「撮影したものを全て使う必要ないこと分かってる?」宝島 たあちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
撮影したものを全て使う必要ないこと分かってる?
尺が長けりゃ大作・力作というものではないだろう。占領下で犯されても殺されても文句が言えないヤンキーへの怒りだけではなく、戦中から見捨てられ続け敗戦処理交渉であっさりアメリカに売り渡された沖縄(うちなんちゅ)の日本本土(やまとぅんちゅ)に対する怒りがメインテーマである。「返還されても何も変わらない」と訴えることで単なる米統治下の歴史回顧に留めず今日的意味を持たせている志の高さを大いに評価する一方で191分はあまりにも長すぎる。総花的で貧乏性、欲張りすぎて意地汚いとさえ言える構成の失敗。何故にそうそうたる制作会社のプロデューサー諸氏は「もっと短くしろ」と大友啓史監督を説得できなかったのか?良いシーンが一杯あるだけにせっかくの傑作が台無しとなり勿体ない。特に米諜報機関やその取り巻きとのあれこれは中途半端で邪魔に思え、バッサリいっても良いしクライマックスの基地滑走路での攻防や圧巻のコザ暴動でさえ冗長と感じる。さらには年代が頻繁に行きつ戻りつする分かりにくさ、グスク(妻夫木聡)ヘの拷問の手ぬるさ、そしてなによりレイ(窪田正孝)とヤマコ(広瀬すず)の絡みの淡白さ、絶対にもっといかなきゃダメな超重要シーンなのに致命的。もし万一広瀬すずの事務所NGが原因なら悲しい。
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