「人間を描くアニメ」ホウセンカ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
人間を描くアニメ
月並みな言い方すると、人間が描かれている映画だなと思った。悪い奴とかいい奴とかじゃなくて、いろいろあわせもっている人間、その営みが描かれている作品だった。刑務所でもうすぐ死を迎えるヤクザがホウセンカに向かって話しかけている。
男が語るのは、愛する人との幸せな生活と、ヤクザとしてのし上がった頃の羽振りの良い生活、そこからの転落と刑務所に入れられた顛末。兄貴分との仁義と裏切り、事実婚状態の女性との生活とその子どもの手術のために犯罪を犯す男の半生がつづられる。
ホウセンカは意思を持って会話する辺りがアニメーションらしい部分と言えるが、それ以外は実写でもできそう、と思う人が多いかもしれない。
でも実写でこの物語を描くのとは、やっぱり異なる情感が感じられるのだと思うのだ。こういう物語をアニメで描くという意欲的な試みはもっと増えてほしいなと思う。
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