「犠牲の上に成り立つ平和の心苦しさ」十一人の賊軍 AZUさんの映画レビュー(感想・評価)
犠牲の上に成り立つ平和の心苦しさ
その場で偶然居合わせた人物たちが、人数も装備もスキルも圧倒的に上の輩たちを相手に戦わなければいけないという設定は、何度見てもワクワクする。
どんな機転で現状打破するのか。
圧倒的不利な立場でそれをどう覆していくのか。
その展開が楽しみではあったのだけれど、そんな王道まっしぐらな話ではなかった。そりゃそうか。
見終わった後、どんな感情になれば良いのかわからなくなった。胸糞といえば胸糞だし、でも世の中っていつの時代もこうだよな…とも思うし。
時代劇ではあるけれど、とても現代的でもあるなと感じた。
一部の権力者の人がよく言う「多少の犠牲はやむを得ない」という言葉。いつ聞いても、じゃあお前がその犠牲になってくれと思ってしまう。
いつの時代でも、何かを得るために名もわからない人々が犠牲となって戦っているんだと改めて思わされる。そしてそんな彼らの心の叫びを浴びて、私はどうしたらいいんだという気持ちにさせられた。
仲野太賀の初の殺陣は素晴らしかったし、山田孝之の汚いビジュアルでの野生味溢れる演技は素晴らしかった。仲野太賀のラストの迫真の演技は圧巻すぎるので、是非見てほしい。
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