ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
全305件中、161~180件目を表示
実写よりもリアルな陸上の世界
実写の方が向いているような題材だったけど、実写では出せない雰囲気や描写が逆にリアルさを引き立てていた。全編を通じてふんだんにロトスコープが使われていて、良い意味でアニメっぽくない演出が多い。でも、一般的なアニメ作品のような作画では、直向きに淡々と競技に懸ける人々の空気感は表現出来なかったと思う。ラストシーンもあれ以外の終わり方は想像出来ないくらい、綺麗な結末だった。
新記録とか怪我とかライバルとかそんなの関係ない。ただ、あの約10秒で雌雄が決する瞬間が極上なんだ。そうした根源的な感情の機微が命題なのだと思う。
世界No.1実力のアニメ大国・日本の制作陣が陸上競技を描くと、こんなとんでもない作品が爆誕する
原作は『チ。地球の運動について』の魚豊。その2018-19年の連載デビュー作品がアニメ化され、9月19日から公開中。
いやーすごかった。圧倒された。
2025世界陸上TOKYOは盛り上がったけれど、野球やサッカーに比べちょっとマイナーな陸上競技。
その中でもマラソンと並んで一応「華」と言われる100m走という種目に焦点を当てたマニアックな原作コミックなので、ウェブ連載当初はPV数が伸びずに単行本化がされない予定でしたが、その後じわじわと人気が出てコミックが出版、そしてついに今年はアニメーションに。
わずか10秒に人生を賭ける狂気。
しかし物語の後半で、「もう、記録はどうでもいい。誰と競うか?だけが一番大切なことで、それを追求することが幸福だ」(要旨)という台詞が響く。
トガシ、小宮、仁神、海棠・・・それぞれの天才と努力と狂気が、私のような凡人をも揺さぶり続ける。
このテーマは何だか懐かしい。
そうだ、まったくジャンルも設定も違うが、『ルックバック』に通じるのだ。
映画の製作技術的に言えば、これはアニメとしての質が異常と言っても良いくらい高い。
ロトスコープを使って、例えば高校生になったトガシを陸上部に勧誘する女子先輩・浅草の微妙な表情や、疾走する選手たちの腕振り・腿上げの身体の所作など、驚くほどきめ細かに表現している。
(まったく横道にそれるが、浅草センパイの実写俳優の演技は若き日の広末涼子をイメージしていないか?)
特に仰天したのは、雨のインターハイのスタートシーン。
招集→スターティングブロックのセッティング→一人ひとりの選手紹介→レディ→セット→スタートに到るまで、ワンカットで長回ししながらカメラのほうが動いていく視点を、3分間の長きに渡ってアニメーションでやるか?普通。
このシーンはVC陣も驚嘆していて、YouTubeの座談会で一部だけ紹介されているのでここにも記しておく。
※この本文でURLを記入するとどうも投稿をハネられるようだ。YouTubeで改めて次のタイトルを検索願いたい。
劇場アニメ『ひゃくえむ。』公開記念スペシャル座談会映像【𝟗.𝟏𝟗(𝐅𝐫𝐢)公開】
一方、背景に使いがちな3DのCGをどうやらほとんど使っていないようだ。上記の雨のインターハイのスタンド席など、カメラが動いていく表現をする以上はあの背景を手描きか!? もはや、アートとしか言えない味を出している。
このような重要なシーンは、そのシーンごとに作画・制作責任を持つ個別のユニットが設定されていたようで驚いた(エンドロールにそんなふうな表記があり)。
上記の座談会で明かされている通り、どうやらこの雨のインターハイのシーンはここだけで昨年8月から1年間の時間を費やした、という。ということはそこから最終仕上げやチェックを経て公開に到ったわけで、これじゃ世界陸上の開会には間に合わないwwww
ここ数年、コンスタントに年間100本近く映画館で映画を観る私だが、日本製アニメに関しては昨年は8本、今年はすでに7本観ている。それなりに目は肥えているつもりだ。
もはや「アニメ」と表現したときのかつてのオタク感やローティーン向けイメージとはまったく程遠い。
アクション系、例えば『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『チェンソーマン』『怪獣8号』などを別にして、昨年から数えても『デデデデ』『きみの色』『モノノ怪』『ルックバック』『ヴァージンパンク』『Chao』と、色彩や躍動感で舌を巻くような作品が続々と生み出されている。
そんな世界No.1の実力を持つ日本の制作陣が「陸上競技」を描くと、こんなにもとんでもない作品になる。
あともう2~3回は楽勝でリピートで観に行こうと思う。
【9/24追記】
矢も盾もたまらず、次の日に2回目を観に行ってしまった。あの「雨のインターハイの3分間」を観るためだ。
しかしそれに劣らず、鰯弐陸として800m男女混合リレーに出場するために練習に4人が心血を注ぐシーン、本番のレースシーンも改めて見応えがあることに感服する。
この作品、もっともっとたくさんの人に届いて欲しい。
追記2
ところでこの作品は、製品ブランド名や地名、競技場名がリアルに登場していて、そのあたりもリアリティを補強していると思う。
競技場の用具類は、圧倒的にNISHI(笑)。
選手ごとにウェアやシューズのブランドが違うのもおもしろい。トガシはナイキ、小宮はアディダス、仁神はミズノ、海棠はプーマ、そして財津はアンダーアーマーである。
なぜかアシックスがないw エンドロールの協力企業一覧でもロゴが見当たらなかったので、何らかの条件が合わなかったのか。
もっと人間ドラマが見たい!
