「義を貫き、仁を棄てる」十一人の賊軍 機動戦士・チャングムさんの映画レビュー(感想・評価)
義を貫き、仁を棄てる
ご家老の乱心ぶりには、恐れ入ります。最前線に囚人兵を送るし、知られたくない情報は、確実に始末するし。(実際に、そういうことするヒトいるし。)…そこまでして、ご家老が守りたかったものは、何かな?。その代償として、ご家老は許される者なのか、許されざる者なのか…。
子、曰く人として最も大切なのは、仁。仁、言葉で表し尽くすこと能わず。されど、仁の裡に義あり、礼あり、節あり、忠あり、孝あり…。
つまり、義は仁の一部ではあるものの、全てではない。どんなに自らの正しき義を貫いたところで、隣人の義とぶつかるだけ。争うだけ。傷つけ合うだけ。
義を貫徹、仁を棄てた御仁に見える世界とは、どんなものですかね。
大勢の幸福の為には、少数の犠牲はつきもの。よくある主張です。しかも、自分がその大勢の側にいると、賛成はしなくとも、黙認してしまうのが、ヒトの性(さが)。そして、少数を犠牲にしたヒトを責め、犠牲にされたヒトに同情する。しかも、自分は安全なエリアから、一歩も踏み出さない。あ、そうだ。戊辰戦争のひとつ、上野会戦を見物していた江戸っ子が、いたとか。江戸無血開城のおかげですね。映画館まで足を運んだ私は、その末裔かもね。
ところで、そのご見物の談話だと、刀で斬り合うと、初めの一合で生死が決まることが多く、何合も斬り合うのは、お互いの腰が引けて小手先を斬り合う場合。こうなると、腕周りの失血が多く、体力低下した方が討ち取られたそうです。斬るか斬られるかは、映画のようにかっこ良くないそうです。ちなみに私、斬られたくないので、転生したら、新政府軍の兵隊だった、は、遠慮させて下さい。
どうにもこの映画、11人の怒れる者達だけでなく、クニの為、大多数の為に、凄まじい罪と罰を背負わされた方が、気になります。官も賊も、関係ない。同じ藩、同じクニにいても、守るべきものが違う。大切にすべきものが違う。その結果があの結末だとしたら…。
皆様は、何を守りますか?。
何を大切にしますか?。
追記)
阿部サダヲ、いい役者さんになりましたね。この先、柄本明や、イッセー尾形に匹敵する名優になりそうな気がしました。
「推しの子」ドラマや、映画になるそうですが、いっそ、「推しのサダヲ」してみる?。