ω゚) 残念、、、、。
窪田正孝さん!!こんな美人局(つつもたせ)は嫌だ!
河合優実さんの表現力はモンスター級。
古くは「羅生門」、最近では「怪物」。
登場人物ごとの視点でみると、同じ事件や事象がまったく違う出来事に見えてしまうタイプの映画がある。
この映画は構成としてそのような作りにはなっていないが、北村匠海と河合優実のそれぞれの置かれた立場でみていると、世界がまったく違って見える。というか、鑑賞しているあいだ、自分では意識していないのに知らないうちに〝じぶんごと〟としてシンパシーを感じたり、胸が苦しくて吐きそうになる。それくらい、主演二人の役柄がシーンごとに憑依しまくりでした。
北村匠海演ずる公務員は元来の優しさから、弱者に寄り添い過ぎてしまう。
河合優実演じる生活保護受給者は、その公務員の優しさ(クレヨンや誕生日のケーキなど)に触れることで、自分がこの世に存在していてもいいのかもしれない、と初めて自覚することができ、気が付くと、自分の行動は自分の意志で決めていいのかも、と前に進むこともできた。
それなのに…
人の弱みに付け込む圧倒的な暴力は、弱みを抱える人間の〝良心の呵責〟など簡単に踏みにじることができる。良心を潰すことで人としての尊厳を奪えば、その人間は本当に空っぽになる。
ただ生きている状態から、人生ってそれほど悪くないのかもと思い始め、やっと人間らしい情緒を取り戻しつつあるときに、逆らうことのできない悪意に叩き潰され、監視され、思考能力を奪われ…という一連の心理描写を完璧に演じきった河合優実さん。
実質的な主役はあなただと思います。
それから、窪田正孝さん。あなたの細マッチョ(なんと素敵な上腕二頭筋!!)は本当のボクサーのようで、あの格闘の強さにかなりのリアリティがありました。
この映画では、北村匠海さん、河合優実さんとも嵐の夜の出来事でなんとか立ち直り、希望と尊厳を取り戻せたように描かれていたのが救いとなり、最悪の後味を引きずることなく、映画館を去ることができました。
序盤は良かった
悪い夏にのって
小説を先に読めば良かった‼️
超簡単に言えば、生活保護の申請を受け付ける生活福祉課の職員と、受給者、そして不正受給をさせて儲けようとするチンピラなどなどの、小説が原作の作品。
いつものように、時間がピッタリだったのでロクにレビューも見ずに鑑賞。前半は夏のジメジメさと貧困の問題を扱った暗い話だと思っていたが、後半一気にブラックコメディのノリに。笑っちゃいけない話なんだろうが笑ってしまったw。これでもかってぐらいの目の下のクマ、連続ピンポーン…
鑑賞済みの方はわかるはず。
まぁ、ドキドキ楽しめました。
でも、映画観る前に小説読んでおきたかったな。今からは読む気になれません。
P.S. 生活保護は一時の救済として大事だと思う。
だから… やはり外国の方にバンバン受給させるのではなく、やはり日本人ファーストで、必要な方には受給させてあげたいです。
【今作は”生活保護は貰うべき人が貰いましょう。でないと、色々と大変な事に成っちゃうよ!ムービー”である。後半の一捻りある展開は流石、城定監督だと思った、チョイと沁みるブラックコメディな作品です。】
■ある市役所の生活福祉課に勤める佐々木(北村巧)は、同僚の高野(毎熊克哉)が生活保護受給者のシングルマザー愛美(河合優実)に肉体関係を迫っているらしいと同じく同僚の宮田(伊藤万理華)いう相談を受け、真相を確かめようとその女性の家を訪ねる。
その後、彼女のもとを訪ねるうちに彼女の娘への情が湧いた佐々木は愛美との交際に発展するが、それは裏社会の住人・金本(窪田正孝)と手下の山田(竹原ピストル)らが仕組んだわなだった。
真面目な公務員だった守の人生は転落の一途を辿る・・。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・予告編では、悪ばっかり出てくる作品などと宣伝されていたが、観賞するとそんなことはない。主人公の佐々木は気が小さいが、真面目な公務員だし、シングルマザーの愛美も、愛なき家で育ったようだが、悪ではない。
一番可愛そうなのは、トラックの運転手だった夫を亡くした、息子と二人暮らしの母、古川(木南晴夏)である。彼女こそ、生活保護適用者なのに、”国民の税金だから・・。”と頑張ってしまうのである。で、万引きしてパートを首になる。