予想できない映画体験でした
・「音楽」の岩井澤健治監督作品
・100m走を題材にしている
という2点以外は、「なんか前情報入れない方が、色々驚きに出会えそう」と思い、事前情報も入れず、予告編も見ずに映画館へ。
大正解!!
上映時間が106分とは思えない内容とボリューム。その構成力の見事さ。
スポーツ競技者の、情熱と冷静を並列に描きつつ、それが混在する苦悩と絶望と歓喜。
表現力の幅。レースシーン等の迫力。驚異的な演出力。
興奮と驚き。感情が揺さぶられました。
新鮮で最高な気分です。
こんな色々な気持ちで満ち足りた映画体験はなかなか無かったです。
ああ!もっと上手く伝える語彙が欲しい!
あと前々から松坂桃李は天才だと思ってましたが、天才じゃない。怪物だった。
原作読んでない人は、ぜひ予告とか見ずに映画館へ行ってください!
傑作
走りたくなる映画
走っている時の映像と音(足音、息づかい)に疾走感があり、見ているだけで気持ちいいです。
物語としては漫画を一つの映画にまとめていることもあり若干駆け足な感じはしましたが、それでもうまくまとめられているほうだと思います。
原作を読んでおらず100m走だけでどう話を展開していくのだろうと思っていましたが、「100mを誰よりも速く走れば全部解決する」というコンセプトも納得感があり面白いですし、陸上だけでなく人生に焦点を当てた話なので、陸上を全然知らない自分でも楽しめました。
一つだけマイナス点を言うなら、若干独特な台詞回し(選手たちの名言めいた発言)が多く、しゃらくさいなと思って感情移入できなかった部分はありました。「チ。」だと時代が違うので哲学的な台詞も抵抗感なく好きだったのですが、陸上選手だと若干うっとうしい感じが…
とはいえ、走っている時の映像・音、劇中曲や最後の髭男の曲も良く、映画として完成度が高かったです。見終わった後は爽快な気分になり、走りたくなりました。
Glorious Moment!
