十一人の賊軍のレビュー・感想・評価
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昭和の時代はサラリーマン社会を重ねることで共感を呼びましたが、令和の今は単なる悪者にしか映らないのでしょうね。
原案は『仁義なき戦い』『二百三高地』の名脚本家・笠原和夫氏。
氏の60年前に執筆した幻のプロット(脚本は消失)を白石和彌監督が令和の時代に蘇らせた『十三人の刺客』(1963)『十一人の侍』(1967)『十兵衛暗殺剣』(1964)『忍者狩り』(1964)など東映伝統の「集団抗争時代劇」の系譜を受け継ぐ作品。
戊辰戦争を題材とした映画には岡本喜八監督、三船敏郎氏主演『赤毛』(1969)や同じく岡本喜八監督の『吶喊』(1975)などありますが、幕末・王政復古の混沌した時代に諸大名は幕府か官軍のどちら側に付くか、いずれもドラマティック、悲劇的に描かれていますね。
『十三の刺客』『十一人の侍』もどんなに悪徳な藩主にも武士の一分として忠義を尽くす敵側の家老の悲哀が漂う姿が描かれていますが、本作でも家老溝口内匠(演:阿部サダヲ氏)が忠義を尽くし、藩を守るため深謀遠慮を巡らしますが、昭和の時代は会社の命令は絶対のサラリーマン社会を重ねることで大いに観客の共感を呼びましたが、たぶん令和の若い観客には単なる悪者にしか映らないのでしょうね。
罪人を集めた「賊軍」のプロットは望月三起也氏の『ワイルド7』のようですね。
本作品では10名の個性豊かな罪人たちが集められ、個々の素性は徐々に明かされていくかたちで、感情移入もクライマックスに向けてピークを迎えましたね。
令和の時代にこれだけ骨太な作品を観られたことに感謝ですね。
人の性のエグい部分が最高に良いな!
人の性のエグい部分が最高に良いな!
タイトルにも書きましたが、これが感想です。
『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』『碁盤斬り』『十一人の賊軍』と白石監督の映画を全部観たわけじゃないのですが、究極状態になった時の人のそれぞれの性を、本当に面白く見せる監督だなと思いました。
生まれた時からそんな奴だったのか、仕事がそうさせているのか、もしくは身分なのか…
それぞれ違う立場の人間だからこそ、それぞれ違う矜持があって、それが最後にまとまって11人になるところが、めちゃくちゃかっこいい。
まぁ、最終的に考えれば結構重たい部分はあるのですが、それはそれこれはこれで、一大スペクタクル時代劇として、めちゃくちゃ楽しめました。
個人的に尾上右近の昭和の時代劇俳優みたいな台詞回しが、ツボでした。
歌舞伎調といえば歌舞伎調だけど、なんかそれとも違う 笑
あと、右近は踊りもキレキレでしたね。
歌舞伎役者の性か…
爺っつあんの殺陣がかっこよすぎる
折角良いあらすじなのに残念
予告編から七人の侍を彷彿させるとメチャ期待して観たけども!
さらに、孤狼の血、碁盤切りも良かったから期待しましたけども!
白石監督、しっかりせぇよ。
折角の史実と脚色で、面白い脚本描けたはず。なのに展開鈍い。
第一、山田孝之の無駄遣い。要ります?あの主人公。死刑免れて、タイガに出会い活躍すんのかと思ったら、なんもせんし。
ラストでタイガが切られたあと、花火持って逃げて一発かましてくれると思ったら、あっさりジエンド。
白石監督、出直しや❗️
画がきれいに見えました
最後盛り上がりました。アクション良かった。
「七人の侍」や「用心棒」と比べてしまうのですが、こういう黒澤作品にあった土や汗のにおいが伝わらなかった。俳優の肌や歯がきれいだなあと気になり、そういう意味でリアルじゃなかった。社会の最底辺の人たちが出てるから、体臭でむせるようなくささでしょうね、真夏だし。でも黒澤明がそこまで考えてなくても、画質が悪いから良い意味で汚らしさが画に出てたのでは。逆に今はくっきり映っちゃうから大変。
黒澤作品だと、「お前のためにがんばる」みたいなセリフはなかろうし、あったとしても「ココ、山場だよ」っていかにもなBGMは絶対につけない。そういう点でハードボイルドか感動作品か方向がよく分からなかった。
「弧狼の血」とも共通する感想でした。
国を治めるとは
『役者ナダル』を観ようと出かけた。
映画自体は一言で表すならば、‘思想のない’(注.悪口ではない)、『七人の侍』だと感じた。
肝心のナダルの演技だが、予想に反し、官軍の参謀役(しかも赤熊[しゃぐま]を被っている!)だが役不足。千原せいじ演じる「破戒僧」こそ相応しいと思った。怪力を生かし獅子奮迅の活躍をした挙句、壮烈な最後を遂げさせたかった-まぁ役者としての実績は、ほぼないので仕方ないが、いずれあのキャラクターを十分に発揮した演技がみたい。
以下、野暮を承知で、いつものごとく‘粗さがし’(順不動)。
・牢屋-普通に侍とその他の身分は分けるだろう、ましてや男女雑居など考えられない。
・磔-日本式(脇腹を槍で突く)と西洋式(放置して衰弱死させる)が混交。
・家老の娘-一人で砦までたどりつけるのか。少なくとも一人は従者がつくはず。
・砦からの脱出方法-普通に家老の娘が来た道を逆にたどればいいのにと思った(笑)。
・腹の傷の縫合-医師は、常に針や糸を持ち歩いているのか(牢内でも)?
