「【“民法162条。そして頭の中で書いた数々の地図と大逆転。”今作は、或る極道の男が一人の女と血縁のない幼子を不器用に愛した、優れたるプロットに瞠目しつつも、実に心に沁みる作品である。】」ホウセンカ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【“民法162条。そして頭の中で書いた数々の地図と大逆転。”今作は、或る極道の男が一人の女と血縁のない幼子を不器用に愛した、優れたるプロットに瞠目しつつも、実に心に沁みる作品である。】
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ー 今作は、絵柄が、今風のモノではなく、どことなく”つげ義春”を思わせるフライヤーを手に取った時に、”この作品は面白いかもしれないな。”と思っていた作品である。
フライヤーを見ると舞台は1987年と書いてあるが、昭和の時代が舞台なのである。
そこで、余り笑顔を見せない男は、不器用ながら一人の女と、血縁のない幼子と小さな眺めに良いアパートで幸せそうに暮らしているのである。
男は、時折、フラッと町(街ではない。)に出掛け、手書きの地図を描いているのである。そこには、誰の所有物か分からない土地もあり、男はそこに金庫をドサッと置いて名前を書くのである。
今作が、何処か懐かしくも不思議で、温かいテイストに包まれているのは、その絵柄もあるが、喋るホウセンカとの少し可笑しい遣り取りであり、女と行うオセロゲームでいつも男が負ける姿であり、電子レンジの”チン!”と言う音と、紙を破く音で奏でられる、”スタンド・バイ・ミー”のメロディである。それが再後半に見事に効いてくるプロットが、実に秀逸なのである。ー
<今作は、上記の要素が、男が女と幼子を愛する姿と、時が経ち男が獄中で過ごす間にホウセンカと交わす会話とが、絶妙に優れたるプロットで描かれている所が魅力なのである。
そして、男が獄中でホウセンカを命尽きて落とす姿と、対照的に幸せそうな年老いた女と立派に成長した父の顔を知らぬ青年の姿との対比のシーンでは、目頭が熱くなるのである。
今作は、或る極道の男が一人の女と血縁のない幼子を不器用に愛した、優れたるプロットに瞠目しつつも、実に心に沁みる作品なのである。>
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