『チ。』のアニメが素晴らしかったので、予告、キャラデ、キャストだけの情報で鑑賞。
まず、口の動きの緻に細かさ、正確さ驚く。
プレスコだと思うが、そうでないなら種﨑敦美と悠木碧の2人は特にリップシンクが上手すぎる。
これに限らず、地味なところで、目新しくはないが抜群の精度の演出が目を惹いた。
オープニングクレジットの出し方なんて、ありきたりなのに目茶苦茶カッコいい。
高校生編以降はロトスコープが基調となり、作画ならではの表情と3DCG並の滑らかさが共存。
音の使い方も効果的で、特にレースシーンのドラムが否応なしにテンションを上げる。
キャラからカメラを外す演出も音が良くてこそ。
しかし、他はまだしも終盤の「誰?」ってくらい崩したトガシの慟哭はやり過ぎで冷める。
強い演出に頼らず職人芸に徹してほしかった。
話はトガシが挫折して復活してばかりなのが難点。
W主人公と思ってた小宮は意外と存在感が薄く、中学で部活に入らなかったり性格が変わった理由は謎。
社会人編からは一気にキャラも増えるが、ほとんど活かされないまま打ち切りのように終わる。
絶対コーチだと思ってたノヴァk…海棠さんが魅力的だったのに勿体ないし、尾道は一体何だったんだ。
名言も多いが、漫画で数話おきに出てくるならまだしも映画で連続して聞かされるとややもたれる。
スポーツもので哲学に寄りすぎ。
原作の問題だろうが、レースの決着を見せなさ過ぎなのも、個人的には合わない。
声優は松坂桃李の語尾のニュアンス(ごく一部)とアナウンサー以外は文句ナシ。
キャストだけ憶えてれば喋る前から誰か分かるくらいにハマってた。(特に内山昂輝)
総じて楽しめたのは間違いないが、ちょっと惜しい。
5回目鑑賞!観れば観るほど胸あつ!『音』『角度』に注目!俺は俺を認める!生きてて良かったなー
ここ最近だと国宝が素晴らしかったですが、この作品が上回りました!キャラ達をもっと知りたくて、すぐに新装版も買いました!必ず映画館で観るべき作品です!とにかく『音』が素晴らしい!走る時の足音、息使い、雨音、挿入音楽、主題歌、何もかも胸を熱くさせてくれます!
トガシの小学生とは思えない、背筋がピンと伸びた綺麗でとてつもなく早い走り、小宮の自信の無さの原因を深掘りしすぎない所、仁神の引きこもり後のスウェットで走る後ろ姿、財津の出番は少なめなのに圧倒的なカリスマ感、海堂のジャージ立ち姿&喫茶店で出会いたい感、たまりません!チ。同様余韻が抜けません!
アニメあるあるの俳優を声優に起用する事が少し心配でしたが、違和感全くなし!ヒゲダンの主題歌も最高に合っています!耳に残るメロディ、何より詩が刺さりまくります!
あと、1度目の鑑賞後、原作を読んだ私ですが、2回目の鑑賞で気づいた事があります!
浅草ちゃんがグラウンドでトガシを勧誘するシーンでアメフト部のあの人、陸上部のあの人が横切っていたんです!映画版では登場できなかった分的な感じ?ここも胸あつです!
チェンソーマンと公開日が一緒で影が薄い印象ですが、人生で一度は必ず(できれば劇場で)観るべき作品だと胸を張って言えます!
私の所では上映館が少なく、なかなか行けませんが、近ければ(もっと多ければ)色々な劇場、なるべく大きい所で観たかったです( ; ; )
ゼッタイに世陸の後。
スポーツアニメ(そんなジャンルがあるか知らんけど)の進化が凄まじい。スラダンを彷彿とさせる、その表現で100mの10秒を感じさせながら描く。音楽の岩井澤監督と知り納得(音楽も良かった!)。アスリートを描くにあたりポイントは3つあると思っていて、1つ目は悲哀や名言、スランプやその復活などの心の機微。そして圧倒的な臨場感。小説なら言葉で紡ぐことでスピード感や葛藤などを頭の中で映像化できるが、そもそも映画なので圧倒さは、とても大事なファクター。最後は冷酷で残酷な世界感。いずれもちょーどよく描かれている。(前述の「音楽」では、プレイヤーの高揚感や没入感、放たれるアドレナリン。そして何よりも音の視覚化)
競技の臨場感や応援のテンションがシンクロするのは、個人的に世陸観戦後の余韻が残っているからヤバさが2倍。
更に、世陸を放映し続けたTBSが出資者として名を連ねているのが憎い。
スポーツブランドやスタジアムなど名称や商標使用協力も惜しみなくリアルを担保。
講談社の名前が見つからないのは大人の理由か?
この感動を映画館で味わってほしい
それぞれのキャラクターがしっかりしている
出てくるキャラクター全員個性的なんだけど全員憎めない、全員好きになる
ちょっと意地悪なやつが出てきて、そいつに勝ってハッピーエンドというベタな展開にはしていない
どの試合も誰が勝つか分からない
全員好きだから、全員に勝ってほしいでも1位はたった1人だけ
試合中の緊張感と試合が終わった後に押し寄せる怒涛の感情の嵐は本作の魅力の一つだと思います
さらに今作は一つ一つのセリフに重みがある
色々なセリフがこちらに向けられているようなセリフが多く観ている最中に凄く感情が動くし、
個性的なキャラクター達からどんな言い方でどんな言葉が出てくるのかと画面に食い入るように観てしまう
映画でもじっくり味わえたけど漫画だとセリフをもっとじっくりと味わって読めるのかな?
