「とてもよかったです。」室井慎次 生き続ける者 Pamidorさんの映画レビュー(感想・評価)
とてもよかったです。
ドラマシリーズからのファン(VHSで全巻購入)ですが、2以降のとにかく人と予算をつぎ込んだ結果ミステリーなのかコメディなのかよくわかんなくなってしまう傾向を捨てて、テーマを室井がドラマ初期では無視しがちがった犯罪に巻き込まれた家族に焦点を当てたのがとてもよかったと思いました。まっとうに生きていく人たちを小馬鹿にし、小さな幸せを奪っていくもの達に、相手の土俵に上がるのではなく、まっとうな生活とまっとうな気持ちで向き合っていくことの勇気と希望に溢れていてよかったです。(たか兄が母親殺害犯に憎しみをぶつけるのではなく、まっすぐと向き合って相手の正体を滔々と語るシーンはよかった。マーチ調のBGMも進んでいく感じがでていてとても合っていた)。最後は、え、こんな感じになるのとは思いましたが、それでも残された家族が「生き続ける者」としてまっとうな生活を送っていくシーンには涙した。
他方、「2」から感じていた底流にある女性蔑視のようなキャラが相変わらず気になった。
「2」の沖田管理官:「結局女はヒステリック」といわんばかりの最後に幻滅。沖田も沖田で男性社会で成り上がっていくには努力や覚悟があったろうに「結局最後は男じゃなきゃだめ」みたいな。真矢みきさんも「2」の後は沖田の印象で嫌なやつ思われ仕事がしずらかったとの記事があったがそうだろうと思った。制作側もさすがにまずいと思ったのか今回の映画も含めて沖田には人事上の配慮が働いたようだ(室井、新城、沖田の当時の中堅キャリアのなかで結局一番出世した)
若手女弁護士:「刑事事件を担当する勢いのよい若い女弁護士なんて結局自分のことしか考えていない」くらいの設定。
児童相談所の稲森いずみさん:経験豊かで子供と親双方のことをよく考えているし、仕事にも一生懸命だと思っていたのに、「結局女は見落とす」みたいになっている。
よく考えると「踊る」シリーズも主役というかラインとしては「和久ー室井ー青島」が中心で、すみれさんも雪乃さんも途中で脱落。制作陣もプロデューサー・監督・脚本とすべて男性なのがやっぱりこういう感じになってしまうなあという感じ。ジェンダー参画というのは形式ではなく、実質的に重要ではないかと思うもの(制作陣(声だしできるポジション)に女性がいれば彼女たちの扱いも少しは変わったのではないか)