「人の一生」ホウセンカ nazionaleさんの映画レビュー(感想・評価)
人の一生
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男の生涯は旗から見れば無価値で愚かだったのかもしれない
だが彼にとってはその生涯をかけ辿り着いたどんな人生よりも価値のあるものだったのだろう
男の人生は監獄の中で静かに寂しく幕を閉じる
だがその心は満たされていて、自らにとっての意義を全う出来たんだという安堵と幸福で溢れていた
言葉には出来なくても、人生の中の一瞬であったとしても、例え最後まで出会えなかったとしても生涯を費やした愛は命として灯り続ける
そこにはどんな富に満ちた人生よりも確かな価値が存在するんじゃないだろうか
作品としての側面もまた美しく繊細なアニメーション表現とヤクザが遂げる一生というものを丁寧に掛け合わせ、非常に上質なものに仕上がっていた
小林薫の無骨な語り口や満島ひかりの柔らかで暖かみのある声、戸塚純貴の不器用ながらも包容力のある声、そしてホウセンカを演じるピエール瀧のウィットに富んだ演技もそれぞれのキャラクターに確かな存在感を与えそれらもまた作品全体の底上げに繋がっていたと思う
鑑賞後に心に小さな、だけれども温かな灯火を与えてくれる そんな作品だった
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