「ヌルとか、コーデックスといった新設定もさることながら、シンビオート軍団とか、ザ・シックスって、一体何だったの?」ヴェノム ザ・ラストダンス tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
ヌルとか、コーデックスといった新設定もさることながら、シンビオート軍団とか、ザ・シックスって、一体何だったの?
前2作にはなかった「ヌル」とか「コーデックス」とかのエピソードがいきなり出てきても、取って付けたような唐突感しか覚えないし、ヴェノムとエディのコンビしかコーデックスを持っていないという、訳の分からない設定にもご都合主義を感じてしまう。
ヌルの手先のモンスターに襲われて、コーデックスが狙われていることを知りながら、何の対策も練らずに、ニューヨークを目指す旅を続けるどころか、所在がバレることを承知で呑気にダンスを踊っているヴェノムたちには本当に呆れてしまうし、イライラもさせられる。
全宇宙を救うためには、将軍が言うように、ヴェノムかエディのどちらかを殺して、コーデックスを消し去ることが正しい方策だと思うのだが、ヴェノムたちが、敵にコーデックスを渡さないようにするために、一体何をしようとしていたのかが、本当に謎である。
あるいは、能天気なヴェノムたちは「何も考えていなかった」というのが、事の真相なのだろう。
結局、ヴェノムたちがエリア51に回収されたことで、モンスターとシンビオート軍団との戦いになるのだが、モンスターが手強すぎるせいで、せっかくのシンビオート軍団が何のために出てきたのかが分からなくなる。ここは、「シンビオートには、モンスターを倒す能力がある」という設定にして、少なくとも互角の戦いになるようにした方が盛り上がったのではないだろうか?
再生能力があるモンスターを倒すには、強酸性の液体で溶かすしかないということにはすぐに気付くのだが、なかなかそういう展開にならないのは歯がゆいし、どうしてヴェノムがその施設のことを知っていたのかも不思議である。(タンクの表示を読んだのか?)
ここは、将軍が作戦を立てて、ヴェノムにその実行を指示するという流れにした方が自然だったに違いない。
子供の頃に雷に打たれて死んだ女性科学者の双子の兄(弟?)にしても、エリア51にエイリアンを見に来た自然主義の家族にしても、ヴェノムたちを捕獲するために出動した「ザ・シックス」にしても、どのエピソードも消化不良で、何のためにそんな話を持ち出したのかがよく分からない。ここは、明らかに脚本の練り込み不足と編集の失敗だろう。
話としては、一応、完結しているものの、もし、続編を作るのであれば、やはり、スパイダーマンとの合流以外に、シリーズ存続の道はないのではないかと思ってしまった。