「号泣したって言ったらびっくりでしょうか?」ボレロ 永遠の旋律 ミーユミーさんの映画レビュー(感想・評価)
号泣したって言ったらびっくりでしょうか?
クリックして本文を読む
ラヴェルでボレロ、しか音楽知識も映画前知識も無しに行きました。
他のみなさんの評価ではみない感じですが、私としてはもう最後ボロボロ泣いてます。
モーリスの善良な繊細さが琴線に触れて触れて(泣)
母にちゃんと愛され、才能にも友人にも恵まれ、賞取りでは失敗したけれどおそらく時代にも愛されたのに。
愛する人と心もつながり、仕事仲間にも身の回りを世話してくれる人ともちゃんと誠意で繋がれてたのに。
娼婦宿に行っても上流社交場に行っても常に礼儀正しくそして求められれば即興演奏も気軽に応じる好人物。記者会見での応答にも破綻なく。
そんな彼が、切なげに心の恋人を見る。
母を慕う。
傷ついた兵士に美を見出す。
他人の評価に悩む。
風や木々や小鳥の音に惹き寄せられる。
機械の音に没入する。
他の人にとっては些細なことや乗りこえうる全てのことに、彼の内面は一々大きく揺さぶられているのが、ランダムに展開される回想とその時々での抑えた表情、控えめな眼差しでビシビシ伝わってきて。
ボレロは、生真面目な外装から、内面の揺れる思いが出てきてしまって自己を覆いつくすスタイルだけれど。
モーリスは外装を崩さないまま、内側の嵐のような思いが消失したり蘇ったりでもっと深い混乱へ。
そうして、命尽きる刹那。
目くるめくイマジネーションには彼の内側にあったものが徐々に鮮明になり、躍動し、でもまた点滅し。尽きる。
もう、映画の中の皆んながそうであったように、彼を守りたくて、解放してあげたくて。ボーボー泣いたというわけです。
コメントする