「【”近代への賛歌”今作は、クラシックの名曲ボレロが誕生した経緯を、作曲家モーリス・ラベルが経験した社会の変化、影響された女性達との関係性を軸に描き出した知的好奇心をくすぐられる作品である。】」ボレロ 永遠の旋律 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”近代への賛歌”今作は、クラシックの名曲ボレロが誕生した経緯を、作曲家モーリス・ラベルが経験した社会の変化、影響された女性達との関係性を軸に描き出した知的好奇心をくすぐられる作品である。】
ー クラシックの名曲「ボレロ」を聞いた事がない人はいないだろう。曲名は知らなくても、同じリズムが繰り返される中、2種類の旋律が相乗して乗って来るという一度聞いたら忘れられない斬新なメロディであるからである。
冒頭に、様々なジャンルで「ボレロ」が演奏されるシーンが映し出されるが、クラシックと言うジャンルの垣根を飛び越えうる曲という事だと思う。
私は、作曲家モーリス・ラベルがこの曲を生み出した過程に興味があり、劇場に足を運んだのである。ー
◆感想
・ラヴェル(ラファエル・ペルソナ)が、著名なダンサーであるイダ(ジャンヌ・バリバール)の依頼で、新たなバレエ音楽作曲を依頼されるも、曲が書けずに悩む姿。”どんなに優秀な作曲家でもスランプがあるんだな。”と思うが、彼が生涯想いを持っていたミリア(ドリア・ティリエ)や、彼を精神的に支えるマルグリッド(エマニュエル・ドゥヴォス)達からの影響で、意欲を何とかキープする姿。
■ラヴェルが、近代化が進む工場の機械の反復音を聞くシーンは特に印象的である。「ボレロ」の同じリズムが反復する着想を、ここから得た彼は、”近代への賛歌”として、当時としては実験的な曲作りにのめり込んで行くのである。
そして、彼は更に米国旅行で聴いたジャズなども参考に、曲を作り上げていく過程は面白い。
・だが、完成した「ボレロ」を、イダが自分のバレエの舞台でエロティックな衣装で使用する光景を見てラヴェルが、嫌悪感を露わにするシーン。
彼の中の理想のクラシックとは、実験的で独創的なバレエに使われるものではないという彼の思いが伝わるシーンである。
・そして、ラヴェルはミリアとの交友は続けながら、生涯独身を貫き、最後は難病に侵されて行く様は、悲哀を感じるが、彼がアセクシャルだったかのように描いたアンヌ・フォンテーヌ監督の解釈も面白い。
<今作は、クラシックの名曲ボレロが誕生した経緯を、作曲家モーリス・ラベルが経験した社会の変化、影響された女性達との関係性を軸に描き出した知的好奇心をくすぐられる作品なのである。>
NOBUさん、お便りありがとうございました。
長野の「相生座とロキシー」ですね!
いいタイミングでお目当ての上映に当たると嬉しいですよね。
相生座には 夏に行きました。
出し物は、ホン・サンス監督の「WALK UP」でした。
駅の地下出口を登って、右へ。商店街のアーケードをぶらぶら歩いて右側です。
時間から取り残されているようなあのレトロな風情。コアな献立。
座席は平面です。少し高めのスクリーンを顎を上げて観るのです。
古い建屋でも、ああやって残っていけるのは、長野市がそこそこの人口だからでしょう。あそこはいま流行りの「シネコン」のさきがけかも知れませんよね。
出張先の街や、旅先での映画は、また独特の思い出になります。
Enjoy!