劇場公開日 2025年3月20日

「俳優陣の演技合戦がすばらしい」悪い夏 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0俳優陣の演技合戦がすばらしい

2025年3月22日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

予告から、ジリジリと追い詰められるようなサスペンス展開を期待して、公開初日に鑑賞して来ました。実力派俳優陣の見応えある演技に支えられ、なかなかおもしろい作品に仕上がっていました。

ストーリーは、市役所の生活福祉課に勤めながらも、気の弱さからなかなか職務を全うできずにいた佐々木が、立場を利用して生活保護受給者・愛美と肉体関係をもっていた職場の先輩・高野の悪行を突き止め、退職に追い込むものの、愛美と裏でつながり、犯罪計画に取り込もうとしていた高野を失った反社組織の金本や手下の山田は、代わりに佐々木を陥れて仲間に引き込もうとするというもの。

ある程度は展開を予想していたものの、生活保護をめぐる低所得者層の生々しい現実を目の当たりにし、胸を締め付けられます。その一方で、あくまでもルールに厳格な役人、受給者の弱みにつけ込む役人、生活保護を不正に受給する者、さらには生活保護を利用した貧困ビジネスを企む者と、実に多様な人間が描かれます。本来なら国民の最後のセーフティネットとして機能すべき生活保護ですが、その運用の難しさをのぞかせます。

そんな中、純粋な優しさから手を差し伸べた佐々木と、その気持ちに少しずつ心が温められていく愛美との関係性が、脆く危うく切ないです。誰にも邪魔されなければ、幸せをつかめたかもしれない二人だったのに、弱者を見逃さず、とことん追い込んでいく金本の存在が本当に憎々しいです。それでも、きっと二人は…と思わせるラストは悪くなかったです。

それにしても、クライマックスの大乱闘はちょっと拍子抜けです。あんな狭い場所に同じタイミングで全員集合とか、思わず笑ってしまいそうでした。できれば、もっともっと佐々木を追い込んで地獄を味わせるようなヒリヒリする展開を描いてほしかったです。そして、佐々木が崩壊したり暴走したりする救いのないバッドエンドをちょっとだけ期待していたので、やや中途半端で物足りない印象を受けました。とはいえ、美空ちゃんだけは幸せになってほしいと切に願います。

主演は北村匠海さんで、気の弱そうな佐々木が徐々に強さを増しながら闇堕ちしていくまでの振れ幅の大きい演技が秀逸です。脇を固めるのは、河合優実さん、伊藤万理華さん、毎熊克哉さん、箭内夢菜さん、竹原ピストルさん、木南晴夏さん、窪田正孝さんら。適材適所のキャスティングで、全員がきっちりその役割を果たしているのが印象的です。中でも、河合優実さんの演技と存在感は抜群で、最近の若手女優の中では突出しているように感じます。

おじゃる
uzさんのコメント
2025年3月27日

佐々木は童貞で、愛美は誕生日を祝われたこともなく…
2人が惹かれ合ったのはお互い初めて愛に触れた故であって、人間的な相性ではなく見えました。
それが悪いとは言いませんが、あのままだと優しい共依存になりそう。
ちなみに、バッドエンドをお望みなら是非とも原作のエピローグを。笑

uz
seiyoさんのコメント
2025年3月23日

こんばんは〜。

胸が苦しくなる、作品でした。
最後、主人公が帰る家に子供の傘があったのてわ、美空ちゃんがいるかも?
と思いましたが、たぶん児童保護施設かな。

河合優実さん、
良い女優さんですね

不適切にもほどがあるの
スペシャルに出ないかもしれないみたいなので、残念です

seiyo
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