・銃創-当時は腹部を撃たれ内臓を負傷すれば、まず致命傷だろう。
・花火-長期間放置して湿気てないのか。
・石油-あのような山の中腹からは産出しないと思われる。
・橋の破壊-焙烙玉を門のあたりから投げればいい(何度でも)。
・家老の切腹-当時の作法では小刀を取り上げた(または腹にあてた)と同時に介錯されるはず。
・大砲-数門で一斉に砲撃すれば数分~数十分以内に攻略出来るはず。
・籠政(山田孝之)-数度にわたる‘無意味で稚拙な’裏切り(脱走)。「ユダ」の役回りか?
ps.各役者さんたちの殺陣シーンには迫力があった。
もう少し
見応えあった
正直そんなに期待してなかったのだが、最初のシーンから疾走感があり、のめり込んだ。
闘いのシーンでは、老剣士に圧倒された。戦争なのだから、後ろからの攻撃もリアルだった。
花火師のノロは、足手纏いと思われながらも実は闘いのヒントを与えてくれる者であり、それを支える女性もまた必要な存在。ラストにすべきことを終えまた疾走するシーンは、明日への希望を感じた。
山田孝之、仲野太賀、阿部サダヲ…どの役もそうざるを得ない立場や思いを演じてきったと思う。
いやー面白かったと大満足で映画館を後にした。
みんな強すぎw
官軍に挑んだ多士済々の11人の激闘群像劇
幕末から明治維新にかけて、新政府軍(官軍)と旧幕府軍が繰り広げた戊辰戦争。この戦争で旧幕府軍側の奥羽越列藩同盟に加盟していた新発田藩が生き残るため官軍に寝返る奇策を実行した11人の壮絶な激闘を圧倒的な迫力で描いた群像劇である。
新発田藩・家老・溝口内匠(阿部サダヲ)は、官軍への寝返りを画策していた。折しも同盟軍は新発田城に赴き参戦を要求してきた。官軍も新発田城目前まで迫っていた。両軍の衝突を回避するため、溝口は官軍の進路にある砦に長岡藩を装った死罪が確定した多士済々の罪人達を送り込み赦免を成功報酬にして官軍と戦わせる。罪人達は奮闘するが、大砲を使った圧倒的な戦力の官軍に苦戦を強いられる・・・。
大砲の爆音が強烈。敢えて強烈にしたのは観客への意識付けでありラストへの布石だと推察できる。頭の弱い花火師の息子罪人ノロが黒い水を見つけるシーンも同様である。黒い水が何かは推察できる。罪人達が望遠鏡で見つける官軍布陣背後の山の中腹にある横穴も同様。布石を打つのは大切だが、布石なので観客にもっと考えさせて欲しかった。
序盤で煙幕を張り砦の門を利用して官軍勢を分断して倒す方法は七人の侍を彷彿とさせる。しかし大砲があるなら、門、物見櫓を真っ先に破壊するのが定石ではとの疑問が沸く。
戦力の優劣に関わらず理詰め、緻密さが戦いの必勝条件だろう。
溝口が同盟軍の疑いを払拭するため、罪なき市井の人々を次々と斬首していくシーンが出色である。画面に映るのは彼の血染めの顔と斬首された首のみ。彼の表情に喜怒哀楽はない。彼もまた戦争の被害者であることが画面から伝わって胸を打つ。名演技だった。
罪人達はそれぞれの事情を抱えているが、キーパーソンを絞って深堀すれば、もっと重厚な人間ドラマになっていただろう。罪人達を束ねる11人の賊軍リーダ鷲尾平士郎役の仲野太賀の殺陣が見事。剣捌き、姿勢が決まっている。とても時代劇初出演とは思えない。
観終わって“戦争の理不尽と不条理”という言葉が心に強く刻まれた。
和製スーサイドスクワッド
物語の構成とか面白かったなあ。
この砦を守る云々ってのは付属品みたいなもので、新発田藩的な大問題は、同盟軍を如何にして出立させるかって事である。
砦はどうでといいとまでは言わないが、目の前に大問題が居座っている状態なのである。
で、本来ならば忠義の徒とかが、砦を守り、家老連中が「今、しばらく!しばらく持ち堪えてくれっ」と、唇を噛み締め血の一つも流すもんなんだけど、砦を守ってるのは罪人なわけだ。
藩としては死んでくれても一向に構わず、なんならどうせ死ぬなら役に立てと言わんばかりだ。
