ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
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100メートル走と、何年にもわたる2人の青年だけに絞ったストイックな作りが素晴らしい!
「たいていのことは100メートルを誰よりも早く走れば解決する。」
ただ、ひたすら100メートルを走る、誰よりも早く走ることだけを何年間にもわたって描く。
恋愛や家族、チームや学校のしがらみなど「余計な話」を極力排した、ストイックな作りが素晴らしい。
100メートル走の一瞬の緊張感、ロトスコープに限らず、様々なアニメの表現力も豊か。
予告編でも目立っていた、ひざを折り慟哭する姿に感動した。
またその役に、松坂桃李のイメージがぴったりだった。
原作を見てみたいなと思わされました
100m走って映画化できるんだ
何のために走るのか
たしかに、何のために100mを走るのかっていうのは言われてみないと分からない。
それに人生をかける人達の狂気はすごい。
100mを駆け抜けた先にある幸福感のある表情はラストとしてとても良かった。
走る前の印象的な音楽と構図が良い。あんだけ溜めて、100mはたった10秒の世界。
特に好きなのは高校時代の4×200リレー。練習シーンから王道の展開でとても良かった。
心理描写をかなりカットしてポンポン進んでいた印象がある。3時間の映画にしてもいいからもっと登場人物の心情が語られても良い。
何のために走るのか、それは人それぞれ。それぞれの正解がある。たぶんどんな仕事でもそう。自分が納得できる正解をもっていれば、それで良い。
そして最後に全部持っていった感のあるヒゲダン。
やっぱりヒゲダンはすごい。
好きじゃないところはなかったです。
いいねー!
走る哲学者たち
小学生の時から禅問答を繰り返す主人公たち。
「たいていの問題は100mだけ誰よりも速ければ全部解決する」
このシンプルな真理を友人に語れる小学生はすごいです。
作画が斬新です。
ワンカットの長尺で描く雨中のレース。
空を見せて足音だけでスタートからゴールを描くレース。
世界をリードしてきた日本のアニメが立ち止まることなく、更なる進化を見せていることはうれしい限りです。
クライマックスのレースで医者に止められながらも出場を強行する主人公と東京世界陸上に出場した北口選手を重ねてしまいました。北口選手もケガ明けで本当は出場できるような状態ではなかったでしょうに、スポンサーを多く抱えてしまうと欠場も簡単にできなくなってしまうんですね。
トップアスリートに憧れていましたが、こういうのを見てしまうと自分はスポーツ選手になれなくてよかったなと思います。
この濃密なストーリーにハマってしまったので、原作も読み始めました。
楽しめました
"走る"ことを通して形成される彼らの価値観
もうこれで終わってもいい…
チ。や、ようこそFACTへの魚豊。これがデビュー作なのかというくらいおもしろい、ひゃくえむを映画化。バクマンを観てマンガ家になったというから、若い人ですね。
原作を改変して106分に仕立てあげたのはいい判断。アスリートの活躍できる時間は短い。特にメジャーではない競技はより華々しさは一瞬だ。それを100m走を題材にすることによって、その儚さがより際立つ。10秒足らずで世界が決定づけられるから。
音楽演出もとても良く、走っている時、観てるこちらちも疾走感が駆け抜けてゆく。アニメでは珍しくスポーツメーカーの協賛もあるところもプロデューサーががんばったのかな
ラストのキレは最高でした。松坂桃李くん、めちゃうまいな
最近映画にハマっています。アニメは見ないのですが、陸上競技や箱根...
