「いつもの「撮りたい絵だけを繋げたシナリオ」だけど、今回は過古イチで酷いんじゃなかろうか」ヴェノム ザ・ラストダンス Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
いつもの「撮りたい絵だけを繋げたシナリオ」だけど、今回は過古イチで酷いんじゃなかろうか
2024.11.1 字幕 MOVX京都 ドルビーシネマ
2024年のアメリカ映画(109分、 G)
原作はメーベルコミック『ヴェノム』シリーズ
前作にて追われる身となったエディとヴェノムと最強の敵との戦いを描いたアクション映画
監督&脚本はケリー・マーセル
原題は『Venom The Last Dance」
物語の舞台は、メキシコのとある町
前作にて、マリガン刑事(スティーヴン・グレハム)の殺人犯に仕立て上げられたエディ(トム・ハーディ)とヴェノムは、追われる身となって、メキシコの田舎町に潜伏していた
全米では指名手配犯のような報道がなされていて、隣国メキシコでもその情報が波及しつつあった
バーを出たエディたちは、犯罪の匂いがすると言って、あるボロ屋の地下へと侵入する
そこには悪徳ブリーダーの隠れ家があって、犬たちが監禁されていた
犯人たちと遭遇したエディは、彼らに警告をするものの、ヴェノムはあっさりとたいらげてしまった
その後エディは、自分を国外に追いやったNYの判事を探すためにアメリカに戻ろうと考える
だが、そんな彼らをストリックラッド(キウェテル・イジョフォー)率いる特殊部隊が追跡していた
ヴェノムは捕獲され、エディともどもに基地に閉じ込められてしまう
そこは閉鎖されたエリア51の地下にあるエリア55という場所で、特殊なラボがあった
そこでは、ヴェノムと同種のシンビオートが研究対象となっていて、死んだはずのマリガン刑事がシンビオートと融合した状態で送り込まれていたのである
映画は、前作までの知識をド忘れしていても問題ない内容で、エディとヴェノムが融合できるのは特別だからということさえわかっていればOK
また、短期間ならばどんな人間とも融合できるのがシンビオートの特徴で、後半ではそれを活かしたバトルが登場する
それでも、融合された段階で結構な身体的負担があるはずだが、本作に登場するテディ博士(ジュノー・テンプル、若年期:ブローク・カーター)、セイディ博士(クラーク・バッコ)は、意外なほどに耐久性がある人たちだった
今回の敵は、宇宙のどこかにいるシンビオートの創造主ヌル(声:アンディ・サーキス)がシンビオートハンターと呼ばれるゼノファージを送りこむのだが、その1、2体との対決で終わり、それを倒すためにヴェノムが犠牲になるという展開を迎える
ラスボスは寸止めで登場せず、雑魚相手に戦って終わりとなっているので、消化不良感が凄まじい
エディ自身は生き残っているし、テディ博士はどうやら適合体のようだし、という終わり方をしているので、何らかの続編は作れるように締められていた
一応は、エディとヴェノムの旅は終わりということで、ヌルと戦うのは別のヒーローですよという感じなので、これまた何だかなあという感じになっていた
いずれにせよ、シナリオがかなりガバガバな内容で、ゼノファージがダメージを喰らったらヌルが苦しむ理由もわからないし、コーディクスを手に入れていないのにヌルは復活したっぽいという流れは無茶苦茶だと思う
メキシコからネバダ砂漠を経由し、ベガスからNYに入るロードムービーっぽさもあるものの、エイリアン愛好家一行が登場する意味があったのかもわからない
さらに、ベガスでチェン夫人(ペギー・ルー)と再会して、雰囲気で踊り出して敵に察知されるとか、意味不明すぎる展開が多かった
おそらくは撮りたいシーンを繋ぎ合わせているだけで一貫性がないのだが、もう少しシナリオを練るかプロに任せた方が良かったと思う
ファンとしても中途半端な終わり方で不完全燃焼だと思うので、そう言った意味合いも込めて、本当のラストダンスを作る必要があるのではないだろうか