「昭和が薫る「集団抗争時代劇」」十一人の賊軍 Haihaiさんの映画レビュー(感想・評価)
昭和が薫る「集団抗争時代劇」
2024年公開、配給・東映。
【監督】:白石和彌
【脚本】:池上純哉
【原案】:笠原和夫
主な配役
【駕籠政】:山田孝之
【鷲尾兵士郎】:仲野太賀
【なつ】:鞘師里保
【ノロ】:佐久本宝
【爺っつぁん】:本山力
【溝口内匠】:阿部サダヲ
ほか玉木宏、柴崎楓雅、岡山天音、千原せいじ、ナダルなど
1.原案は笠原和夫のボツ企画
故・笠原和夫は伝説の脚本家。
海兵団からキャバレーの用心棒など職を転々とし、27歳で東映入社し映画の世界へ。
任侠ものや戦史ものが多い。
本作の企画は、1964年笠原によってプレゼンされたが、岡田茂がダメ出しした。
渾身の作品だったため、あらすじ以外はすべて笠原自身で処分するほど落胆した、と伝わっている。
白石和彌監督がこのエピソードに興味を惹かれ、
作品化した。
本作の脚本を担当した池上純哉が、笠原を意識したかどうかはわからないが、
本作は、良い意味で、昭和の香りがする。
最近の映画にありがちな無意味なリアリティを排して、痛快な「集団抗争時代劇」路線を踏襲した。
残酷なシーンはあるが、
見ていて不愉快になるほどではない。
(↑これは、あくまで、私個人の感想)
2.お笑い芸人も大活躍
千原せいじやナダルは、思った以上に無難にこなしていた。
やはり、お笑い芸人たちはベースがうまい。
あと、若殿を演じた柴崎楓雅も、不安な感情を表す演技が印象的だった。
だが、ぶっちぎりで演技が秀逸だったのは家老を演じた阿部サダヲだ。
彼が演じた家老は悪人ではなかろう。
よくできた脚本だな、と思う。
3.まとめ
期待を上回る作品だった。
山田孝之、仲野太賀の熱演、
本山力(爺っつぁん)の美しい剣技、
安定の阿部サダヲ。
昭和が薫る「集団抗争時代劇」。
次作に期待したい。
☆4.0
共感ありがとうございます。
どこかアップデートしないと受け入れられないんでしょうが(国宝なんかもそう)、昭和作品とかにはこの味で我慢しろ!嫌なら食うな、の煮しめ具合がありました。今作はやはり薄味と言うかファミレス味ですかね。