で、まぁ、罪人達が奮闘するわけなんだけれど…どうにも感情移入しにくい。
なぜだかわからない。
10人もいるんだから、誰か1人くらいは居そうなもんなんだけれどそうならない。
なんか魅力的なキャラがいない。
中野氏は奮闘してた。体つきが侍のようであった。
そんなもんだから、決死隊が順次死んでいく時もあまり感情が動かない。
全員の腹が決まり反撃だって時もテンションはあがらない…真ん中にいる歌舞伎俳優が軽口を叩くからだ。
この人は抜群に上手いのだけど、なんか、上手すぎる。指先まで神経が行き届いているような芝居に見える。上手すぎて違和感ってちょっと珍しい感想だ。
まぁ、なんせ、やってる事やってんのにイマイチ盛り上がらないのだ!
なんでだ!?
結構好きなタイプの話だよ!
なぜ、俺のテンションは上がらんのだ!!
謎だ…。
俳優陣は山田氏筆頭に皆様、熱演でした。
難ありな人も居るにはいたけど…。
なんか分割されてんのが良くなかったのかなあ…。
砦と城内の繋がりが薄かったとか、砦の人間達と市井の人々との繋がりが少なかったのかな?
なんか原動力の源がピンと来なかったのかも。
中野氏が叫ぶ「城下を火の海にするわけにはいかない」って決意が刺さるような連中じゃないはずだし、中野氏の為に生命を賭けるような間柄でもない。
舐められてたまるか、死んだ方がマシだってタイプでもない…となると、キャラ立ちの方向性が違ってたのかなあと訝しむ。
老兵が言う「義によって助太刀いたす!」が全然響いてこないんだもの…お前、何に感化されたのさ?って問いかけてみたい。
あの砦って、最重要拠点なわけで…アレを通過されたら敵対する軍が城下で鉢合わせする事になり、町は戦場と化すは、両軍から卑怯者と罵られ武家の面目は潰れるわで、藩としては瀬戸際の分水嶺なわけで…。
あそこにダミー部隊を送り込んだ家老はかなりな切れ物で、起死回生の妙案でもあったと思う。
なのだが…あまりにおざなりというか、軽視しすぎというか。背負わなすぎというか…。まあ、城内は城内でそれどころではなかったのだけど。そう新発田藩としては内側と外側から絶大な圧力をかけられてる状態で、崖っ淵もいいとこなんだけれど…と状況は理解するも、イマイチ入り込めないもどかしさ。
白石和彌監督とは相性が良かったんだけど、今作だけはなんだかズレてた。
油田に火をつけたんだから、崖の一つも吹き飛ばせやって思う。
侍版「ワイルドバンチ」?
十一人目仲野太賀の殺陣が熱い
ポスターのビジュアルから伝わってくるのは「七人の侍」への熱烈なオマージュで話は和製「スーサイドスクワッド」。大好きな白石和彌監督が「仁義なき戦い」の脚本家・笠原和夫のプロットを映画化したと聞いて期待値が上がりすぎないように用心していた。前作の「碁盤斬り」がちょっと肩透かしだったのだけれど最後に無理やり殺陣シーンを設けたのもこの企画の前哨戦、時代劇予行演習なんだろうと納得していたのである。千葉県鋸南町に砦や吊り橋の大規模なロケセットを作って官軍との攻防を撮影したのだという、予告編を何度も見せられるにつけこのインディージョーンズ的な制作手法がハリウッドの真似事で終わることを危惧したが白石監督にとってはより大きな予算を掛けて思いっきり遊べる現場を手に入れたということなのだろう、子どもの頃切り崩した山の斜面でやっていた戦争ごっこをこれだけの兵隊をそろえて遠慮なく合法的にできるのだから楽しくってしょうがないに違いない。晩年の黒澤明巨編のごとく大味になることを恐れたがそこは白石監督の手腕はさすができっちり面白く及第点にまとめて見せた。NHK大河のイメージが残る山田孝之のキャスティングが残念で綾野剛ならばと思ってしまうのだ。
幕末スーサイドスクワッド
信念を貫くということ
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