大学 At Berkeley

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大学 At Berkeley

解説

1967年に第1作を発表して以降、半世紀以上にわたってアメリカ社会を見つめ続けてきたドキュメンタリー監督フレデリック・ワイズマンが、2013年に発表した長編ドキュメンタリー。オバマ政権からトランプ政権へという大きな変化を経験した2010年代のアメリカ社会を記録し、民主主義の価値を問うた作品群のひとつ。

カリフォルニア大学バークレー校。そこはアメリカで最も古く権威のある総合大学で、世界有数の研究教育機関でもあり、学生運動の拠点にもなったリベラルな校風でも知られる。そんな同大学の授業や研究活動をはじめ、学費に対するデモ、運営のための無数の会議や行政との折衝など、さまざまな場面をとらえ、多視点で「大学」を記録した。

日本では2024年の特集上映「フレデリック・ワイズマン傑作選<変容するアメリカ>」で上映。

2013年製作/244分/アメリカ
原題または英題:At Berkeley

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映画レビュー

言葉で思想を鍛える

2024年11月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 50人以上のノーベル賞受賞者を輩出し、世界の最先端を走るカリフォルニア州立大学バークレー校に集うあらゆる人を見て遣ろうとする4時間の大作ドキュメンタリーです。  まず、様々な人々がトコトン議論するシーンが幾つも映し出されます。講義における教授と学生、学生同士の議論、学校経営を巡る議論、学生運動の議論、そのどれもが刺激的で大変面白いのです。言葉で自分の思想を鍛えようとする姿にも映ります。これって日本の教育現場ではあまり見られないのではないでしょうか。  そして、学生の多くが、この学校で学べることを恵まれていると述べている事が印象に残りました。本作鑑賞後に調べてみると、バークレーの授業料は年間400万円余りです。その他、生活費やあれこれを考えれば、1年で500万円は必要でしょう。日本で暮らす我々にはとんでもない金額で、州立大学であるにもかかわらず一部のお金持ちしか通えそうにありません。  だから、多くの学生は奨学金は勿論、学生ローンの助けを借りているようです。卒業後にそれを返済せねばならないのは勿論なのですが、教授は、「バークレーを出ればいい職に就けるのだから(つまり稼げる)、問題ない」と語ります。それに対し学生の一人が、「借金を抱えて勉強することが、職業選択の自由を狭める」と訴えます。つまり、バークレーで勉強することは「稼げる職に就く」ことが前提になるのです。「学識を深めてコツコツと哲学の勉強をしていきたい」と言う事は難しくなってしまいます。なるほどなぁ。  日本の国公立大学の授業料も年々高騰を続けています。小学校から大学まで、教育は国の基本だよ。愚かな妄言を信じて誤った投票をしない為にも、教育を通じて考える力を鍛えねばならないのです。

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