「白い時代の台湾の黒い部分」流麻溝十五号 文字読みさんの映画レビュー(感想・評価)
白い時代の台湾の黒い部分
2022年。ゼロ・チョウ監督。朝鮮戦争終結時の台湾は「白色テロ」の真っ最中。思想犯として孤島の施設に連行された女性たちの生きざまを描く。学校新聞を書いていただけの純粋な高校生、個人の信念を貫く看護師、何としてでも生き残って妹に会いたいダンサー。思想的立場がまったく異なるなか、中国語、台湾語、日本語が入り交じる施設で国家への忠誠を求められていく。
共産主義の中国が一方にあり、自由主義のアメリカが他方にある。そうしたなかで、権威主義的な共産主義から逃れて、蒋介石の権威主義的な自由主義が行き過ぎてしまった時代。この歴史の暗部を女性の立場から描く。
こういう時代を経ているので、現代の台湾で民主主義的な制度が根付くのかもしれないなあと漠然と思う。「権威」への警戒心の強さ。
映画としては映像も展開もいまひとつキレがない。映画表現としてよりも主張伝達の手段としての色合いが濃い作品。
コメントする