「原作をより叙情的に描いた作品」春の香り ゆいなさんの映画レビュー(感想・評価)
原作をより叙情的に描いた作品
映画「春の香り」を観賞しました。
佐藤新くんの出演が決定した時には原作を読み、映画の公開を心待ちにしていました。
主演の女優さんを初め、櫻井淳子さんも大好きだしわざわざ遠方まで見に行って良かったです。
原作では春香さんの闘病と家族の介護の様子を中心に手記のような形で描かれており、才能に溢れまだまだこれからという時に病気になったご本人の苦悩も伝わってきました。佐藤新くんは春香さんが賞をとった漫画の主人公ということで原作の中ではどのような話かということはわかりませんでした。
映画では春香さんの病気が進行していき生活が変わって行く様子、佐藤新くん演じる巧くんが現実に出会い心を許していく場面が春香さんの心情を通して叙情的に描かれていて、決してドキュメンタリーに仕上げた映画ではなく、漫画とフィクションが見事に交錯してまとめられていて作品としてかなり質の良いものでした。
途中お父さんが堰を切ったように泣き出すシーンから後は涙がとまらず、悲しい感情が何度も押し寄せました。
特にシュークリームや唐揚げを食べるシーンはどんな辛い時も美味しいものを一緒に食べると前向きになれたり乗り越えようとする活力が生まれるそんな印象的なシーンでした。その時に流れた音楽のミスマッチが妙で作品の質がグンと上がった
気がします。
佐藤新くんの原作にはない演技も見所のひとつで、求められる演技の再現性がすごく高い俳優さんだしほんとに表情が良くて、今回の恋愛物もうれしいですが、これからサスペンス、バディものいろんな役を器用に演じていくんだろうなと期待してます。
全国公開を1年くらいかけて少しづつしてそのうち地方でも満席になるんじゃないかと思います。
一緒に行った方たちは春の香りの音楽に出会えたことも良かったと言っていました。