最近映画にハマっています。アニメは見ないのですが、陸上競技や箱根駅伝が好きなので、9月東京開催の世界陸上をきっかけにこの映画を観たいと思いました。事前のレビューでただのスポーツ漫画ではなく、人生を考えさせたり、登場人物が発する言葉の重みがなかなか感慨深いと書いてあったので、早速見に行きました。日曜日の昼で若い人で満席でした。陸上好きには必見の映画でした。登場人物が、現在頑張っている実在の100メートルの数名の選手と重なってしまいました。人生は一筋縄ではいかないとつくづく思いました。
エンディングで流れる髭男の「らしさ」の歌詞がストーリーと重なり、余韻をさらに高めてくれました。走るのは10秒ですが、人生の長さに匹敵する長さでした。
94点/☆4.4
『チ。―地球の運動について―』で鮮烈な印象を残した魚豊の連載デビュー作『ひゃくえむ。』がアニメ映画化。
あまりに評判が良く、終了前に観なければと衝動に駆られた。
陸上競技の王者・100メートル走に全てを懸ける若者たちの狂気と情熱が、スクリーンで炸裂する。この映画は、たった10秒のレースに人生の喜び、苦しみ、希望を詰め込んだ、魂を揺さぶるスポーツドラマだ。観終わった後、思わずトラックを走り出したくなるような高揚感に襲われた。
物語の中心は、天才ランナーのトガシと、過酷な現実から逃れるように走る転校生の小宮。
生まれつき足が速く、友達も人気も当たり前に手に入れてきたトガシは、小宮に走る技術を教え、放課後のグラウンドで汗と笑顔を分かち合う。
ライバルであり、親友でもある二人の絆は長い年月を掛け描かれる。その姿は観る者の胸を熱くする。
この映画の最大の衝撃は、映像の革命的な美しさ。ロトスコープ技術と、AIの魔法すら感じさせるアニメーションは、まるで生きているかのよう。
光がきらめき、風が髪を揺らし、空気が選手の息づかいとともに震える。すべてのカットがヌルヌルと動き「これ実写じゃん!」と叫びたくなるほど。
従来のアニメの「見せ場だけ動く」枠を超え、全編が息をのむような躍動感で溢れている。
それでいて、アニメならではの誇張や感情の爆発が、100m走の「一瞬の全て」を鮮烈に描き出す。特にラストレースは圧巻。
選手の筋肉の動き、汗の一滴、観客の歓声まで、まるで自分がトラックに立っているかのような臨場感に全身が震えた。
物語は、トガシと小宮の成長と挫折を軸に、群像劇の要素を織り交ぜる。原作の長編を2時間に凝縮したため、脇役の掘り下げがやや駆け足に感じる瞬間はある。
だが、そんな小さな欠点を吹き飛ばすのが、二人の魂のぶつかり合い。出会い、別れ、再会のたびに、彼らの顔つきや信念が研ぎ澄まされていく様子に心を奪われる。100mという「たった10秒」に、人生の喜び、恐怖、闘争心を詰め込む二人の情熱は、観る者の心を鷲づかみにする。
94点/☆4.4
特に忘れられないのは、ラストの日本選手権。勝ち続けるプレッシャーに押しつぶされ、挫折を味わったトガシが、走る喜びを思い出し、全盛期の輝きを取り戻す瞬間。
怪我の恐怖に縛られ、限界を超えることに怯えていた小宮が成長し、走る意味を見出し、無我の境地でゴールを目指す姿。
二人が全てを懸けてトラックを駆け抜けるシーンは、まるで時間が止まったかのよう。勝敗を超え、自分を超えた瞬間、彼らの目には新たな世界が広がる。
この高揚感は、観客席にいる我々も一緒に走っている錯覚を覚えるほど。エンドロールが流れる中、顔が熱くなり頬が濡れる。
確かに、100m走でなくとも描けるテーマかもしれない。だが、この作品は「100m」だからこその疾走感と緊張感を見事に捉えている。
たった10秒に人生を賭けるシンプルさが、情熱や人間の脆さをこれほど鮮やかに浮き彫りにする。
苦難を乗り越え、等身大の自分を受け入れ、前に突き進む二人の姿は、私たちの心を奮い立たせる。走ることは喜びであり、苦しみであり、生きることそのもの。
アニメの新境地を切り開く映像美と、魂を燃やす物語で、心を完全に奪った。
二人の走りを見たら、きっとあなたも人生を駆け抜けたくなる!
原作見てると…
原作を知っているからつまらない
原作を知っている人は楽しめるのか疑問
重要な部分を飛ばすし書き換えるし
そのくせオリジナルキャラ出す時間はある
短い時間にまとめるのは大変でしょうがこのまとめ方は如何なものか?
多分原作を読んでない人は楽しめるだろうけど、読んでない人はそんなに長くないので是非原作を読んで欲しい
狂気が足りない、(微ネタバレ)
まず! ストーリーですよね! 私は原作を2巻までしか読んでいません。(あ、新装版じゃ ないですよ笑) 陸上漫画か、珍しいなと思い、映画になる1年ほど前から知っていました。
個人的には、割といい端折り方だったかなと思います!
私的には、ぶちかませ小宮くんの所をもっと尺使ってもいいんじゃないかなと感じました。
そして、一番納得できないのが、狂気と熱です。
原作では、陸上の100mという距離に全てを詰め込む、という競技に対する狂気が盛っていました。
もう少し、小宮くんの陸上への狂気と熱、その亡霊をみているトガシ。
というのを書いてもよかったんじゃないかな、と思いました。
ただ、監督さんがしたかったのは、生きるそのものに対しての哲学的なことだと思ったので、それなら、狂気を丸ごと抜く。という脚本にしてくれてよかったです。
作画は半端なかったです!リアルすぎました。
雨の競技場の格好良さはここでしか味わえないと感じました。
実際の人の動きをトレースのような感じで作っているのをYouTubeで見たので、それが『ひゃくえむ。』に合っていて、とても良かったです。
まとめると、すごくいい映画でした!私自身、陸上をやっていることもあって、細かな音が何をしているか分かってとても楽しかったです。
狂気が足りないなどと書きましたがこれでかなり満足です!
