ホウセンカのレビュー・感想・評価
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最近はやりの、中身の薄い長尺映画に飽き飽きしてるあなたへ
お人好しヤクザの純愛物語。言ってしまえばそれだけの話。ただし登場するエピソードがどれも印象的。庭から眺める打上げ花火。レンチン音に合わせて口ずさむ「Stand By Me」。自作の地図で近所の散歩。土地の占有権を主張する為の姑息な手段。海沿いの高台アパートで3人で過ごしたかけがえのない日々。お喋りなホウセンカに問われるまま、独房のヤクザが過去を回想しながら、やがてある出来事をきっかけに、男が収監された理由が徐々に明らかにされていく。そしてラスト、見事な伏線回収とともに、男の最後のメッセージが。もう…涙腺がアレでした。
愛のファンタジー
独房で死を迎えようとしていた無期懲役囚の老人で元ヤクザの阿久津に、生まれたばかりの赤ちゃんと死ぬ間際の人だけが聞こえる、人の言葉を話すホウセンカが声をかけた。ホウセンカと会話しながら、阿久津は自分の過去を思い出していた。
1987年の夏、阿久津は兄貴分である堤の世話で、那奈と連れ子の健介とともに、庭にホウセンカが咲くアパートで暮らしはじめた。幸せな日々を過ごす阿久津だったが、ある日突然、健介が心臓の病気で、移植手術が必要な事がわかった。アメリカでの手術で待ち時間無しの割増料金だと2億円の大金を用意しなければならなくなった。そこで、堤に相談したところ、組の後輩で将来の組長候補を消し、組の金庫から3億円の強奪を計画し、実行した。2億円で健介の手術を終え、残りを隠し持った阿久津は堤を裏切り、残金を隠し、秘密裏に那奈に渡そうとしていた。さてどうなる、という話。
特にドキドキも無く、手紙でどうやって隠し金の場所を教えるか、というところが見どころなのだろう。
どうして黒塗り部分を予測出来たのかはわからないが、(もしかして自分で黒塗りにした手紙をつくったのかも)そこだけはなるほど、と思った。
大逆転、って言ってたけど、もしあの空き地に持ち主が居たらどうしてたんだろう、特に深く調べたわけじゃなさそうだし。
そして、本当に30年放置してたらあんな草の状態の訳ない。もっとジャングルになってるはずだし、もしかしたら大木が生えてるかもしれない。
ま、ファンタジーだから良いのだろうけど。
阿久津の声を小林薫と戸塚純貴が演じ、阿久津のパートナー・那奈役の声を満島ひかりと宮崎美子、そして言葉を話すホウセンカ役のピエール瀧とも役に合っていて違和感なかった。
オッドタクシーコンビの素晴らしさ
大好きな「オッドタクシー」コンビの「ホウセンカ」。
映画館内の年齢層はアニメの割には高め(オマエもなー)。どういう情報から観にきてるのか気になった。
久しぶりにストーリーに重きを置いたアニメを観た気がする。淡々と描写される過去の出来事に散りばめられたエピソードを最後にしっかり回収していく手際は、オッドタクシーと変わらず今回も見事。“らしくて”渋くて膝を打つ、好きな世界でした。
声優・満島ひかりさん、とてもいい声。良かった。満島ひかり→宮崎美子の声優バトンは抜群にハマってたと思う。楽曲の使い方も好きです。
ホウセンカの扱い次第だけど、実写映画にもなりそう。アニメを観た作品の実写版はほとんど観ないんだけど、このお話ならキャスト、監督次第では観てみたい。尺が足りないかな。余計なことを足してほしくはないな
以下余談。
「ほうせんか」で一番最初に思い出すのは中島みゆきさんの名曲なんだけど、関係なかったみたい。でも、改めて詞を読むと、物語とそんなに遠くないような気もした。
シンプルだけど、美しくてとても温かい。
何も考えずにアニメ映画のチケットを取っただけなのに、思いがけず素晴らしい作品に出会ってしまった。
シンプルだけど、美しくてとても温かい。
スタジオCLAPによるこのアニメ作品は、刑務所で過ごす元ヤクザの晩年を描いている。
ある日、彼の前に“話すことができるホウセンカ(鳳仙花)”が現れ、二人は過去の出来事について語り合う。
物語は現在と過去を行き来しながら、静かに語られていく。派手さはないけれど、不思議な魅力があって目が離せない。
成長、崩壊、そして再生
どんな命にも価値があり、愛し、守るべき目的がある。
そして何より大切なのは「希望」だ。
人生の大きな転機がいつ訪れるかなんて誰にもわからない。でも、後悔しないように生きることこそが、本当の意味での「生きる価値」なのだと思う。
予想以上に美しく、心に残るアニメ映画だった。
夢か現か
仄かな温かさのある良作
思ってた以上に渋い話だったけど好き
2025年劇場鑑賞280本目。
エンドロール後映像無し。
アニメという情報だけで行ったのですが、ヤクザと同棲している女(多分肉体関係はない)の話で、そこにホウセンカが年老いたヤクザに話しかけて来るというファンタジー設定が加わります。
最初アニメじゃなくてもいいのでは、と思いましたが、老ヤクザがずっと花としゃべっているのを実写でやるとシュールすぎるのでアニメで良かったと思います。
話自体は昭和の任侠ものかと思うくらい渋い話でしたが、こういう話は嫌いじゃないので良かったです。まぁ、女盛りの時に好きな男が全然手出してくれないのはどうなのかなとは思いましたが。
前情報なかったので、老ヤクザが小林薫だということしか観ている時は気づきませんでしたが、戸塚純貴、満島ひかり、宮崎美子と普通に映画撮れるメンバーが2人の若い頃と老パートを演じていたのには驚きました。
で、ホウセンカピエール瀧かよ!お前が一番ヤクザみたいなのに!
