劇場公開日 2024年7月26日

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「もっと知りたい台湾哀史」流麻溝十五号 くーにー62さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5もっと知りたい台湾哀史

2024年7月31日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

ほんの40数年前まで軍政であった台湾の、苛烈な思想統制の実態を史実に基づいて描いた本作。いやー、力作だね。
しかし右も左も弾圧の態様は同じだなーと思った。此方、中国国民党による反共思想改造のありようと、方や例えば『ラストエンペラー』に見る中国共産党による反動思想改造の収容所のありようがだ。大声で折伏を迫る役人のツルテカ顔が、むっちゃ憎たらしくて、これ同じ役者じゃないかと思ったよ。
清から割譲され、明治日本による統治に抗した霧社事件は『セデック・バレ』2部作に詳しいが、この蹂躙され続け独立を幾度も阻まれた台湾の歴史をもっと知りたいと思った。
一つの中国、それは巨大な権力の戯言。
プーチンの横暴も然り。
ローカルのローカルによるローカルのための平和な自治こそ尊ぶべき。政治腐敗を監視し抑止するシステムをいかに築くか。人類の叡智がそこに注がれることを願う。

(241104追記)その後、台湾近現代史に関する本をいろいろ読んで、台湾の複雑なアイデンティティーにも及ばずながら理解を深めた。文章多めのマンガ『台湾の少年』(岩波書店・全4巻)は、緑島収容所に収監された白色テロ被害者の刮目すべき生涯を描いて圧巻である。ぜひご一読を。

くーにー62