劇場公開日 2025年9月19日

「もはや『哲学に触れる』という新しい体験かも知れない」ひゃくえむ。 かこすけさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 もはや『哲学に触れる』という新しい体験かも知れない

2025年9月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

こちらにレビューを書いておられる方の中にも、少なからずいらっしゃるだろうと思いますが、私も『チ。』に感銘を受けた1人です。『ひゃくえむ』は原作未読で映画を鑑賞。他の方も書いておられますが、原作未読でも、あるいはだからこそ?十分楽しめました。
魚豊さんの作品の魅力はストーリーの展開やテーマの設定など、色々とあるとは思いますが、なんと言っても随所に散りばめられた哲学的な言葉の数々でしょう。魚豊さんの作品が好きかどうかは、この哲学的な言葉に対して『普通こんな台詞言わんな』と思っても(それは一種のファンタジーだと思う)、それを越えて好きかどうか、それらの言葉に違和感よりも、ハッとさせられたり、じわっと沁みたりする方が強くて、その感覚が好きかどうか、というのが大きい気がします。もちろん、良さはそれだけではなく、それらの言葉が活きてくるだけの物語やキャラクター作りがあってこそとは思います。
個人的にはこれはもう新しいジャンルじゃないかと思うところです。今後、哲学的な台詞を多用する作品を作れば『魚豊的』『魚豊っぽい』なんて言われるのではないでしょうか?ある意味それは魚豊さんの課題になるような気もしますが。私は漫画というものに詳しいわけではないので、詳しい方で、魚豊さんに多大な影響を与えた○○がわかるといった方もあるかも知れませんが、これほどまでに『哲学的な漫画作品』として広く知られた方はないぐらいではないかと思います。
私からすれば、魚豊さん、すごいなぁ。その若さで1つのジャンルを作っちゃうなんて!という感嘆に尽きます。魚豊さんの作品は、普段私たちが心の中にモヤッと持っているかも知れない『哲学』に触れる体験のようなものと思います。そして、『哲学』が心に響く方は結構多いのですね。
ここは、映画のレビューですので、映画はというと、その立ち上げの根幹に魚豊さんの作品への感動が感じられる、その世界観をどう伝えるか、映像化するかということへの情熱を感じる。だから大変キラキラと心に届きました。
原作これから読もうと思います。原作の入口になるという意味でも、よいのではないでしょうか?
映像は雨のレースシーンは圧巻です。

かこすけ
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