「行間に滲む笑いとペーソス、そして配役が魅力的な"我が街"映画」インスティゲイターズ 強盗ふたりとセラピスト 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)
行間に滲む笑いとペーソス、そして配役が魅力的な"我が街"映画
人生にドン詰まった元海兵隊員とアルコール依存症で前科のある男が悪徳市長の金庫から大金を盗み出す仕事を依頼される。端からうまく行きそうには思えない計画は、案の定、ことごとく思惑が外れまくり。でも、神様は運に見放された男たちに救いの手を差し伸べる。何しろ、2人にはやばい仕事を請け負うに足る切実な理由があるのだ。
舞台はマサチューセッツ州ボストン。この街近辺で生まれ育ったマット・デイモンとケイシー・アフレックが主役を演じ、同じく、ケイシーの兄、ベン・アフレックがプロデュースする"我が街"映画の中でも、展開の早さと行間に滲む笑いとペーソスが抜群の本作。今回の殊勲賞は脚本も担当するケイシーに贈呈したい。
それと配役。2人に仕事を依頼するコンビにマイケル・スタールバーグとアルフレッド・モリーナ、悪徳市長にロン・パールマン、市長が放つ刺客にビング・レイムス、そして、騒動に巻き込まれるセラピストにホン・チャウ。もしも製作が1年遅ければ、通好みの顔を揃えたキャスティング・ディレクターには2026年からアカデミー賞に新設させるキャスティング賞を授与したいくらいだ。
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