原作すきだと少し物足りないっていうのは我儘言ってる自覚あるけど
原作読んだ時はコマ割りの迫力とか
変わったキャラの強烈な印象と信念や考え方を表現するセリフの面白さ(魚豊先生の作品のここがすき!)に
すごく引き込まれたけど
ストーリーを知ってるからか、映像表現になったからか、
なんだか引いた目線で冷静に鑑賞する感じになった
主人公たちは当然競技に全てをかけてるんだけど
指導者とか裏方とかもそれぞれ奥が深い仕事だし
現役選手でいる事が全てではないけどなぁとか思ってしまい
すごく入り込んで観る感じにはならなかった
私が現実主義すぎるのかも笑
でも何かに夢中になる事って、
100mが全てだというある意味思い込みや視野が狭くなる事と同義で
それが平常な状態では辿り着けない境地に行ける条件だと改めて思った
思い込みや視野狭窄って普通はあんまり良い意味で使われなかったりするけど
人生って時にはそういう状態になってこそ豊かになると思う
でも社会で生きてるとそうなってばかりもいられないし
小学生だろうと社会人だろうとそことの折り合いが大変なのが描写されてて、共感できた
とにかく人生は一度でも何かに夢中になったもん勝ち!
でもこのテーマは結局映画でも漫画でも誰かの人生を語るなら
必ず表現する事だと思うからあんま新鮮味はなかったかな
あと映画になるとリアリティが増す分
全員隠キャすぎるのが不自然に見えたかも
ただ映像の演出とかセリフのない競技中の描写さいこう
とにかくサントラと音が良い
地面を蹴る音が映画館だと大迫力!!!
感情的には凄まじいけどそれをエモすぎない描写に抑えてるのが原作もアニメもすきな所
まとめると
内容が好きな作品なだけに少し物足りなさを感じる映画だったけど、それは個人的なワガママ笑
好きな所や心に残る場面も沢山あって
表現の工夫が詰まっていてとても良い映画だった!
ロトスコープの採用は大成功
アニメは、実際の動きを省略化したものといえるが、逆に実際の動きをトレースすることでアニメ本来の動きとの異化に成功する事例がある。いわゆるロトスコープの採用だ。
戦前の「白雪姫」(37年)でも使われたこの手法が、本作でも効果的につかわれている。
どの場面かは特定はできないが、スタート位置に向かう選手たちの動き、ゴール直後の動きなどは、実際の選手の様子を撮影してからロトスコープ化しているようだ。
一方でレース中の選手の視線などはアニメ従来の手法で描かれている。
映画は、全体的に禅問答のような哲学が散りばめられ、そういった映画を趣味とする向きや、本流のアニメにやや食傷気味には新鮮に感じられると思う。
約10秒で決する、呆気ないほどの切ない競技である100メートル走。その競技に没入し継続していく者たちとは如何なる者なのか。
スポーツが得意ではなかった私にはついぞ関わることのなかった世界ではあったが、その一端を本作で感じ取れたかもしれない。
それにしても、トカジはなぜ「トカジ」とカナ表記なのだろ? 小宮などは漢字表記なのに。
参考までに、宇多丸さんの「アフター6ジャンクション2」の9/25放送にて取り上げられています。ポッドキャスト配信やYouTube配信などがあります。
陸上競技やスポーツに関わりない人にこそ見てほしい作品
「チ。」の原作者さんのコミックの映画化ということで、良い作品に違いないはずと鑑賞を決めていました。
「ひゃくえむ。」というタイトルのとおり、100メートル走をテーマとしていますが、陸上競技(短距離走)に関わりがなければ理解できない内容ではありません。スポーツ選手向けの作品という範囲も超え、人生というレースの選手ともいうべき私たち誰にもに向けた作品であると思いました。
これからの人生(先の将来ではなく、映画館から出た直後からの人生)で、自分の力でできることやできないこと、考えておかなければならないことや考えなくても良いこと、そのようなことを改めて認識・考えさせられました。人生において大事なメッセージが詰まっています。
この作品を見た人ひとりひとりで違ってくるとは思いますが、必ず何か響くものを受け取ることができるはずです。1人でも多くの人に見てもらいたいですし、見ないでしまうのは何ともともったいなさすぎる作品です。
(2025年10月14日追記)
原作コミックを読み終えました。すさまじいと思って鑑賞した映画版ですが、原作コミックに比べればこれでもまだマイルドに抑えられていたのだとわかり、再び驚く次第でした。
全305件中、101~120件目を表示
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