「監督と主演者の間で葛藤があったのではと想像。おそらくそのためややクセの強い作品になってます。」まる あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
監督と主演者の間で葛藤があったのではと想像。おそらくそのためややクセの強い作品になってます。
横浜ロケされている。我がホームシアター(勝手に思っている)横浜ジャック&ベティ周辺の黄金町や野毛もたっぷり登場。うれしかった。
映画の企画自体は現代アートを巡るドタバタといったもので、あらすじに書いてある通り。それ以上でもそれ以下でもない。結末もまあ予想通り。
サワダの描く「まる」は、映画の中では付加価値のついた芸術表現として「えんそう」と呼ばれているのだがこれは「円相」あるいは「円窓」か?
予定調和になりそうな作品の中で一つだけ異様なのが主役サワダを演じる堂本剛の存在である。
この人は旧ジャニーズ事務所系のタレントの中でも最もナルシズムが強い人だと私は思っている。それは外見だけではなく生き方そのものに及んでいる。彼のデビュー以降30年のキャリアは全て自分がカッコよくありたいという願いと努力と様々な取り組みを積み上げてきたものだ。(ちなみに私はその彼の生き方を激しく肯定している)
一方、この映画は、演出と脚本が同じ荻上直子で、要するに彼女の映画である。「かもめ食堂」で小林聡美が演じたサチエが代表的だが、荻上の想定する主役は、知的で、常に自分をコントロールできる都市生活者という特徴がある。さてそれで今回は荻上はいつものような演出プランで、サワダを描こうとしたが、堂本の地金があちらこちらから覗いてしまい、結果としてサワダは矛盾だらけの謎多き人としてフィルムに残ってしまった。2人のずれは、本編と全く関係のないエンドロールの堂本の楽曲に現れている。あれは堂本が求めてきたカッコよさであり、荻上が求めていたものとは違うことは良くわかる。
でも、だからこそこの映画を救っているのは、結果としての堂本剛なのである。綾野剛も小林聡美もよく演じてはいるが演出の範囲内であり、企画自体の底が割れている以上あまり面白くはない。
主様のコメントに思うところあったので、意見させて下さい。
エンドロールの楽曲の件ですが、プロデューサーの提案で、荻上監督があの楽曲を聞きながら台本書いていたのもあったようです。
堂本剛さんは、この映画に主題歌要りますかね?
って言ったそうですが、Pと監督の推しで決まったそうです。
そもそもこの映画自体が荻上監督の強い堂本剛推しで企画スタートしています。だから彼をモチーフにしたあてがきなんですよ。
堂本さんが脚本で分からない所を撮影時に聞いたら、監督がだぶんそう。とか、きっとそうです。
って答えたとか。
脚本ですでに描き切れて無くない?
堂本さんも起承転結が無い。終わりは決まっていて、遠回りしちゃったよって話ですと。これ、一回で分かるのかな?とも言ってました。
見どころは観る人に委ねますと。
…不安要素ありありでは??
ファンですが、堂本さんカッコよくありたいとかモテたいっていう願望が昔から無い人です。
時代や人の期待に応え続け翻弄されてきたから自分を生きることにシフトされてますが。
皆キャストもハマっていて、演技も良かった。
足りないのは脚本と演出。
そうでしたか。エンドロールの曲と本編の世界観が異なる気がしたのでそのように書いてしまいました。確かに荻上監督は堂本さんのファンなのかもしれません。だからこそ彼を最後まで消化しきれなかったということかもしれないです。でもそこがこの映画の魅力なのだと思っています。
誤解している箇所があります。堂本さんは「この映画は音楽はいらないんじゃないか」と言っていましたが、プロデューサーと監督が主題歌を曲も指定でお願いしたようです。2年かけてオファーし、堂本さんの気が変わらないうちに急いで脚本を書いたと言っていました。ファンなのだと思います。