「とにかく雑」室井慎次 生き続ける者 Equinoxさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく雑
前編だけ観て正直残念だったから後編を観るか悩んだんですけど後編を観ずに評価するのもフェアではないだろうとも思いましたので後編も観ました。
前編後編観てトータルで思った感想としては全体的にとにかく雑だなと。かなり多くのエピソードが盛り込まれているのですが、それぞれがブツ切りになっており突然場面転換して全然違う展開になるのでえ??どういうこと??となります。数多くある「どういうこと??」の幾つかは最後の回想シーンで回収されるのですが、その部分もダイジェスト的で不完全燃焼です。
エピドードの見せ方自体も雑なのですが、登場人物達の行動も意味不明なことが多く雑な印象に拍車をかけています。1つ1つ挙げていくことはしませんが、そういったよくわからないことが積み重なり、いまいち乗り切れないまま最後の最後はあれだけ賢かった犬が突然いなくなるという意味不明な展開で終わります。動物虐待の問題もあるでしょうけど、あの場面で強く蹴っ飛ばされたりしていれば別だったでしょうがあんなに優しく外に出されたらあの犬なら待ってるでしょう。
最初から最後までその様な違和感あるシーンが多すぎました。もしかしたらTVドラマみたい展開をしようとしていたのを無理矢理映画にしたことで様々な部分が端折られたのかもしれませんが、映画として成り立ってないのはよくないです。前後半の繋がりの甘さも気になります。犯人は誰なんだ、とか、”獅子身中の虫”である杏はどう行動するのか、といった伏線を散りばめつつ家の一部が燃えて終わるというサスペンステイストだった前編から、唐突に北の国からみたいなヒューマンドラマに変わってしまい、あっさり捕まる犯人とか何の脈絡もなく改心する杏とかで前半のサスペンステイストは鳴りを潜めてしまいます。この辺りの回収の薄味感はよくわかりませんでした。え?そういう話だったの?という印象。
その他気になった点としては、交番勤務の警官が浮きまくっているのも気になりました。終始空回りしている様な印象で正直邪魔でした。
それと海の場面でドローンがそのままバックに映っているのは映画としてどうなのと思いました。エンドロールで交番勤務の警官がドローンに驚く場面もあり、意図的なものなのかもしれませんが、劇中で特にドローンがテーマになっているわけでもなく全く意味がわかりませんでした。
挙げ出すとキリがないんでこの辺にしますが、こんな調子でやるなら続編やらなくていいんじゃないですかね。ファンならこんな程度で大丈夫やろっていう雑さがあちこちに見えてしまい観ていてしんどかったです。仮にファンを舐めることなく全力を注ぎ込んでこのレベルなのであれば映画撮るのやめた方がいいんじゃないでしょうか。