「10年以上経っても、この演出か・・」室井慎次 生き続ける者 yoneさんの映画レビュー(感想・評価)
10年以上経っても、この演出か・・
この「室井慎次 生き続ける者」だが、「室井慎次 敗れざる者」とまとめて同日に観たので、一緒にレビューしたい。
一緒にレビューした結果がこの点数。
これ以上の点を付けるわけにいかない。
初期の「踊る」シリーズが好きだったこともあり、惰性でとりあえず続編も観ている。
映画版は、シリーズが続けば続くほど酷くなっていると感じていたが、とりあえず完結した。
で、今回10年以上経って、室井慎次が主人公の作品が出ていることを映画館で知った。
とりあえず観ようと興味が湧いたのは、「この10年で監督、脚本家、演出は変わったのか」。この一点。
私は昔から日本映画のお涙頂戴的な演出が大嫌いだ。
特に、感動的な音楽を悲しいシーンに合わせて流すあの演出が死ぬほど嫌いで、見るだけで虫唾が走る。まるで、感動を強要されているようだ。はっきりと気持ち悪い。あれで、涙を流す人が信じられない。
初期ドラマからその兆候はあった。しかし、まだ我慢できる程度だった。
しかし、踊るの映画版は、シリーズを重ねるごとにこの傾向が強くなった。
面白いシーンにはコミカルな音楽が、感動的なシーンには感動を誘う音楽、悲しいシーンには情緒的な音楽。本当に気持ちが悪いテンプレ音楽&演出。
その演出塗れの映画ははっきりと「駄作」と言えるものになった。
で、今回はあの映画から10年以上経過している。
さすがに、監督もこの気持ち悪い演出から卒業して、少しは変わっているのではないか?
ちょっとだけ期待して映画を観た。
結果が、この点数だ。
脚本自体は悪くないと思う。
「踊る」に大事件を期待している人は期待外れだろうが、個人的には室井さんが都落ちして、過去の贖罪として里親をやっている、というストーリー自体は良いと思う。
自分の年齢を重ねるごとに、大きな事件よりも、こういった日常の話の方が心に響く。点数を「0.5」ではなく「1.0」にしたのは脚本は悪くなったからだ。
しかし、気持ちの悪いテンプレ音楽&演出はそのまま。
こんな演出は無い方がこのストーリーならドラマとして良くなる、とはっきり言える。
なぜ、こんな下らない演出をまだ続けているのだろうか?
日本映画のレベルは既に韓国映画の後塵を拝しているが、なぜ追い抜かれたのか、理解していないのだろうか・・。この演出を続ける限りは今後も駄作にしかならない。監督も結構な年だろうし、考えを変える柔軟性も無いのだろう。なら、もう作品を作らない方が良いと思う。踊るシリーズはこれで終了とした方が良い。
室井さんの死ぬプロセスとか、ストーリーも色々とツッコミどころはあったが、それよりもこの古臭い演出をいまだ続けていることに、嫌悪感しか感じなかった。こんなに後味の悪い映画鑑賞後の感覚は久しぶり。前週に「シビル・ウォー」観たので、余計日本映画のレベルの低さに情けない気持ちになった。
最後に青島が登場していたが、もう続編は作らなくて良い。
「踊る」シリーズは、フジテレビの黄金期を支えた作品として年配の人の記憶に残っている・・それ以上の地位を望むべきではない。