「気持ちはわかるけど」室井慎次 生き続ける者 siiさんの映画レビュー(感想・評価)
気持ちはわかるけど
やらないでほしかった。
このキャラクターを死なせたことにやっぱり納得がいかなくて、皆さんのレビューに頷いて。
でも何となくわかりました。
映画の感想ではないけど、テレビの「今だから語る柳葉敏郎と〜」という、映画と柳葉さんの裏話&インタビューを観て思ったこと。
これ、制作側も役者ももう「お爺ちゃん」になっちゃってるんですよね。
当たり前です。みんな歳をとる。私もオバさんになりました。
で、そのお爺ちゃん達が「観てる人(ファン)」より「自分たち」がこのシリーズをどう締めるか、そこに重きを置きまくった結果こうなっちゃったんだなと。
思い入れがある作品。自分の人生において大部分を占める作品。
それを、まだ製作に関われるうちにどうやって「いい思い出」にしていくか、みんなで考えた結果こうなった。つまり観る側(ファン)の希望は入ってないんだと思います。
みんな本当に歳とったなと思った。もうあんなスピード感があるものは作れないでしょう。
現代に即したものを作れば、若い世代から一斉に「それは無い」と言われるし、かといって年齢を重ねた登場人物たちがあの頃のように動き回るものも作れない。
作ってる側の年齢的に、今回のような「◯の国から」テイストになるのは必然なんですよね。
人情とか第二の人生とか、引き際の美学とか、
そういうのが大切になる歳です。
製作側と柳葉さんの意向を汲んで、「死亡」という終わり方にしたのは当然と言えば当然なのかな。
これであちら側にとっての「踊る〜」という作品は、綺麗に幕引きができるわけですし。
自分たちの人生においての「踊る〜」の終活をしたのが今回の作品であり、観てきたファンの方たちや、まして最近ファンになった若い方たちの意向は汲まれるわけもないのでしょう。
ファンの想像の余地も断ち切る映画をわざわざ作ったのは、そういう理由からだと思いました。
個人的に、この作品は無かったことにしようと思います。
あの不器用でただただ真っ直ぐで、人としての楽しみを見つけるのが大変そうな管理官が、歳とったらどうするんだろうな、きっとあのままなんだろうな、と自由に想像します。
それがファンの権利です。
次回作?今度は青島をどう終活させるのか、こわくて観る気にもなれません。
この作品が製作者側の都合で閉じていくのを見届けたくはない。
そういうのは仲間うちでやることであって、公式として大々的に発表するものではないと思うので。
いつまでも自分たちのものとしているよりは、信頼のおける脚本家さん等に託したほうが作品も浮かばれるのではないでしょうか。
偉大なシリーズを生み出した方々のことは、きっとみんな忘れないと思いますよ。