「無器用で几帳面。そう生きるしか術の無い男の想いは、はたして相手に届くのか。ホウセンカが時を超え置く末を見届ける、少し不思議なヒューマンドラマ。ややビターですが秀作です。」ホウセンカ もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
無器用で几帳面。そう生きるしか術の無い男の想いは、はたして相手に届くのか。ホウセンカが時を超え置く末を見届ける、少し不思議なヒューマンドラマ。ややビターですが秀作です。
ノーチェック作品でした。たまたま目についたポスター
画像と作品紹介が印象に残ったので、鑑賞してきました。
アニメ作品で90分というのもGoodです♪
鑑賞開始
主な登場人物は4人。(と、ホウセンカ…? ・△・)
・主人公の30男 阿久津。ヤクザ?
・と同居する女 那奈。水商売あがり?
・主人公の兄貴分 ヤクザの幹部?
・女の産んだ子 男の子。名は健介。父親は?
◇
主役の男は、堅気モノではない。
現在は刑務所で無期懲役の刑に服している。
このところ体調不良。刑務所の自室で寝たきり。
枕元にはホウセンカの鉢植え。
このホウセンカが、阿久津に話しかけてくる。
産まれたてと、死にかけている者にはホウセンカの
語りかけるコトバが分かるらしい。
獄中の阿久津とホウセンカの会話を中心に
現在と、30年前の話とが語られていく。
兄貴分に世話を頼まれた女性と
彼女が産んだばかりの赤ん坊との生活。
二人に無関心を装って暮らす阿久津だったが
共に暮らす内に情も涌いてくる。
そしてその事は、那奈のほうも同様らしい。
赤ん坊が育ち、コトバを覚え始める。
阿久津の事をパパと呼ぼうとする健介。
パパじゃない。阿久津だ。否定する阿久津。…うーん
"パパ でもいいじゃない… " と悲しそうな那奈。
◇
健介の具合が良くない。
心臓の具合が悪いのだ。
助かる為に必要なのは心臓移植。
心臓の空きなど、待てない。
日本国内ではダメだ。アメリカだ。
心臓移植に必要なのはお金。…2億円
そんな大金が…あると兄貴分がいう。
組の金庫にある金を狙う と、兄貴分がいう。
計画に乗る阿久津。 …あぁぁ@△@
組の金庫襲撃は成功するのか?
健介の手術は無事に終わるのか?
阿久津は?(…刑務所か)
那奈と健介は?
どうなっちゃうの?
というお話。
ホウセンカと、獄中の阿久津(老人)の会話で
話が進展するのですが、展開が上手いです。見事です。
さりげない伏線があちらこちらに。沢山。
埋められていることに途中で気付きます。見事です。
観て良かった。・_・v
気になる方、ぜひ劇場でご鑑賞ください。
予備知識なしが良い…かもデス。
◇あれこれ
■鳳仙花(ホウセンカ)
花言葉
・短気、せっかち … そうなんだ。そんな二人には見えなかったです。
・私に触れないで … うーん。触ると弾けてしまうから…なのか?
・心を開く … ” 実が弾けて種を飛ばす様子が、
内面を開放するようにも見える " からだそうです。
夜空に広がる花火と、弾けて飛散する種子。
イメージが重なって見えました。
どちらも刹那の出来事なのですが
花火と違うのは、飛んだ先で再び芽を出すことでしょうか。
■フラワーロック
ホウセンカの動き。
音に反応してサングラスをかけた花が踊るおもちゃ。
昔そんなのがあったなぁ と遠い目。1980年代?
この作品の時代なのかも。
◇最後に
ラストが秀逸でした。
二人で仕上げた手づくりの宝の地図。
獄中から送られた7通の手紙。
方眼紙に書いたような几帳面な文面。
20年所有すれば、自分の物になるという土地の話。
見つけ出した宝。金庫の中には現金8000万近く。
けれど、真のお宝は現金ではなかった。
いずれ本人の手元に届くことを祈って
阿久津が一緒に入れていたのは、一枚の絵。
30年前那奈にせがまれて描いた、那奈の似顔絵。
満面の笑顔の那奈。そして右上には消した文字。
鉛筆で上書きし読めなくしようとした文字。
光に透かしてみると、下の字が読み取れる。
消しきれなかったのは、四つの文字。
” 愛してる ”
30年の年月を経て、ようやく那奈に届いた阿久津の本心。
その瞬間の描き方の、なんと秀逸なこと。
やられました。
このラストシーン、大好きです。
◇追記
杞憂なら良いのですが…
ホウセンカの言葉が分かるのは、
産まれたての命、もしくは死期の近づいた命との事。
そして三十年ぶりに、二人が住んでいたアパートを尋ねた
那奈に、ホウセンカの言葉が聞こえた。
ということは
那奈の命も、もう永くはないということなのか? ・△・?
それとも、庭先のホウセンカを見つけた那奈が
刑務所内の阿久津にホウセンカを送ることで自分の無事を
知らせる事ができると気付いた ということなのか?
考えすぎか、勘違いであることを祈ります。@▲@;
◇余談
ホウセンカ と サルビア。
昔(昭和の頃)の小学校に、よく植えてあった気がします。
校庭の脇とか、中庭の花壇とか。
この作品を鑑賞するうえで、そんなノスタルジックなフィルターが
かかっていたかもしれません。(遠い目)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
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