・高野の事をトコトン調べる宮田を演じた伊藤万理華の、善人の振りをして後半明らかになる、”何だ!愛人への嫉妬かい!”の展開が、不謹慎だが大変に可笑しい。マア、ちょっと読めてたけどね。
・愛美を演じる河合優実さんは、【今、邦画女優で不幸な女性を演じさせたら、No1!】という冠を付けたくなるほど、今作でも不幸である。故に、彼女が自分のために娘と一緒に誕生日ケーキを作ってくれた佐々木に惹かれるのも、良く分かる。だが、金本はそんな彼女を利用して、第二の高木にしようとするのである。ここで、窪田正孝さんが、善人のイメージがあり過ぎて、ちょっと極悪に見えなかった所が残念かな、とちょっと思い掛けたのだが、この作品自体がブラックコメディの風合があるので(特に後半の展開ね。)マア、いいかと思ったな。
・で、佐々木は自棄になり、漸く生活保護申請に来た古川に対し、厳しい窓口対応をしてしまい、古川親子は練炭自殺(未遂)をしてしまうのである。
・その後の、愛美のアパートに揃った金本、山田、金本の愛人の太っちょ女、愛美の所にやって来た佐々木が包丁を振り回し、更に高野までやって来て包丁を振り回し、更に宮田が高野を追って室内に入って来るシーンは、最早ブラックコメディである。クスクス。
<そして、佐々木は片足を引きずりながらも、真面目に清掃員として働き、小さな傘が干してあるアパートに”ただいま。”と言って帰るラストシーン。
あれは、どうみても佐々木に懐いていた、愛美の娘の傘だよね!それに、町中で擦れ違った古川親子も元気そうだったしね。良かった、良かった。
悪い奴だけ捕まったことが、雑誌の記事に出ているのも宜しいね。
今作は、”生活保護は貰うべき人が貰いましょう。でないと、色々と大変な事に成っちゃうよ!という事を描いたちょっと沁みてブラックなムービー”なのである。>
最後までフラストレーションが溜まる映画
とりあえず、この映画は誰と観るのが最適か?
観終わった時にフラストレーションで固まった私でした。
実は生活福祉課、生保の方とも若干関わりある仕事柄、裏話はそれなりにありますがそれに近いですね~。でも、生活福祉課のケースワーカーさんってほんと大変な仕事でとても私ごときが出来る仕事ではありませんよ。そこまで生保の方に入り込むワーカーさんもいませんし。ちゃんと自分の身は自分で守っておられるし。でも、その防御壁がヒビが入ると確かに映画と同様になりかねません。ほんとストレスが溜まる仕事なんですよ。生保の方が全部その様なクズではないですが・・でもやはり独特なんです。
子役が2人、別々の家庭のケースででているんだけどダメ親にしがみつきながらも生きている姿はさすがに切ない。
なんか映画としてのエンターテイメントとして観れなかったかなぁ~。
せめてエンディングの終わり方はいらなかったです。そのまま全員自滅して欲しかった。
最後はみっくちゅじゅーちゅ!
現代の抱える問題を色々と詰め込んでこんなんどーする?って思っていたらミックスしやがった監督はある意味勇気あるなと感心したわ。
暑いとき困り果てて追い詰められたときどんどん思考が停止していくしね。
振り切れた人は誰にも止められないのがわかりやすい描写がいいね。
モラルや世間体にプライドなど色々あるが行動あるのみ。楽しないで働け働け!
生活保護の闇を見事なまでにエンタメに
真面目なのかコメディなのか
邦画で、この手の(ってなんだろ、犯罪ミステリー?)映画をあまり観ないのだが、河合優実や竹原ピストルといった配役と、予告で感じた物語に惹かれて鑑賞した。結論から言えば、やや期待外れで、スコアは甘めだと思う。
期待した配役の演技はよかった。とりわけ本筋からは外れた木南晴夏演じる、追い詰められたシングルマザーはかなりよかった。
しかしながら、窪田正孝演じるチンピラ像は定型的で、今ひとつ迫力に欠けていた事と、河合優実ももちろん上手いのだが、「ナミビアの砂漠」「敵」と言った作品と比べると、その魅力を引き出しきれていないと感じた。北村匠海は面白い役者に感じた。
最大のマイナス点は深みに欠ける物語と、ラスト近くクライマックスと思われる、主な登場人物勢揃いと彼らによる乱闘シーンの失敗と思われる。スラップスティックに振りたいのならば、もっと大袈裟な描き方や音響があった気がする。
まあでも最近の邦画ヒット作と比べれば、漫画原作でもなく、チープなファンタジーでもない点は評価されるべきかもしれない。
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