劇場公開日 2025年9月19日

「沈黙と熱が語る、沖縄と日本の“影”」宝島 larkmildさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 沈黙と熱が語る、沖縄と日本の“影”

2025年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

癒される

上映時間191分――この数字がまず私の心をざわつかせる。3時間11分、すなわち「3.11」。偶然とは思えないこの数字に、大友啓史監督の故郷・岩手、そして東日本大震災への鎮魂と祈りが込められているように感じた瞬間、背筋が震えた。
主人公グスクは、冒頭で強者で豊かさを強調する米兵に対して特殊警棒を使う以外、一切手を出さない。私が6回ほど「ここは殴ってもいいのでは」と思う場面でも、彼は沈黙を貫く。その沈黙は、沖縄の歴史そのものの象徴であり、語られずにきた痛みの記憶を逆に“静か”に浮かび上がらせた。
物語は、瀬長亀次郎や屋良朝苗といった実在の人物を登場させることで、フィクションにリアリティを与え、沖縄の政治的・文化的背景を濃密に描き出す。三人の若者たちが織りなす物語には、沖縄の音楽、踊り、そしておじいおばあが息づいており、私に重層的に沈黙の歴史を語りかけてくる。
全編を通して感じるのは「熱」だ。それは、沖縄の悲劇を再認識させる熱であり、日本がいまだに抱え続ける「15年戦争」の影を照らし出す熱でもある。
起承転結転結転結――とでも言いたくなるような難しい構成に対し、役者・スタッフの熱は、恐らく多くの人が言う一瞬たりとも緩ませないものに繋がっている。
私達ヤマトンチュ―も起きる時ではないだろうか。

larkmild
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。