漫画の方も読んでみたい
中盤でトガシと小宮が、雨の中で競走する前のシーンでは長回しみたいに、会場と選手達をたっぷりと撮り、長いタメをつくっている
そこが再会した2人の戦いへの緊張感をさらに引き立てさせて大好きな演出でした
劇中で掛かる音楽も超カッコいいのですが、試合が始まる直前に、音楽が止まります
そこはスタート前の静寂さがこちらにも伝わってきて緊張感がより増す演出でした
走るシーンの迫力も圧巻
アニメでしか出来ない映像表現が多く組み込まれていてアニメでやる事の意義をすごく感じた
観る前にポスターや、予告を観た時、ラストでトガシと小宮どっちが勝つんだろうという気持ちで観に行ったのですが、
まんまと裏切られました
そんな単純な話じゃなかった
陸上に留まらない、陸上以外のことにも通ずる、テーマ性を持った多くの人に心に響く作品でした
エンドロールでは語彙力がなくなってただただ感動して涙を流してしまいます
落ち着いてきて本編を思い返して、また感動します
素晴らしい映画体験でした
陸上競技者の観点から素直に面白かった。
陸上競技歴50年(種目は中長距離ですが)の私からみても面白い内容でした。
ライバルとなる登場人物も多く出てきて小学生から社会人になるまでの物語となっており挫折あり、故障ありの内容で映画の中に引き込まれました。
最後は何となく予想していた通りだったのですが、勝敗はどちらが勝ってもハッピーエンドとなったと思います。
早く走ってみたい
今ならこの感動のために地獄へ行ける。
短距離走選手の話。たった10秒足らずの一瞬に本気になる人たちの話。
「感動」という言葉にはいろいろな表現がある。「心が動く」「心揺らす」「胸が震える」……その中でも「胸を打つ」とはこういうことかと思った。
作中、何度も人の足音が聞こえてくる。初めはただの足音。人の走る音。それが物語が進むにつれ、音の重さが増してくる、胸にずしりと響いてくる。多分音自体は変わってない。いや変わってるかも。わからないけれど、自分の受け止め方は変わっている。
「人生で映画館で見て感動した映画は?」と聞かれたらきっと一生この作品が候補にあがる。
興奮
Q.100mが一番速ければ、大抵の事は解決する?
A.するか!バァァァァァァカ!
世界の頂点に立てて初めてそうなるかどうかじゃね?
今んところ…アジア人選手がその頂きへ踏み込めるにはまだ【早い】らしい。
日本最速記録が9.95
オリンピックや世陸の決勝なら…良くて5位くらい?
世界記録が2009年の世陸でウサイン・ボルト選手が出した9.58。
人類発祥の地、アフリカと云うルーツは、肉体において最強なんだね。
100mを僅か10秒足らずで駆ける…一番単純明快なスポーツだから、
人は、陸上の花形競技として盛り上がり熱狂し、競技に懸ける者は、人生を賭けるのか。
登場キャラ全員、哲学者だったぞ。
タイトルなし(ネタバレ)
100メートル走にかけた選手の物語。哲学的であり情熱的でもあった。
個人的には昔のマンガ「スプリンター」(小山ゆう)とかが印象に残っているし、またアニメ「ファーストスラムダンク」のように力強い動きとかも感じられなかった。選手に焦点を当てて、そこを描いてきているので、「ルックバック」ほどには行かないだろうけれど、短時間にまとめて見せてくれたほうがよかったかもと思った。
実写よりも現実らしい描写と感情に心揺さぶられました
原作未読で鑑賞しました。
個人的に今年No.1です。
小学生の頃の足の速さの憧れに、ずっと向き合ってきた二人の物語。
余分な要素は一切なく、節目節目が繊細かつ儚く描かれているため、ダレることなく最後まで楽しめました。
音響と映像の緩急がしっかりと感情を補完していて、
10秒で残酷な事実を突きつける100m走というものが、全く陸上経験のない自分にも少し分かる内容になっていました。
最後に全力で走ったのはいつだったか、そんなことまで感じさせてくれる素晴らしい作品でした。
全305件中、161~180件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。