「美男美女を眺める映画としてはOKだけど」お嬢と番犬くん Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
美男美女を眺める映画としてはOKだけど
2025.3.14 イオンシネマ京都桂川
2025年の日本映画(106分、G)
原作ははつはるの同名漫画(講談社)
ヤクザの孫娘と構成員の関係を描いたラブコメ映画
監督は小林啓一
脚本は政池洋佑
物語の舞台は、関東圏のとある高校
ヤクザの一家に育った一咲(福本莉子)は、高校に入ったら「普通の青春」を送りたいと考えていた
これまでは家のことを知っている人は怖がって近寄らなかったため、今度は通学に1時間ほどかかる遠い学校に進学することになった
一咲には世話役の若頭・啓弥(ジェシー)がいて、過保護すぎるあまりにとんでもない行動に出てしまう
それは、26歳でありながら高校1年生として裏口入学をすると言うもので、人見知りの一咲とは違って、啓弥はあっさりとクラスに溶け込んでいった
物語は、26歳と16歳という歳の差もさることながら、ヤクザの構成員と組長の孫娘という関係性があった
通常なら許されざる恋だとは思うものの、この二人の関係に組長は一切関与しないし、隠しているのかもしれないがバレバレのように思う
恋愛の障壁らしきものがあっても、王道的なところはスルーされていて、バレたら困る恋愛という訳でもない
一咲からすれば、啓弥は自分のことをどう思っているのかを考えているところがあり、啓弥も一咲が自分をどのように捉えているのかを考えていた
ある意味、相思相愛が捻じれているのだが、常にラブモード全開で精神年齢が低めの二人なので、見ていて疲れる展開になっていた
それは、一咲が16歳には見えないことで、それゆえに子ども扱いしているシーンが不思議な感覚になってしまう
漫画の絵だと問題ないのかもしれないが、成人同士が動物園で脇抱え抱っことかしていたらさすがにドン引き案件だと思う
このあたりの行動とビジュアルの乖離がものすごいので、一咲は16歳なんだと念仏を唱えないとおかしくなってしまうのである
映画では、定番のロミオ&ジュリエットを文化祭で披露するという流れになっていて、そこではお互いの本音をぶつけ合っているように思う
二人の世界に入っているものの、壇上でキスをしないのはそういうシナリオなのか、「おあずけ」だったのかはわからない
番犬がSっぽく描かれていて、一咲はMだと思うのだが、16歳と26歳の子ども向け漫画にここまでの要素を取り込むのは無理があるので、その辺りも攻めきれない部分なのかな、と感じた
いずれにせよ、主演のビジュを拝む作品なので、それ以上のことを考えても無駄のように思う
原作ありきなので大学生には変えられないだろうが、今の若者はもっと進んでいるイメージがあるので、かなり薄味な展開になっていると思った
設定だけ見るとアダルティな部分があるが、同じ内容でVシネマで作ったら、もっとヤバいものができるのかもしれません