「大逆転」への布石。
オッドタクシーとは別物
男が人生をかけて残した想い。
美談にしようとしてるが冷静に考えるとかなりバカな男のストーリー
"恋愛はバカにならないとできない。頭で考えてはダメ。"
これはよく聞く言葉ではあるが、
まさにこの映画の主人公はバカすぎて、その行動が故に素晴らしい恋愛を成し遂げて愛を貫いたとは思う。
他人の子どものために自分の残りの人生を棒に振るうとはかなりバカでないとできない事だろう。
その子どもに何か自分が人生において救われたとか、そういった描写もあれば何となくは分かるが、いやそれでもよその男との間にできた子どもの為に人生を賭けて救おうとは普通は思わんだろう。
たまに連れ子ごと愛する、そういう人達は世の中にいるとは思うが、ホウセンカの言う通り、生物学的には理解ができないには納得がいく。冷たいかもしれんが。
自分がそういった立場になれば分かる境地かもしれんが、
正直本質を見ないようにして、ただ愛がどうたらと言って正当化しているだけな気がする。
ただ愛するのは勝手だろう?と言われるかもしれんが
この映画の主人公のように、いくら惚れた女とはいえ、よその男との子どもをぶらさげてまるごと受け入れてもらおうとしている烏滸がましい人のために全てを犠牲にするのはただのバカだとは思う。
しかしながら男としては、一途な愛を貫くのはなかなか普通の男にはできない事で、素晴らしい恋愛をみせてくれた。
浮気性なしょーもない男が蔓延してるこの世の中で、彼のような真の漢はおそらくアニメの世界にくらいにしか存在しないだろう。いたとしたら誇ってもいいくらいだ。
最後のシーンはなかなか素敵である。
そしてホウセンカがなかなか人間に対して的確な言葉を放つので、人間の在り方について考えさせられる。
同じ場所での人間と土地の変化から月日の早さも感じ、映画のストーリーのように人生はあっという間に過ぎていくのだろう。
今は未来から巻き戻して来た過去だと思い、今だったら若くて自由に何だってできる精神で即行動するしかない。
この映画のように人生に詰んだ老人を見るといつもそう思う。
盤上では詰んでるように見えるが、オセロをひっくり返せば大逆転できる。
人生いつだってsilver liningがあるのだ。
⭐︎3.8 / 5.0
ハードルを超えた良作だった
人生を賭けた、温かくも切ない大逆転
■ 作品情報
監督は木下麦。主要キャストは小林薫、戸塚純貴、満島ひかり、宮崎美子、ピエール瀧、安元洋貴、斉藤壮馬、村田秀亮、中山功太など。脚本は此元和津也。企画・制作はCLAP。
■ ストーリー
独房で孤独な死を迎えようとする無期懲役囚の老人、阿久津実が、言葉を話すホウセンカとの対話を通じて自身の過去を振り返る物語。1987年の夏、阿久津はしがないヤクザとして、パートナーである永田那奈と彼女の息子、健介と共にホウセンカの咲くアパートで慎ましくも幸せな日々を送っていた。しかし、ある日突然、大金を工面する必要に迫られた阿久津は、兄貴分である堤と共に組の金庫に眠る3億円を強奪する計画を企てる。物語は、過去の出来事が現在の阿久津にどう繋がり、その人生がどのように「大逆転」へと向かうのかを描き出す。
■ 感想
予告で観たやわらかい絵柄と温かい雰囲気に惹かれ、公開初日に劇場へ足を運びました。とても素敵な作品で、期待を超える感動を味わってきました。
物語は、ごく平凡ながらも幸せな日常から、突然の波乱へと展開します。純朴で優しく、どこか不器用な阿久津が、人生の全てを賭けて愛する家族を守り抜こうとする姿に、深く心を打たれます。
特に驚かされたのは、阿久津の並外れた賢さです。法律に関する深い知識、兄貴への巧みな対処、そして手紙に仕掛けられた暗号など、彼の切れ者ぶりには目を見張るものがあります。むしろこれほどの知恵をもつ男が、なぜヤクザの世界に身を置いているのかと、ある種の疑問すら感じるほどです。
また、序盤から実に丁寧に伏線が張り巡らされており、それが物語の進行とともに見事に回収されていく脚本の秀逸さには、ただただ感嘆するばかりです。まさに人生を賭けた温かくも切ない大逆転劇であり、その強い思いが那奈にしっかりと伝わるラストシーンには、熱いものが込み上げてきます。
一見すると冴えないキャラクターデザインも、阿久津やホウセンカのキャラクター設定と絶妙にマッチしており、物語に深く浸るにつれて、その味わいを深く感じるようになります。劇場には10人程度の観客しかいなかったのが残念で、もっと多くの方にこの素晴らしい作品を観てほしいと強く感じます。しかし、本音を言えば、一人でじっくりと作品世界に浸り、周囲を気にすることなく心ゆくまで涙を流したかったです。
エンドロールで、ホウセンカの声がピエール瀧さんだと知り、その意外性とすばらしい演技に驚きました。一方で、一部で気になる演技が見受けられたのは、惜しまれる点です。やはり、メインキャストには本職の方々を起用するのが望ましいのではないかと感じます。
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